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台湾からひむろしらゆき祭へ――友情が生んだ奇跡のかき氷

皆さんは、「かき氷の神社」があるのをご存知でしょうか。

奈良にある 氷室神社 は、氷の神様を祀る神社として知られています。古くから氷の保存や製氷に関わる人々の信仰を集め、今では全国のかき氷職人たちにとって特別な場所になっています。

氷室神社

そんな氷室神社で毎年開催されるのが、「ひむろしらゆき祭」。

今年で13回目を迎えるこの祭りには、全国から名だたるかき氷店が集まり、2日間にわたり大盛り上がりとなります。

そして今年、海外からは台湾の 朝日夫婦 が参加しました。

実は、朝日夫婦のオーナー・ウェイユーは、以前紹介した私・笹子の大学時代の同級生でもあります。

今回は彼の協力のもと、私たちが育てた「チャンピオンマンゴー」をふんだんに使った特別なかき氷を、ひむろしらゆき祭で披露することになりました。

全国から集結

ウェイユーは今回で3回目の参加。私は初参加。
数ヶ月前から何度も打ち合わせを重ね、準備を進めてきました。
台湾ではフレッシュマンゴーを使います。しかし、この時期の日本ではそれができない。だからこそ、冷凍したチャンピオンマンゴーをどうすれば“まるで生のような食感と香り”にできるのか、何度も試作を繰り返しました。

解凍の温度、タイミング、切り方、ソースとの合わせ方。

細かい部分まで徹底的にこだわった。

途中、お互いの意見がぶつかり、言い合いになることもありました。

でも、それは「もっと良いものを作りたい」という気持ちが同じだったから。

最高のかき氷を、食べてくれる人に届けたい。
その想いだけは、ずっと一致していました。

迎えた前日。

今年は例年とは違う会場での開催だったため、現場は想像以上に慌ただしかった。お客様の動線を考え、写真撮影スポットを作り、足りないものを買いに走る。どれだけ準備しても、現場では必ず予想外のことが起きます。

でも、それが楽しかった。

一つひとつ問題を見つけて、考えて、試して、解決していく。

まるでRPGゲームのようだった。

設営準備をする

設営を終えた後は、仕込みのお手伝いへ。
日本の参加店は自分たちの店舗で仕込みをして現場に運べますが、台湾から来た私たちはそうはいきません。

そこで全面協力してくださったのが、奈良の名店 ほうせき箱 でした。

仕込み場所を貸してくださり、道具まで提供していただいた。
普段は入ることのできない厨房に入らせてもらうと、そこは驚くほど整理整頓されていて、必要なものがすべて揃っていた。

「さすが名店だ」

そう感じました。
迷惑をかけないよう、使ったものは元に戻し、汚したものは綺麗に洗う。
感謝の気持ちを込めながら準備を進めました。

そして、いよいよ本番。

当日は朝7時から会場入り。
すると、すでに長蛇の列ができていた。前の方には椅子や毛布を持っている人もいて、どうやら夜から並んでいたようだった。

「これが、カキゴーラーなのか…」

思わず息を呑んだ。
期待してくれている人たちを絶対に裏切りたくない。
チャンピオンマンゴーを知ってほしい。

長蛇の列

そんな気持ちで準備を進め、時計は10時を迎えた。

会場内には、氷室神社の神様が祀られた神殿があり、そこで神事が行われる。神様に捧げられるのは、一杯のかき氷と大きな氷。
関係者全員が頭を下げ、厳かな空気の中で儀式が終わった。
不思議と心が引き締まり、力をもらった気がした。

