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昨年は社長、今年は現場のキーマン。なぜ伊勢丹は「現場の二人」を台湾へ送ったのか?

いよいよ、チャンピオンマンゴー出荷の時期が近づいてきました。

笹子が丹精込めて育て上げてきた、我が子のような、アイドルのようなマンゴーたちを日本の皆様へ送り出す季節。
これまでの積み重ねてきたすべてが試される、緊張と期待が交差する時期です。

そして今年も、あの伊勢丹がチャンピオンマンゴーの農園視察にやってきました。

昨年の第一歩は、社長、本部長、青果部長というトップ層が2泊3日の弾丸で産地を訪れました。農園から収穫、検疫、出荷までの流れをすべて視察し、その熱量を日本へ持ち帰って現場に伝えていただき、1年目の販売がスタートしたのです。

2年目となる今年。
私は同じく上層部の方が来られると思っていましたが、渡航が決まったのは「現場の最前線で動く二人」でした。

一人は、大田市場の現場を操る青果バイヤー。なんと私・笹子と同い年でありながら、伊勢丹で15年の社歴を持つ「本物を知る」ベテラン社員。
もう一人は、営業統括本部に所属し、現場での販促物や販売方法の指導、各店舗への教育を行い「売れる舞台を作り上げる」キーマン。

数いるメンバーの中から選び抜かれた、現場の精鋭二人。
「まだ現場を見ていない最前線の人間が見た方が、絶対に次の成果につながる」 この人選には、必ず意味がある。そう確信した私は、前のりで台湾へ戻り、二人を出迎える準備を整えました。

事前準備と、あえて距離を置いた初日

正直なところ、二人のことはほとんど知りません。前回のチーフ会議で名刺交換をした程度でした。

だからこそ、事前に青果部長に連絡を取り、二人の好み、趣味、特徴、気にすること、家族構成に至るまで、徹底的に下調べを行いました。私に与えられた時間は3日間。この短い期間で関係を築き、マンゴーのすべてを知ってもらうためには、この事前情報が命綱になります。

初日
台湾・松山空港で二人を迎え、台中にある検疫場視察へと向かいます。
お互いほぼ初対面。
二人は初めての台湾で、目に入るものすべてが新鮮で、吸収する情報が多すぎる状態でした。

「今ここで細かい話をしても、きっと頭に入らない」 そう判断した私は、あえてテンポを落としました。台湾鉄道の弁当を買い、新幹線で台中に向かう車中も、わざと少し離れた席に座りました。まずはこの環境を、色々な意味で消化してほしかったからです。

台湾鉄道弁当

台中に到着し、私のパートナーでありマーケティングのプロであるEasonと合流。車で検疫場へ向かいます。道中もまだ深い話はできず、少しの不安を抱えたまま検疫場に到着しました。

しかし、現場に入ると空気が変わりました。 マンゴーが到着してから出荷されるまでの一連の流れを説明すると、ベテランバイヤーから次々と鋭い質問が飛んできます。

検疫場で説明をする笹子

昨年の視察がキャンバスの下絵だとしたら、今年はそこに鮮やかな色を塗り始めたような感覚。次第に私の熱も高まり、身振り手振りを交えて必死に説明しました。 Easonが中国語で語り、私が日本語に同時通訳する。 「通訳とは、ただ言葉を変換することではない。想いそのものを伝えることなのだ」

無事に視察を終え、新幹線で高雄へ。
そこから車に乗り換え、産地である屏東(ピントン)へ向かいます。車中ではようやくリラックスして話すことができ、私が「スパイのように二人の事前情報を調べていた」と明かすと、車内に大きな笑いが起きました。前回のチーフ会議での私の想いがしっかり伝わっていたことも分かり、ようやく肩の荷が下りました。

「終電もない。あるのは本物を語り合う時間だけ」

ホテルにチェックインし、シャワーを浴びて一息ついていた時、電話が鳴りました。 「笹子さん、上のバーで1杯だけ一緒に飲みませんか?」 二人からのお誘いでした。

実はお酒をあまり飲まれない二人。
飲みニケーションは難しいかと心配していた私は、二つ返事で「喜んで!」と部屋を飛び出しました。奇しくもそこは、昨年の夜、社長たちと熱く語り合ったのと同じバー。

何かの扉が開いたかのように、私たちは語り合いました。 現場ならではの悩み、売り場の工夫。チャンピオンマンゴーをどうやってお客様に届けるか。 次々と素晴らしいアイデアが生まれ、夜が更けるのも忘れて熱い時間を共有しました。

