私はプレイリストを共有しない
自分のプレイリストは、誰にも見せてはいけないものだと思っている。
そこには、私がどんな言葉に救われ、どんな夜を越えてきたかが全部入っているから。
好きな音楽を知られることは、
心の奥に触れられることと、私にとっては同じだった。
自分の心の奥にある「好き」を誰かに見られてしまったら、
それは剥き出しの心を見られてしまうのと同じだと思う。
私は、自分の好きを否定されることが、とても苦手だ。
もしプレイリストを見て、微妙な反応をされたとしたら、
その人に心を開くことは、もうできない気がする。
それくらい、私にとってプレイリストは繊細なものだった。
私にとって音楽は、
誰かと共有した瞬間から、その人の記憶が残ってしまう。
一緒に聴いた曲は、その人との時間を閉じ込める。
だからこそ、
どれだけ好きだった曲でも、
その人が私のもとから去ってしまったあとには、
聴けなくなってしまうことがある。
だから私は、プレイリストを共有しなかった自分を、
あとから少しだけ誇らしく思った。
時間は元には戻らないけれど、
このプレイリストだけは、
彼と付き合う前の私のままだった。
夜、ひとりでイヤホンをつけたとき、
その曲たちは、まだ私の味方でいてくれた。
私のプレイリストは、私だけのものだ。
誰にも評価されることのない、
それでも確かに「好きだ」と言える曲たち。
たぶん私はこれからも、
好きな人にさえ、プレイリストは渡さないだろう。
