見出し画像

世界遺産をバックにキリリ トルコ・イスタンブール編【新連載:アジアの猫】

グラフィックデザイナー&写真家
南幅 俊輔

今回から「アジアの猫」をテーマに、連載をスタートします。タイトル通りアジア各国で出会った猫たちのフォトエッセーですが、猫を通してその国の人々の暮らしぶりも伝えたいと思います。第1回の舞台は、まさにこの連載の始まりにふさわしい猫の街、トルコ・イスタンブールです。

おしゃれなジハンギル地区の猫(筆者提供)

猫もエキゾチック
東西文化の交差点

イスタンブールは、アジアとヨーロッパ、ユーラシア大陸の東西2つの地域にまたがる世界でも唯一の都市。神聖なモスクや、にぎわうバザールを訪れると分かるように、アジアとヨーロッパ両方の文化が混じり合い、独特なエキゾチシズムが生み出されています。混沌としているのは文化的なものだけではありません。街を歩けば、多くの猫に遭遇するのです。人と猫が行き交い、ごちゃ混ぜになってこの街を構成しています。

バックに世界遺産アヤソフィア。フカフカの被毛で貫禄たっぷり (筆者提供)

これまで訪れた海外の都市と比較しても、イスタンブールにいる猫の数は桁違いです。観光名所である世界遺産「アヤソフィア」や「ブルーモスク」周辺から、地元民が暮らす路地裏まで、どこに行っても被毛の長い(長毛種の)エキゾチックなトルコの猫に会えるのです。駅構内や、地下商店街など「まさかこんなところまで」という場所にも猫の姿があり、猫好きさんにとってはテンション爆上がりの街です。

イスタンブールの人々にも「猫の多い街」としての自覚があるようで、宿泊したホテルのスタッフも地図を広げ、猫スポットをたくさんマーキングしてくれました。猫たちを観光名所のように案内をしてくれるのですから「猫の多さは国の誇り」と思っているのかもしれません。

アラビアンなタイルにエキゾチックな猫(筆者提供)
土産店の前のキジトラ猫(筆者提供)
地下の商店街では数匹の猫が暮らす(筆者提供)
この路地には7匹の猫がいます。数えてみてください(筆者提供)

家猫と外猫が交流
自由に過ごす猫たち

もし猫好きさんがイスタンブールを訪れるなら、1日は下町の散策をおすすめします。下町といっても、新市街の観光名所である華やかなスラセルヴィレル通りを下った、交通の便も良い場所、ジハンギル地区です。観光ガイド本によると、その辺りはアンティークショップなど個性派の店舗が点在するおしゃれなエリアだそうです。猫たちも暮らしやすい坂の多い地域です。

階段脇のソファは猫専用(筆者提供)
オープンカフェのイスでくつろぐ茶トラ猫(筆者提供)

ジハンギル地区はアーティストも多く暮らしているそうで、ふと見ると空き地や階段脇には立派でアートな猫ハウスがあちこちに置かれていました。近づいてみると猫たちは皆さんお出かけ中で、ハウスの横には猫のご飯のカリカリ(キャットフード)と水がたっぷり置かれていました。

ハウスの存在を知っているのか知らないのか、猫たちはお気に入りの車の上でお昼寝したり、オープンエアのカフェのイスでくつろいだり。おのおの自由に過ごしていて、その姿にホッコリしてしまいます。

カラフルで立派な猫ハウス(筆者提供)
ジュースストアの看板猫(筆者提供)
車のボンネットで熟睡中(筆者提供)

このエリアを探索して気付いたことは、外で暮らす猫以外に、お店の看板猫や窓ごしに見かけた家猫も多くいたこと。

それだけでなく、家猫だけど自由に窓から外出する猫、外の猫と一緒に行動する首輪をした家猫など、区別というか、境目がはっきりしていない、さまざまな生活スタイルの猫が、それぞれに交流しながら日々を過ごしているようです。

混沌とした街イスタンブール、この街にふさわしい猫たちの暮らしぶりでした。

右は家猫、左が外で暮らす猫(筆者提供)
首輪をしている子猫(筆者提供)
窓から出入りする家猫? (筆者提供)

南幅 俊輔(みなみはば・しゅんすけ)
グラフィックデザイナー&写真家
盛岡市生まれ。2009年より外で暮らす猫「ソトネコ」をテーマに本格的に撮影活動を開始。ソトネコや看板猫のほか、海外の猫の取材、その他さまざまな動物たちの撮影も行なっている。著書に『ワル猫カレンダー』(マガジン・マガジン)、『美しすぎるネコ科図鑑』(小学館)、『ハシビロコウのすべて』『ラッコのすべて』(廣済堂出版)、『マヌルネコ15の秘密』(ライブ・パブリッシング)、『ハシビロコウカレンダー』(辰巳出版)。新刊に『コアラのひみつ』(カンゼン)、『ハシビロコウのボンゴとマリンバ』(辰巳出版)がある。