Photo by
yamaakko4
『しゃべる画像』(毎週ショートショートnote)
食後のコーヒーを飲んでいると彼女が話しだした。
「写真家の友人がアトリエ代わりに借りているアパートから
夜毎、音が聞こえると隣の住人から苦情が入ったけど
夜は誰もいないらしいのね。
そこでカメラを仕掛けたら、たしかに話し声のようなものが
録音されているんだけど人の影は写っていない。
友人は次の日、寝袋を持ち込んでアトリエに泊まることにしたの」
「それで?」
身を乗り出して聞く俺に、彼女は腕時計を見て
「あ!昼休み終わってる!」と慌てて喫茶店を飛び出した。
信号が点滅をやめたにもかかわらず交差点に入った彼女を
トラックは避けきれず・・・即死だった。
通夜の席で彼女の友人という写真家に会い、その話をした。
「生きているうちは喋らないんです」
私には意味が分からなかった。
「見て頂くのが一番です」アパートはすぐそこだという。
部屋は壁一面に人物の顔写真が貼られていた。
「また1枚喋りだしました」
指差す先の彼女の顔写真は私を見ると悲しげに喋りだした。
(410文字)
『本作品はamazon kindleで出版される410字の毎週ショートショート~一周年記念~ へ掲載される事についてたらはかにさんと合意済です』