日中の商談も大事です。でも、本当に人の心を動かし、名案が生まれるのはアフターファイブの時間。
ここには終電を気にする必要も、明日の満員電車もありません。あるのは、本物を創り、本物を届ける者同士が語り合う時間だけでした。

「酸味、甘味、人間味」が最高のバランスになる時

2日目。いよいよ農園視察です。 150ヘクタール以上ある広大な農園。5月とはいえ、昼間は35度を超える屏東。収穫は朝5時から8時という限られた時間に行われます。 私たちはお互いに汗だくになりながら農園を歩き、露地栽培ならではの生命力あふれるマンゴーを見てもらいました。

もぎたてのチャンピオンマンゴー

汗だくになった後は、農園横のビーチカフェでマンゴーの食べ比べ。これも私の作戦の一つでした。 ここでしかできない、3つのステージの食べ比べです。

  1. つい先程まで木についていたマンゴー

  2. 収穫して3日経ったマンゴー

  3. 日本に出荷される一歩手前の完熟マンゴー

それぞれ全く性格が違います。 少し酸味があって尖っている「反抗期のとれたて」。 少し丸くなり社会に馴染んだ「3日目」。 そして、経験を積み、人々に幸せを分け与える「完熟」。

以前、社長がこう仰っていました。
「甘ければ甘いほどいいわけじゃない。酸味、甘味、人間味、それぞれが一番良いバランスになった時が、一番美味しいんだ」と。

最高のシチュエーション、息を呑むような風景、そして最高のチャンピオンマンゴー。 それを口にした二人の弾けるような笑顔が、すべてを証明してくれました。

ここでしか食べれないチャンピオンマンゴー

静まった円卓が、我々を一つにした

午後からはパッキング工場へ。 毎日2,000〜5,000箱を出荷する我々には、とにかく時間がありません。朝5時から夜中2時まで、ご飯を食べる暇もない日々。私のもう一人のパートナーである盧さんは、激務で5kgも痩せてしまったほどです。

しかしこの日は、伊勢丹のお二人が来てくれたおかげで、久しぶりにゆっくりと、ちゃんとした昼食をとることができました。 円卓を囲む我々のテーブルから聞こえるのは、カチャカチャという箸の音だけ。がむしゃらにご飯をかき込み、会話すらありませんでした。

でも、決して変な雰囲気ではありません。
本物を見極める伊勢丹の二人と、本物を作り上げる我々。静まり返った円卓の上の無言の共鳴が、確実に我々を一体化させていました。

昼食を終え、台北へ。 「なんだかもう、3〜4日くらい台湾にいる気がします」 お二人から出たその言葉は、私にとって最高の褒め言葉でした。
それほど濃厚で濃密な時間を過ごせた証拠です。

夜は、台北で生まれ育った私が案内する「笹子ナイト」。 東京にも負けないこの大都市の熱気を感じてほしくて、下町、夜市、繁華街を数時間で駆け抜けました。コンサートで言えば、最高潮に達する終盤の3曲のような、楽しく熱い夜でした。

最終日は、私が学生の頃から通う行きつけのローカル朝食屋へご案内し、現地のスーパーの陳列や販促物の視察を行って、全日程が終了しました。

今回、お二人が台湾の地で、五感すべてを使って感じ取ってくれた熱気、想い、ストーリー。 それらはすべて日本に持ち帰られ、チャンピオンマンゴーが最高に輝く「販売の舞台」として創り上げられます。 あとは、私たちが育て上げたマンゴーがその舞台に並び、皆様のもとへ旅立つだけです。

いよいよ6月5日から、伊勢丹新宿店、クイーンズ伊勢丹、大野屋の全店舗で販売が始まります。

国境を越え、関わるすべての人の「実力」「努力」「協力」の結晶であり、感動の物語が詰まったチャンピオンマンゴー。 ぜひ店頭へ足を運んでいただき、この熱い想いとともに、極上の味わいを楽しんでいただきたいです。

現場の行動力、そして現場の人間に一番近い存在である二人を送り込んできた伊勢丹の上層部。 その人選の深さに、この企業の凄みと本気度を改めて実感しました。

全てのことに意味がある。 彼らと熱く語り合った時間は、間違いなくこれからの「チャンピオンマンゴー」の未来を変えていくはずです。

笹子の挑戦は、これからも続きます

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