著作権法 著作権法の概要とひこにゃん事件
1.著作権法の概要
著作権は、著作物に該当する作品等が完成すると自然に発生します(著17条2項)。
著作権法は著作者等の権利保護と、文化の発展に寄与することを目的とします(著1条)。ここで、著作者の権利保護が強すぎると「著作物の公正な利用」(著1条)が阻害され、文化の発展に寄与することができません。一方、著作者の権利保護を薄くして、著作物を自由利用できるようにした場合も、文化を衰退させることになりかねないと思われます。このため、一定の範囲で、著作物を利用することが認められています。
よく聞く誤解ですが、人物写真の著作権者は、写真を撮影した人です。また、人物の似顔絵の著作権者は、似顔絵を描いた人です。
ただし、写真、似顔絵の両方で肖像権(被写体のプライバシー権、パブリシティ権)の問題は起こりえます。肖像権は法定された権利ではありませんが、判例等で支持されている権利です。
また、商品化権(マーチャンダイジングライト)も法定された権利ではありません。商品化権(マーチャンダイジングライト)は、人気アニメキャラクターなどのぬいぐるみ等を販売できる権利です。商品化権では、著作権法、商標権法、不正競争防止法などが適用されることが多いといえます。
著作者の権利には、著作権(著作財産権)と、著作人格権とが含まれます(著17条)。
著作人格権で問題になりやすいのが同一性保持権(著20条)です例えば、漫画のセリフだけを差し替えたコラージュ画像等は、同一性保持権(著20条)で問題になりえます。
著作財産権で音楽CDレンタルと関連するのが貸与権(著26条3項等)です。
貸与権(著26条3項)は、公衆に対してレンタルできる権利です。このため、友達との間で貸し借りするのは貸与権が及びません。また、図書館からの貸し出しのように、非営利かつ無償貸与であれば貸与できます(著38条4項。貸与権(26条3項)の例外)。
映画著作物は、従来から本などの著作物とは収益構造が異なっていたため、著作財産権の権利構造も異なります。映画著作物では、譲渡権や貸与権ではなく、頒布権(著26条)という権利になっています。映画館等にフィルムを配給しても頒布権が消えることはありません。また、映画著作物を上映する権利は上映権の範囲になります(著22条の2)。
2.具体例(ひこにゃん事件)
「ひこにゃん」というのは、2007年に滋賀県彦根市で開催された国宝・彦根城築城400年祭に使用されたイメージキャラクターです。このイメージキャラクターは、400年祭実行員会が公募しています。ひこにゃん事件には、商標権等の問題もありますが、著作人格権の問題について説明します(実際には、翻案権帰属の解釈なども問題となった)。
この問題が発生した原因は、著作権(著作財産権)と、著作者人格権の違いが理解されていなかったことです。
400年祭実行員会が提示したキャラクターの募集要項では「キャラクターの一切の著作権は実行委員会に帰属する」「キャラクターは同委員会が許可した団体等のホームページや出版物、PR用ツール等に対して自由に使用する」と規定されていました。この規定に基づいて、400年祭実行員会は、多数の事業者に「ひこにゃん」の商品化許諾をしています。しかし、利用できるデザイン範囲などに制限を設けなかったため、「ひこにゃん」に類似するデザインや、しっぽが付けられたぬいぐるみ等が流通することになりました。
400年祭実行員会は、原作者から著作権を譲渡されたので問題はないと考えたと思われます。しかし、著作権(著作財産権)は譲渡されても、著作者人格権は譲渡できません。このため、著作者人格権は、著作権譲渡後も原作者(デザイナー)が有することになります。
このため、原作者(デザイナー)は、ひこにゃん」に類似するデザインや、しっぽが付けられたぬいぐるみ等に対して、意に反する改変が行われたとして、原作者が著作者人格権の侵害を主張しました。
(補足1)
著作権移転契約における「一切の著作権は〇〇に移転する」は、著61条2項の「特掲」に該当しません。このため、特61条2項の推定規定が適用されることにより、著作権は移転しません。
(補足2)
利用者側が自由に使うことが想定される場合には、「著作者人格権を行使しない」という趣旨の契約締結を検討したほうが良いと思われます。ただし、その際には「通常よりも多い」対価支払いが必要と考えられます。
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