1杯のかき氷
関係者全員で一礼

振り返ると、列はもう最後尾が見えないほどになっていた。

緊張した。

でも、とにかく目の前のお客様に全力を尽くそうと決めた。
この日のために、小さなカードも作っていた。
チャンピオンマンゴーの紹介と、感謝の気持ちを書いたカードだ。

1日目のかき氷は「淡水サンセット」。

大学時代を過ごした台湾・淡水の夕日をイメージした一杯。
チャンピオンマンゴーと赤いドラゴンフルーツを使い、中にはカットしたマンゴーと白玉を忍ばせた。

1日目淡水サンセット

11時開始予定だったが、待ちきれないほどの人の多さで15分前倒しでスタート。

扉が開いた瞬間、一気にお客様が流れ込んできた。

会場中に氷を削る音が響き渡る。

ありがたいことに、私たちのブースにも長蛇の列ができた。
入口近くだったこともあり、列は外まで続いていった。
普通なら一杯3分ほどかかるかき氷。でもウェイユーは、驚くほど正確で丁寧に、1分半で作り上げていく。

1つ1つ丁寧に作り上げていくウェイユー

さすがだった。

私はお客様にチャンピオンマンゴーの説明をしながら会計を担当した。
今までは商談ばかりしてきたけれど、久しぶりに直接お客様と話した。
みんな、ウェイユーが作るかき氷を見ながら笑顔になっていく。完成したかき氷を写真スポットに置き、お客様が撮影し、笑顔で帰っていく。

その姿を見た瞬間、何ヶ月もかけた準備がすべて報われた気がした。

営業終了後はすぐ片付けをし、翌日の仕込みへ。
そこで、また忘れられない出来事があった。
ほうせき箱のスタッフさんと話している時、「日本の方ですか?台湾の方ですか?」と聞かれた。

私はこう答えた。

「実は、チャンピオンマンゴーを作っている人です」

するとスタッフさんたちは驚いて、

「あ〜!!あの方ですか!!」

と言ってくれた。

昨年、ほうせき箱さんではチャンピオンマンゴーを使ったかき氷を販売してくださっていた。
スタッフさんたちにも評判だったらしい。

その瞬間、点と点が繋がった。
オーナーの岡田さんが、普段から私の話をしてくださっていたのだと感じた。

胸が熱くなった。

人の純粋な想いは、人の心を動かす。

今度は私の心が動かされていた。


2日目。

この日も朝から行列。

しかし、この日のかき氷はさらに難易度が高かった。

「マンゴー大福かき氷」。

かき氷の上に、大福の生地をふわりとかぶせる一品だ。

2日目マンゴー大福

ウェイユーが生み出したその生地は、驚くほど柔らかく、ゆっくりと氷を包み込むように落ちてくる。でも、タイミングを間違えると崩れてしまう。
乗せる瞬間、提供する瞬間、写真を撮る瞬間。
すべてが完璧に合わなければならない。

何度もシミュレーションを重ね、本番に挑んだ。
そしてこの日は、まさにかき氷日和。

暑かった。

神様が味方してくれているようだった。
開始30分前倒しでスタートしたが、列は途切れることなく続いた。

列は途切れることがなかった

途中、アクシデントもあった。
大福が崩れたり、マンゴーが落ちたり。
そんな時はすぐ作り直した。

お客様は「このままで大丈夫です!」と言ってくださった。

でもウェイユーは妥協しない。

「完璧な状態で食べてもらいたい」

その気持ちは、私も同じだった。

お客様が運ぶ途中で落としてしまった時も、私たちは無料でもう一杯作った。

すると皆さん、すぐ財布を出して「払います」と言ってくれる。

でも私はこう伝えた。

「お代は大丈夫です。その代わり、いつか困っている台湾の人がいたら助けてあげてください」

その時のお客様の目を、私は忘れられない。

「おいしかった!」「こんなマンゴー食べたことない!」 その言葉に支えられ、用意した分はすべて完売しました。腰が痛くて動けないほどでしたが、心はこれまでにない幸せな余韻に包まれていました。

大学時代、寄宿舎の小さなモニターで日本のドラマを見て、一緒に泣いていたウェイユーと私。 今は、台湾を代表するかき氷職人になった彼。 そして、自分が栽培したチャンピオンマンゴーを日本に広めている私。

腰が限界な笹子

二人の友情が生んだ、奇跡のかき氷。 この二日間の感動を力に、

笹子の挑戦は、これからも続いていく。


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