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【法でみる『爆上戦隊ブンブンジャー』】 第2話より シャーシローに依頼した駐日大使―大使の外交官特権―

※この記事は法の専門家が書いたものではなく、特撮好きの法学部生によって書かれたものです。多少の誤りがあるかもしれませんが、あたたかい目で読んでください。いい勉強になりますので、誤りについてはご指摘いただければうれしいです。

※この記事は作品や作品の登場人物たちを批判する意図で書かれたものではありません。あくまで作品の楽しみ方の一つとして捉えてくだされば幸いです。

※ネタばれ含みます


バクアゲ2「情報屋は認めない」あらすじ
 
 大也(井内悠陽)たちの次の仕事は、「極秘で日本にやってきたとある国の大統領に極秘資料を極秘で届ける」こと! ヒミツだらけの爆上げな仕事ということで、新しくなかまになった未来(鈴木美羽)は大はしゃぎだ。そんな彼女に、射士郎(葉山侑樹)は「認めてないぞ、俺は」と冷たい。しかし、大也から「今まで俺がホレ込んだもので、失敗があったか?」と言われると、射士郎は過去を思い出して、しぶしぶ未来を連れて依頼人との待ち合わせ場所へ向かった。
 射士郎と未来が待ち合わせ場所にいると、苦魔獣・ソウジキグルマーが突然現れ、依頼人が持っていた極秘資料が吸い込まれてしまった! 未来はすぐにブンピンクにチェンジするが、射士郎はなぜか戦おうとせず、しかもピンチな彼女を置いてどこかへ消えてしまった。その場に駆け付けた大也は、未来から「シャーシロが逃げた!」と伝えられると、「なるほど、爆上げだ!」となぜか笑い…!?
 そんな時、ブンブンワゴンがつっこんできた! ブンブンワゴンを運転するのは、逃げたと思われた射士郎だ。射士郎は、ブンブンワゴンのマジックハンドでソウジキグルマーをはさみ、そのままスクラップ工場へ。ゴミの山に放り込まれたソウジキグルマーは、「片付けなければぁ!」と大喜びだ。しかし、ゴミを吸いまくったソウジキグルマーは、すぐにノズルを詰まらせてしまった。
 これこそが、射士郎のねらいだった。彼は、ソウジキグルマーの吸い込める量に限界があることを見抜いていた。そこで、大也が持ち主から買い取ったスクラップ工場にソウジキグルマーを運び、極秘資料が入ったタンクごと回収しようとしたのだ。
 射士郎と大也の息が合った作戦だったことを知って、未来はビックリ! 感動する彼女に、大也は「スゴイのは未来もだ。シャーシロに認められているだろ」と笑った。「ブンブンカーの準備のための時間稼ぎを未来に任せた。要は、未来を仲間として認めているってことだろ!」と大也から言われて、射士郎は「違う。俺は…そんなつもりは」と言いかけたが、未来から感謝されて言い返せなくなった。やがて3人は、ソウジキグルマーを倒して、復活して巨大化したソウジキグルマーにもブンブンジャーロボで勝った。
 バトル後、無事にミッションをクリアした未来は、「あたし、届け屋の仕事…好きかも!」とニッコリ。そんな彼女に大也も笑い、射士郎も少しだけ笑顔を見せた。ちょっぴり仲が深まった3人に、次はどんな依頼がやってくるのだろうか…。

