毒親だったと氣づいた日 ― 親だからといって、すべてを許さなくてい
第1章:娘へ伝えた“光の知識”のつもりが…
「わたしを洗脳しないで!」
当時18歳だった娘が、そう言った。
そのひとことに、わたしの中の時間が止まった。
まさか娘の口から「洗脳」なんて言葉が出てくるなんて思いもして
いなかったから。
わたしはただ――
娘が少しでもしあわせになれるように、
これまで学んできた“光を感じるような知識”や“魂が喜ぶ生き方”を伝えて
いただけだった。
それは愛のつもりだった。
娘を守りたい一心だった。
でも、その言葉を聞いたとき、ハッとした。
そうか、それはたしかに「洗脳」だったのかもしれない。
「しあわせになってほしい」という想いの奥に、
わたし自身の恐れや理想を押しつけていたことに氣づけなかった。
第2章:「わたし毒親だった」…その氣づきと痛み
わたしは、かつて母から強い支配を受けてきた。
だからこそ、娘には同じ思いをさせたくないと思っていた。
母のようにはなりたくないと、何度も自分に言い聞かせてきた。
なのに、氣づけばわたしは――
“母とは違う形の支配”を娘にしていたのだと思う。
しかも、娘はずっと「お母さん、大好きだよ」と言ってくれていた。
そのやさしさに、わたしは甘えていた。
娘なら、わたしを理解してくれるだろうと、どこかで慢心していた。
感受性がとても豊かで、繊細で、太い芯があり、頭の回転もはやい娘は、
何も言わずにわたしから距離を取っていった。
音信不通。
わたしは混乱した。悲しんだ。自分を責めた。
自分なりに反省し、謝罪のメッセージも送った。
けれど、どんな手段もすべてシャットアウト。
それは、娘が“自分を守る”という選択をしたのだと思う。
そうしないと生きていけなかった。
あの子は、きっとわかっていた。
そして、10年以上の歳月が経った頃、ようやく氣づいた。
「……わたし、毒親だったんだ。」
第3章:母との再接触と、“変わらないもの”への直感
その頃だった。
約20年間、音信不通だった母から、突然電話がかかってきた。
「お父さんとの関係で、どうしても困っていて……どうしたらいい?」
素直に、うれしかった。
久しぶりに“母と話せる”ということ自体が、どこか救いのようにも思えた。
母の話に耳を傾けていると、内容によっては妻として、母として、ひとりの人間として共感できることもあった。
何度も何度もかかってくる電話に、わたしはできる限り寄り添った。
「そんなに成長したのね!頼もしいわ!」
「親を超えたわね!」
母はそう言って、わたしに信頼を寄せてくれるようだった。
けれどある日、ふと思った。
――母はたしかに謙虚になった。
でも、芯は何も変わっていない。
結局のところ、わたしのやさしさに甘えているだけだったのだ。
わたしを“味方”につけて、自分が夫より優位に立ちたい。
そのために“情”でわたしに訴えかけている――そんな氣がした。
自分のこれまでの行いを振り返り、本質に目を向けるのではなく、
ただ相手が変わることを望み続ける。
それは、かつてのわたしと、あまりに重なって見えた。
第4章:親子という幻想からの解放
そして、ある日わたしは母に言った。
「もうお母さんとは一切関わらない。」
それは、わたし自身を守るための決断だった。
親だからといって、
わたしの時間やエネルギーをすべて差し出さなければならない理由はない。
母が自分でつくってきた問題を、
わたしが代わりに引き受ける必要もない。
いい娘を演じることを、もう終わりにしようと思った。
そのとき、少しだけ
あの時、わたしから離れていった娘の氣持ちがわかったような氣がした。
結びのことば:ほんとうの愛を知る扉
あの時、娘が放ったひとこと。
「洗脳しないで」――その言葉は、わたしの中の愛のかたちを根底から問い直す光だった。
わたしは、母を手放した。
そして娘は、わたしを手放した。
それは、どちらも“自分を守る”という尊い選択だったのだと思う。
この“断絶”のような出来事が、
わたしにとっては“ほんとうの愛”を思い出すためのはじまりだった。
いまもまだ、心のどこかに、癒えきらない部分がある。
けれど、わたしはもう「見ないふり」はしない。
静かに、真実を見つめながら、
風が通う場所を少しずつ取り戻している。
そしていま、こうして書きながらふと思う。
あの子が、あの瞬間に“自分を守ってくれたこと”――
それは、母であるわたしにとっても、魂の目醒めへの扉だったのかも
しれない。
そっと、心の奥から祈る。
どうか、娘が娘自身の人生を生き、
そのままの存在で、しあわせでありますように。
わたしの祈りは、いつか風になって、
あなたの物語のどこかにも届くかもしれません。
そのとき、あなたの心がふっとやわらかくほどけていますように。
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