著作権法27条 翻訳権、翻案権等
本条の翻訳権、翻案権は、原著作物の著作者が保有します。つまり、著作物の翻訳、翻案の前提として、原作品の著作者の許諾が必要になります。
翻訳とは、言語の著作物について、その言語体系と異なる他の国語により表現することをいいます。
翻案とは、既存の著作物をもとに、そこに新たな創作的行為を加えた著作物を作成することをいいます。見方を変えると、翻案とは、表現は異なるが本質的特徴が同じものを創作することであり、言い換えれば、著作物の表現形式を質的に変換することです。翻案には、二次的著作物(著2条1項11号)を作成する行為が含まれます。また、翻案には、二次的著作物の作成に至らない小規模な変更も含まれます。
無許諾で二次的著作物(著2条1項11号)を作成する行為は、翻案権侵害になりますが、二次的著作物の著作権は発生します。なお、翻案の範囲は、著作物の種類によって異なります。
江差追分事件と呼ばれる判例(最判平成13年6月28日)は、言語の著作物の翻案について、既存の著作物に依拠し、かつ、その表現上の本質的な特徴の同一性を維持しつつ、具体的表現に修正、増減、変更等を加えて、新たに思想又は感情を創作的に表現することにより、これに接する者が既存の著作物の表現上の本質的な特徴を直接感得することのできる別の著作物を創作する行為をいう、としました。さらに本判例は、思想、感情若しくはアイデア、事実若しくは事件など表現それ自体でない部分又は表現上の創作性がない部分において既存の言語の著作物と同一性を有するにすぎない著作物を創作する行為は、既存の著作物の翻案に当たらない、としました。
なお、別の判例(最高裁平成9年7月17日)において、二次的著作物の著作権は、二次的著作物において新たに付与された創作的部分についてのみ生じ、原著作物と共通し、その実質を同じくする部分には生じない、とされています。
つまり、既存の著作物に新たな創作性を加えた上でこれを再製する行為が翻案であって、複製(著21条)の範囲から外れることになります。
別の具体例ですが、言語著作物(日本語)の外国語版を作成すると翻訳になります。さらに、この外国語版のダイジェストや要約を作ると翻案になります。
・著作権法27条 翻訳権、翻案権等
(翻訳権、翻案権等)
第二十七条 著作者は、その著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、映画化し、その他翻案する権利を専有する。
●参考文献
・高林龍(著)『標準 著作権法 第4版』(有斐閣,2019)
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