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商標法36条 差止請求権


1.概要

 本条では、商標権侵害者に対する差止が規定されています。

 商標権侵害が成立するためには、前提として、(a)商標権が存続していること、が必要です。また、商標権侵害は、(b)権原なき第三者による、(c)登録商標又は登録商標に類似した商標の、(d)指定商品等又は指定商品等に類似した商品等への使用により構成されます。

 「登録商標又は登録商標に類似した商標」には、色違い類似商標が含まれます。

 逆の見方をすると、差止請求ができない場合は、
(A)商標権が存続していない場合、
(B)権原がある場合、
(C)登録商標又は登録商標に類似した商標の使用ではない場合、
(D)指定商品等又は指定商品等に類似した商品等への使用ではない場合、
には、差止請求をすることはできません。

 上記「(B)権原がある場合」とは、商標の使用者が、商26条、30条、31条、32条、33条、33条の2、59条、60条等の権利を有する場合です。

 なお、正当な使用によって普通名称化させる行為に対する差止は認められていません。これは、正当な使用を差し止める(中止させる)必要はありませんし、正当な使用による普通名称化を防止するのは商標権者の義務だからです。

2.具体例

 例えば、登録第5622221号は、商標「まぶし唐揚げ」について、指定商品が「鶏肉の唐揚げ」となっています。

このため、商標権者以外(ライセンスされている人を除く)が、「鶏肉の唐揚げ」という商品に対して、商標「まぶし唐揚げ」を使用すると商標権侵害になります。

ここで、「使用」というのは、商品の袋やケースなどに、「まぶし唐揚げ」という文字を書いたり、「まぶし唐揚げ」と書かれたシールを貼ったりすることです。

一方、登録第5622221号は、指定商品が「鶏肉の唐揚げ」ですので、商標権者以外が商標「まぶし唐揚げ」を、「鶏肉の唐揚げ」とは非類似の「とりのから揚げを主とする飲食物の提供」というサービスに対して使っても商標権侵害にはなりません。



・商標法36条

(差止請求権)
第三十六条 商標権者又は専用使用権者は、自己の商標権又は専用使用権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。
2 商標権者又は専用使用権者は、前項の規定による請求をするに際し、侵害の行為を組成した物の廃棄、侵害の行為に供した設備の除却その他の侵害の予防に必要な行為を請求することができる。


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