著作権法97条の3 貸与権(レコード製作者の貸与権)
貸与権には、著作権者の貸与権(著26条の3)、実演家の貸与権(著95条の3)、レコード製作者の貸与権(著97条の3)の3個があります。
レコード製作者の貸与権は、レコードをそれが複製されている商業用レコードの貸与により公衆に提供する権利です(本条1項)。
著作権者の貸与権(著26条の3)は、映画以外の著作物全般を対象とします。つまり、著作権者の貸与権(著26条の3)は、レコードに限らず書籍やプログラム等を対象とします。一方、実演家の貸与権(著95条の3)、レコード製作者の貸与権(著97条の3)では、商業用レコードのみを対象とし、貸ビデオには権利が及びません。
レコード製作者の貸与権は、実演が録音されている商業用レコードを貸与により公衆に提供する権利です(本条1項)。有償無償を問いませんが、営利を目的とせず無料の貸与には貸与権は及びません(著102条1項、著38条4項)。結局、映画の著作物だけが無償での公衆への貸与や公衆への提示目的貸与が権利侵害になります。
譲渡権とは異なり、貸与権には消尽の規定がありません。このため、適法に商業用レコードを購入した者は、購入した商業用レコードを他人に販売できますが、公衆への貸与はできません。
レコード製作者の貸与権(著97条の3)は、最初に販売された日から起算して1月以上12月を超えない範囲で政令で定める期間を経過した期間経過商業用レコード(著95条の3第2項)には、権利行使できません(本条2項)。ただし、期間経過商業用レコードに対しては、貸与報酬請求権を行使できます(本条3項)。
難しいのが、期間経過商業用レコード(著95条の3第2項)の定義に記載された「複製されているレコードのすべてが当該商業用レコードと同一であるものを含む」という部分です。これは、同一の曲が収められたCDであれば、最初の発売日から起算するということです。
具体的には、CD1には曲Aのみが収められている場合、曲Aのみが収められたCD2の貸与権は、CD1の発売日から1年経過後は行使できません。一方、曲A,Bが収められたCD3の貸与権は、CD3の発売日から1年経過前であれば、CD1の発売日から1年経過後であっても、行使できます。
・著作権法97条の3 貸与権
(貸与権等)
第九十七条の三 レコード製作者は、そのレコードをそれが複製されている商業用レコードの貸与により公衆に提供する権利を専有する。
2 前項の規定は、期間経過商業用レコードの貸与による場合には、適用しない。
3 貸レコード業者は、期間経過商業用レコードの貸与によりレコードを公衆に提供した場合には、当該レコード(著作隣接権の存続期間内のものに限る。)に係るレコード製作者に相当な額の報酬を支払わなければならない。
4 第九十七条第三項の規定は、前項の報酬を受ける権利の行使について準用する。
5 第九十五条第六項から第十四項までの規定は、第三項の報酬及び前項において準用する第九十七条第三項に規定する団体について準用する。この場合においては、第九十五条の三第四項後段の規定を準用する。
6 第一項に規定する権利を有する者の許諾に係る使用料を受ける権利は、第四項において準用する第九十七条第三項の団体によつて行使することができる。
7 第五項の規定は、前項の場合について準用する。この場合において、第五項中「第九十五条第六項」とあるのは、「第九十五条第七項」と読み替えるものとする。
●参考文献
・高林龍(著)『標準 著作権法 第4版』(有斐閣,2019)
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