著作権法112条 差止請求権
著112条に規定された侵害停止の請求権(著112条1項)、侵害予防の請求権(著112条2項)を差止請求権といいます。
具体的には、差止請求権は、侵害がなされている状態において侵害行為の排除を請求する権利(著112条1項)、及び、侵害がなされる前に侵害がなされないようにすることを予防する措置を請求する権利(著112条2項)です。この差止請求権は、侵害者にの故意・過失が無くても行使できる権利です。
著作者人格権、著作権、出版権、実演家人格権、著作隣接権は、物権的性質を有するので、物件にのみ認められた差止請求権が認められています(著112条)(債権の場合には、差止請求は認められていません)。差止請求権が認められているのは、著作者、著作権者、出版権者、実演家又は著作隣接権者です。
著作権以外でも、物権的性質を有する特許権、実用新案権、意匠権、商標権には、差止請求権が認められています。
ここで、著作権者以外の者であっても、法律の規定により著作権者から著作権の信託譲渡ないし委任を受けている者は、例外的に、差止請求権を行使できます。この著作権の信託譲渡ないし委任を受けている者の具体例が、JASRACです。
侵害停止請求(著112条1項)は、侵害停止請求権の行使時点において、侵害行為が行われていることが前提です。
具体例を使って説明します。例えば、海賊版(デッドコピー品)が1万個作られていた場合、既に複製が完了していますので複製権侵害に基づいた侵害停止の請求(著112条1項)はできません。ただし、過去に海賊版(デッドコピー品)が1万個を作るという侵害行為を行っていますので、損害賠償請求は可能です。
この場合、その海賊版を販売目的(頒布目的)で所持している場合には、頒布目的所持は著作権侵害なので(著113条1項2号)、侵害予防の請求(著112条2項)(所持停止を請求)ができます。これは、将来的に頒布のおそれがある場合も同じです(著113条1項2号)。
なお、差止請求の認容確定判決の執行は、間接強制(民事執行法172条)、又は、代替執行(民事執行法171条)によります。
・著作権法112条 差止請求権
(差止請求権)
第百十二条 著作者、著作権者、出版権者、実演家又は著作隣接権者は、その著作者人格権、著作権、出版権、実演家人格権又は著作隣接権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。
2 著作者、著作権者、出版権者、実演家又は著作隣接権者は、前項の規定による請求をするに際し、侵害の行為を組成した物、侵害の行為によつて作成された物又は専ら侵害の行為に供された機械若しくは器具の廃棄その他の侵害の停止又は予防に必要な措置を請求することができる。
●参考文献
・高林龍(著)『標準 著作権法 第4版』(有斐閣,2019)
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