不競法10条 秘密保持命令
不正競争行為に関する訴訟において、裁判所は、営業秘密が含まれる証拠を提出させる場合があります。この提出させた営業秘密を含む証拠が公になってしまうと、営業秘密が社外に流出したことと同じ結果となります。
そこで、裁判所は、当事者の申立てにより、決定で、(i)営業秘密を訴訟追行目的以外で使用すること、(ii)営業秘密を秘密保持命令を受けた者以外の者に開示すること、を禁止する秘密保持命令を発します(不競法10条)。
秘密保持命令の対象となる営業秘密は、当然に、(i)証拠等に営業秘密が含まれていること(不競法10条1項1号)、(ii)当該営業秘密が当該訴訟の追行の目的以外の目的で使用等されると、当該営業秘密に基づく事業活動に支障を生ずるおそれがあり、これを防止するため当該営業秘密の使用又は開示を制限する必要があること(不競法10条1項2号)、の両方に該当することが必要です。
この秘密保持命令に反して営業秘密を使用又は開示した場合には、刑事罰の対象となります(不競法21条2項)。
秘密保持命令の申立てが却下された場合、即時抗告できますが(不競法10条5項)が、秘密保持命令を発令する決定は直ちに確定します。これは、営業秘密の流出防止のためです。一方、秘密保持命令が発令された場合には、秘密保持命令の取消(不競法11条)の手続により対応します。
・不競法10条
(秘密保持命令)
第十条 裁判所は、不正競争による営業上の利益の侵害に係る訴訟において、その当事者が保有する営業秘密について、次に掲げる事由のいずれにも該当することにつき疎明があった場合には、当事者の申立てにより、決定で、当事者等、訴訟代理人又は補佐人に対し、当該営業秘密を当該訴訟の追行の目的以外の目的で使用し、又は当該営業秘密に係るこの項の規定による命令を受けた者以外の者に開示してはならない旨を命ずることができる。ただし、その申立ての時までに当事者等、訴訟代理人又は補佐人が第一号に規定する準備書面の閲読又は同号に規定する証拠の取調べ若しくは開示以外の方法により当該営業秘密を取得し、又は保有していた場合は、この限りでない。
一 既に提出され若しくは提出されるべき準備書面に当事者の保有する営業秘密が記載され、又は既に取り調べられ若しくは取り調べられるべき証拠(第七条第三項の規定により開示された書類又は第十三条第四項の規定により開示された書面を含む。)の内容に当事者の保有する営業秘密が含まれること。
二 前号の営業秘密が当該訴訟の追行の目的以外の目的で使用され、又は当該営業秘密が開示されることにより、当該営業秘密に基づく当事者の事業活動に支障を生ずるおそれがあり、これを防止するため当該営業秘密の使用又は開示を制限する必要があること。
2 前項の規定による命令(以下「秘密保持命令」という。)の申立ては、次に掲げる事項を記載した書面でしなければならない。
一 秘密保持命令を受けるべき者
二 秘密保持命令の対象となるべき営業秘密を特定するに足りる事実
三 前項各号に掲げる事由に該当する事実
3 秘密保持命令が発せられた場合には、その決定書を秘密保持命令を受けた者に送達しなければならない。
4 秘密保持命令は、秘密保持命令を受けた者に対する決定書の送達がされた時から、効力を生ずる。
5 秘密保持命令の申立てを却下した裁判に対しては、即時抗告をすることができる。
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