マウスピース矯正と商談
今回はマンゴーとはまったく関係のないお話です。
少しだけ寄り道をさせてください。
2026年、笹子は歯の矯正を始めた。
38歳からの挑戦である。
歯並びは決して悪くなかった。だが台湾では、多くの人が子どもの頃から矯正をしている。笹子も本当はやりたかった。しかし幼少期は家庭の事情で叶わなかった。
いつか矯正をして、ビッグボスのように堂々と笑いたい。
そんな思いを、ずっと胸に抱いていた。
きっかけは、あまりにも突然だった。
2025年の夏。家族で台湾・宜蘭を旅行していた時のこと。鳥の骨を思いきり噛んでしまい、奥歯が真っ二つに割れてしまった。
人生で一度も虫歯になったことのない笹子にとって、それは衝撃的な出来事だった。

幸いにも、奥歯は笑ったときには見えない。しかし歯を抜いたままでは、噛み合わせや歯並びに大きな影響が出てしまう。インプラントが必要になると言われた。
その瞬間、決意した。
「それなら、矯正を始めよう。」
こうして、新たな挑戦が始まったのである。
ワイヤー矯正の前段階として、現在はマウスピース矯正で歯列を広げている。

マウスピース矯正は、食事と歯磨き以外は基本的に外せない。水以外の飲み物を口にした場合も、歯磨きと洗浄が必要になる。
正直、とても面倒だ。
しかしそのおかげで、口内は常に清潔に保たれる。口臭も防げる。
世の中のおじ様たちは全員マウスピース矯正をした方が社会貢献になるのではないか――
そんな冗談を言いたくなるほどだ(笑)。
だが、最大の問題は仕事だった。
商談である。
マウスピースを装着すると、正直話しにくい。チャンピオンマンゴーの魅力を熱く語れば語るほど、発音が不明瞭になってしまう。
相手にとっても聞き取りにくく、想いが十分に伝わらないかもしれない。
かといって外して商談に臨めば、動き始めた歯が元に戻り、矯正が進まなくなる。さらに商談前にはトイレを探し、うがいと歯磨きを済ませなければならず、時間もかかる。

矯正と商談を両立することの難しさを、身をもって知った。
そこで、笹子は自分なりの工夫を始めた。
新規の商談では、想いを正確に伝えるため、直前にマウスピースを外し、歯磨きをしてから席に向かう。
既存の取引先との商談では、マウスピースを装着したまま白湯を入れた水筒を持参し、10分おきに口を潤しながら話を進めている。
これが正解かどうかはわからない。
しかし、今の笹子にとっては最善の方法だ。
終わらない挑戦
マウスピースの次はワイヤー矯正が待っている。食後の歯磨きやうがいでは取れない、空芯菜やネギが強敵だと聞いている。
それでも――
理想の笑顔のために。
そして自信を持って商談に臨むために。
笹子と矯正の戦いは、これからも続く。
