商標法25条 商標権の効力
この条文は、難しいところです。
条文では、原則として、「商標権者は、指定商品又は指定役務について登録商標の使用をする権利を専有する。」と規定され、例外として、「その商標権について専用使用権を設定したときは、専用使用権者がその登録商標の使用をする権利を専有する範囲については、この限りでない。」と規定されています。
この原則で規定された領域が、いわゆる「専用権」の範囲です。専用権は、商標の使用を専有できる権利です。商標権者等は、この専用権の範囲で、他人を排除して独占的に使用することができます。また、商標権者等は、専用権の範囲内で、使用権の許諾等が可能です(商30条、31条)。第三者がこの専用権内で使用すると、商標権侵害となります。
一方、商標権の類似範囲において、商標権者は、第三者の使用を排除できます。この類似範囲が、いわゆる「禁止権」の範囲です。禁止権は、単に、第三者の使用を禁止するだけですが、第三者に使用された場合には、侵害として使用差止等が可能です。
この禁止権範囲を設けておくことで、商標権の専用権範囲が、他の商標権の専用権範囲と重複することがなくなります。つまり、他の商標との出所混同防止ができます。
このような経緯で禁止権という概念がありますので、禁止権範囲(類似範囲)での商標権者の使用権は認められていません(使用許諾等はできません)。
これは、
(i)類似範囲にも使用権を認めると、それに類似する商標も禁止しなければ出所混同防止ができないので、不必要な権利範囲拡大を招くこと、
(ii)類似範囲は市場での取引状況に応じて変化しやすいので、混同が生じないようにするバッファゾーンが必要であること、
(iii)商標は選択物であり、類似範囲には使用の表明はなく、創作的価値という面からの同一性もないこと、
という理由からです。
なお、商標権者による事実上の使用は可能ですが、商標権の禁止権範囲が他人の禁止権範囲と重複する(抵触する)場合には、重複範囲での事実上の使用もできません。仮に使用すれば、その他人の商標権侵害になります。
判例関連の主なポイントとしては、以下になります。
(1)完成品に組み込まれた部品に付された商標が流通過程において視認される可能性がある場合、商標は識別機能を保持しているので、商標権侵害になります。
(2)真正商品の小分け販売において、小分け先に商標を付すと商標権侵害になります。これは、何人でも自由に登録商標を付し得るとするならば、登録商標に対する信頼の基礎は失われ、登録商標の機能を発揮し得ないからです。
(3)包装用容器の見易い位置に見易い方法で表されている商標は、中に入っている商品等の商品名や商品の出所を示すものなので、商標権の侵害になりません。
(4)シリアルナンバーのような品質保証機能を補完する文字等の抹消は、基本的に、商標権の侵害にはなりません。これは、登録商標の使用ではないからです。
(5)他人の著名な漫画の主人公を無断で商標登録した場合、他人に対し商標権侵害を主張しても、商標権侵害は成立しません。これは、権利濫用だからです。
(6)真正商品の並行輸入も商標権の侵害にはなりません。真正商品の並行輸入の要件は難しいですが、簡単に書くと、(i)商標が適法に付されたものであること、(ii)商標が我が国の登録商標と同一の出所を表示するものであること、(iii)登録商標の保証する品質において、当該商品と、我が国の商標権者が登録商標を付した商品との間で、実質的に差異がないこと、の3点です。試験対策の場合には、簡単な記載ではなく、完全に判例再現して書けるようにしておいてください(出題された場合、自分だけが書けないと不合格になる可能性が高くなります)。
・商標法25条
(商標権の効力)
第二十五条 商標権者は、指定商品又は指定役務について登録商標の使用をする権利を専有する。ただし、その商標権について専用使用権を設定したときは、専用使用権者がその登録商標の使用をする権利を専有する範囲については、この限りでない。
#弁理士 #弁理士試験 #弁理士試験の受験勉強 #知財 #知財法 #商標法
#毎日note #コラム #毎日更新 #note #毎日投稿 #note毎日更新 #毎日 #最近の学び #毎日更新倶楽部 #考察コラム #クリエイティブ #士業
