良くない意見書(特許出願)の例
情報発信されている方が提示された「良い意見書」とされるものは時々見ますが、「良くない意見書」というのは殆ど見たことがありません。
良くない意見書の条件を考えたのですが、良くない意見書とは、
「根拠が無い意見書」
「出願人の希望を述べているだけの意見書」
ではないかと思います。
これを掘り下げると、
(1)特許請求の範囲の記載に基づいていない主張のみ、
(2)独立請求項の記載に基づいていない主張のみ、
(3)機械構造等の特性を予想できる場合を除き、実験結果等の裏付けがない主張のみ、
である意見書かと思います。
(1)特許請求の範囲の記載に基づいていない主張のみの意見書
典型例が、明細書に記載された実施例は引用文献に記載の先行技術とは大きく異なりますが、特許請求の範囲が広すぎる場合での意見書です。
特許請求の範囲が広すぎる場合、特許請求の範囲に引用文献に記載された先行技術が含まれてしまい、新規性・進歩性が認められないことがあります。この場合、特許請求の範囲に記載された発明の範囲に先行技術が含まれるという理由で拒絶理由が通知されたわけであり、明細書に記載された実施例が先行技術と同じという理由で拒絶理由が通知されたわけではありません。
そうであるにもかかわらず、明細書に記載の実施例と先行技術の差異を頑張って説明しても、拒絶理由は解消しないと思われます。
この場合、審査官からは、「・・・請求項に記載された発明に関する主張ではなく、出願人の主張は採用できない」旨の拒絶理由通知か拒絶査定がなされると思われます。
(例外)用語の定義が曖昧なのが原因で、特許請求の範囲が広く解釈されている場合もあります。この場合、その用語の定義を明細書等の記載に基づいて説明することで、拒絶理由が解消することもあります。なお、審査官面接でその旨を説明すると、特許請求の範囲を補正してほしいと言われることもあります。
(2)独立請求項の記載に基づいていない主張のみの意見書
典型例が、独立請求項が新規性欠如、進歩性欠如で拒絶されている場合において、従属請求項の構成に基づいた効果等を主張するのみの意見書です。
独立請求項は従属請求項の内容を含みませんから、従属請求項の構成に基づいた効果等を頑張って主張するのみでは、拒絶理由は解消しないと思われます。
※頑張って主張の「頑張り度合」いとしては、A4数ページにわたって主張しているケースもあるようです。しかし、頑張る方向が間違っているので、望む結果は得られないと思われます。
従属請求項の構成に基づいた効果の主張をしたい場合は、独立請求項を従属請求項で限定する必要があります。
(3)機械構造等の特性を予想できる場合を除き、実験結果等の裏付けがない主張のみの意見書
機械構造や電気回路等は、その構造から機能・効果が分かったり、シミュレーションで効果を確認できることがあります。
一方、化学分野の発明やバイオ分野での発明では、その構造だけから機能・効果が分からないこともあるようです。
具体的には、新規な組成物・化合物や、組成物における数値限定を行っている場合、特許請求の範囲に記載された発明に対応したサンプルによる実験結果等の裏付けが無ければ、その発明の価値・優位性が分からない場合があるようです。
このような場合、従来技術に基づいて判断することになりますから、拒絶理由は解消しないと思われます。
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