テレビ朝日「ストーリー|爆上戦隊キングオージャー」(https://www.tv-asahi.co.jp/boonboom/story/0002)」より引用


大使の外交官特権

 外交関係は長らく国際慣習法として存在してきましたが、1961年にこれを法典化する外交関係に関するウィーン条約(以下「外交関係条約」といいます)が採択されました。
 大使は、通常、外交使節団の長として派遣国を代表します。外交使節団の任務は、外交関係条約第3条によれば、①接受国において派遣国を代表すること、②接受国において派遣国およびその国民の利益を保護すること、③接受国の政府と交渉すること、④派遣国と接受国との間の友好関係を促進し、両国の経済的、文化的および科学的関係を発展させることなどとされています。
 外交関係条約第31条第1項は、外交官について、接受国の裁判権からの免除を原則として認めています。刑事裁判権については例外を設けておらず、外交官は接受国の刑事裁判権から免除されます。他方、民事裁判権および行政裁判権については、①接受国内に所在する外交官個人の不動産に関する訴訟、②外交官が相続に関して私人として関与する訴訟、③外交官が接受国において公的職務の範囲外で行う職業活動または商業活動に関する訴訟について、免除の例外を定めています。
 このうち「商業活動」の意義については、外交関係条約第42条が、外交官は、接受国内において個人的な利得を目的とするいかなる職業活動または商業活動にも従事してはならないと定めていることが参考になります。もっとも、ここでいう「商業活動」は、単に外交官が民事上の契約を締結すること一般を意味するものではなく、外交官自身が営利を目的として行う活動を意味すると解するのが適切です。
 この点について、2022年の英国最高裁判所のBasfar v Wong事件では、外交官が家事使用人に対して賃金を支払わず、強制的に労働させるという意図的かつ継続的な行為を行っていたことについて、外交官自身に実質的な経済的利益が生じていたことを重視し、この行為が外交関係条約第31条第1項(c)にいう「商業活動」に該当すると判断しました。この判決は、「商業活動」を形式的な商取引に限定せず、外交官が私的な利益を得るために継続的に経済活動を行っている場合にも、一定の事情の下でこれを認めるものであると評価できます。
 もっとも、外交官の裁判権免除は、外交官個人の利益を保護することを目的とするものではありません。外交関係条約の前文が示すように、その趣旨は、国家を代表する外交使節団の任務を能率的に遂行するために必要な特権および免除を確保することにあります。したがって、外交官の民事裁判権免除の例外を検討する際には、当該行為が外交官自身の公的職務とは無関係な私的・営利的活動として行われたものであるかという観点から、外交関係条約第31条第1項(c)を解釈する必要があります。

シャーシローに依頼をした駐日大使
 シャーシローは、とある国の駐日大使から、「極秘で日本に入国したとある国の大統領に、極秘資料を極秘に届ける」という依頼を受けました。この依頼は、依頼主が外国の大使であることから、通常の私人間の契約とは異なり、紛争が生じた場合の法的処理が複雑になると考えられます。
そもそも、「極秘で日本に入国したとある国の大統領に極秘資料を届ける」という行為は、外交関係条約第3条に規定される外交使節団の任務に当然に該当するものとは考えにくいです。もっとも、大使が外交上の秘密保持を伴う活動として行ったものであれば、その具体的な目的や態様によっては、公的職務との関連性が認められる可能性もあります。
 本件における主要な問題は、この大使の行為が、外交関係条約第31条第1項に定められる裁判権免除の例外に該当するか否か、特に同項(c)の「職業活動または商業活動」に該当するか否かにあると考えます。「商業活動」を、単に外交官が民事上の契約を締結すること一般を意味するものではなく、外交官自身が営利を目的として行う活動と解するのであれば、本件における大使の行為は、自己の利益を得るための営利活動とはいえず、「商業活動」には該当しないように思われます。また、資料を大統領に届けるという行為自体も、通常の意味での経済活動とは言い難いです。
 したがって、外交関係条約からは、本件のような行為について直ちに裁判権免除を否定する根拠を導くことは困難です。もっとも、外交官の裁判権免除は、外交官個人の利益を保護するためのものではなく、国家を代表する外交使節団の任務を能率的に遂行するために認められているものです。この趣旨を踏まえると、仮に本件の「極秘資料」が実際には大統領のプライベートな写真など、大統領の私生活に関する物であった場合、その資料を大統領に届ける行為は、大使の通常の公的職務とは関連性が薄く、外交官としての機能的必要性によって正当化することが困難であるとも考えられます。
 もっとも、「公的職務の範囲外であること」と「第31条第1項(c)の商業活動に該当すること」は別問題です。 同項(c)は、単に公的職務の範囲外の行為であることだけを理由として免除を否定しているわけではなく、「職業活動または商業活動」であることも要求しています。そのため、本件の行為が公的職務の範囲外であったとしても、それが商業活動等に該当しない限り、同項(c)を根拠として直ちに裁判権免除を否定することには慎重である必要があります。

参考文献
<書籍>
・加藤信之、萬歳寛之、山田卓平編『概説国際法』(2024年、有斐閣)第5章「国際法上の免除」Ⅲ「外交関係・領事関係」133-138頁。
・森川幸一、兼原敦子、酒井啓亘、西村弓編『国際法判例百選(第3版)』Ⅳ「国家管轄権」21「外交特権免除の根拠ー大使館員課税事件」48-49頁。



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