見出し画像

刑法 罪刑法定主義が採用するに至った経緯、及び、日本でどのように具体化されているか

 罪刑法定主義とは、刑法が採用する原則である。罪刑法定主義のもとでは、その行為を処罰する規定があらかじめ存在しない限りその行為を処罰できない。

近世・近世においては、罪刑を権力者(為政者)の専断にゆだねる罪刑専断主義が採用されていた。この罪刑専断主義のもとでは、自由は権力者のものであり、市民のものではなかった。言い換えれば、権力者による権力行使が暴走してゆく可能性がある限り、社会構造自体は市民にとって安心できるとはいえなかった。

この罪刑専断主義を克服する考え方が罪刑法定主義である。罪刑法定主義は、法に基づいてのみ罰せられるという主義であり、マグナ・カルタ39条で初めて採用されたと言われている。マグナ・カルタ39条は、「自由人は、その同輩の合法的裁判によるか、又は、国法によらなければ、逮捕、監禁、差押え、法外放置、もしくは追放をうけ又はその他の方法によって侵害されることはない。朕も彼の上に赴かず、また彼の上に派遣しない」とした。その後、罪刑法定主義は、アメリカ合衆国憲法やフランス革命人権宣言に採用され、現在に至っている。

現行の日本国憲法では、罪刑法定主義は、主に、憲法31条、憲法39条によって実現されている。具体的には、憲法31条は「何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。」と規定し、憲法39条は「何人も、実行の時に適法であつた行為又は既に無罪とされた行為については、刑事上の責任を問はれない。又、同一の犯罪について、重ねて刑事上の責任を問はれない。」と規定している。また、憲法73条6号には法律の委任以外の政令による罰則設定禁止が設けられ、憲法41条には国会における立法が規定されている。

 罪刑法定主義の具体的内容は、①法律主義、②法の不遡及の原則(刑罰法規不遡及の原則)、③類推解釈の禁止、④刑罰法規適正の要請、である。

法律主義とは、原則として、国会の制定する法律以外によって犯罪と刑罰が定められないという原則である(憲法41条、憲法73条6号)。

法の不遡及の原則(刑罰法規不遡及の原則)とは、何人も実行時に適法であった行為等については、刑事上の責任を問われないという原則である。法の不遡及の原則は、憲法39条に規定されている。

類推解釈の禁止とは、刑法において、適用法規の不存在を前提とする類推解釈は禁止されるこという。刑法は、その行為を処罰する規定があらかじめ存在しない限りその行為を処罰できないとする罪刑法定主義を採用する。罪刑法定主義の原則の下では、拡張解釈は許されるが、類推解釈は許されない。適用法規の不存在を前提とする類推解釈は、適用法規が存在することを前提とする罪刑法定主義の原則に反するからである。

刑罰法規適正の要請とは、刑罰法規の実体的内容が適正でなければならない、とする要請である。刑罰法規適正の要請は、明確性の原則と、罪刑均衡の原則と、を導く。

●参考文献
・永井和之・森光(編)『法学入門 第3版』(中央経済社, 2020年) 147-150ページ

#法学部 #不動産賃貸借権 #不動産賃貸借権の物権化
#毎日note #コラム #毎日更新 #note #毎日投稿 #note毎日更新 #毎日 #最近の学び #毎日更新倶楽部 #考察コラム #クリエイティブ #士業

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集