著作権法 判例 トントゥ事件(東京地裁平成14年1月31日(平成13年(ワ)第12516号))
本判決では、著作権管理者による差止請求権の行使が否定されました(判決文)。
ただし、判決文の範囲でいえば、著作権者から著作権の独占的な利用許諾を得ている者であれば、差止請求権を行使できる可能性があります。
・判決文(東京地裁平成14年1月31日(平成13年(ワ)第12516号))
(3) 著作権に基づく侵害差止請求権の代位行使の可否
ところで,著作権者から著作物の独占的使用許諾を得ている使用権者については,著作権者に代位して当該著作物の著作権に基づく侵害差止請求権を行使することができるという見解が存在する。これは,特許権における独占的通常実施権者が特許権者に代位して特許権に基づく侵害差止請求権を行使することができるとの見解にならって提唱されているものと解されるが,著作物の独占的使用許諾を得ている使用権者であれば,特許権における独占的通常実施権者と同様に,当該著作物の模倣品の販売等の侵害行為により直接自己の営業上の利益を害されることから,独占的使用権に基づく自らの利益を守るために,著作権者に代位して侵害者に対して著作権に基づく差止請求権を行使することを認める余地がないとはいえない。
しかしながら,本件においては,原告は,上記認定のとおり,オリジナル人形につき,著作権者から著作権の独占的な利用許諾を得ている者ではなく,単にライセンシーに対する許諾付与業務及びライセンシーからのロイヤリティの徴収業務を委任されているというだけであり,オリジナル人形の著作権を侵害する模倣品等が販売されたとしても,それにより直接自己の営業上の利益を害される関係にあるものではない。したがって,原告が,Aに代位してオリジナル人形の著作権に基づく差止請求権を行使することは,認められないというべきである。
(4) なお,仮に,原告とAの間の上記契約12条を,Aの著作権に基づく侵害差止請求権を原告が行使することを認めた条項と解することができるとしても,そのように著作権に基づく差止請求権について著作権者が契約により他者に行使させることを認めることは,弁護士法72条において弁護士以外の者の法律事務の取扱いが禁じられ,信託法においても訴訟信託が禁止されていること(信託法11条),及び,著作権等管理事業法上,著作権等の管理事業を営もうとする団体が登録制とされて種々の義務を負うなど事業上一定の制約を受けるものとされていること等の法制度の趣旨に反するものといわざるを得ない。したがって,上記契約の条項を根拠に,Aから契約上その権限が付与されているとして,原告がAの著作権に基づく差止請求権を行使することも,認められない。
したがって,いずれにしても,原告がAの著作権に基づく差止請求権を行使することは認められないというべきである。
(5) そうすると,原告がトントゥのオリジナル人形の著作権者でないことは当事者間に争いがない以上,原告が著作権に基づく侵害差止請求権を行使し得る根拠は存しないというべきであり,原告の請求は理由がない。
●判決文
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail7?id=12050
●参考文献
・高林龍(著)『標準 著作権法 第4版』(有斐閣,2019)
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