「花びらを」 #シロクマ文芸部
「花びらをのせます。」
「花びらですか?」
「はい。何の花でも良いんですが、季節の花がいいですね。
みじん切りも風味と色彩が出ます。
今日はオレンジのガーベラを用意しました。
」
ザッピングして、適当につけた料理番組。
気難しそうな料理研究家は、鮮やかなガーベラを手にしていた。
そして、気前よく切ったステーキに何輪ものガーベラを落とした。
「綺麗ですね。
…これは食べるときはどうするんですか?」
やや引きつった顔をしたアシスタント役が、笑みを消さないようにしながら尋ねた。
それは俺も知りたい。
俺はリモコンを脇へ置いた。
「お肉とね一緒に食べると美味しいんですよ。
隠し味って奴ですね。
いや、飾り味かな。」
「えーと、どんなお花でもってわけじゃないですよね?」
「いや、どんな花でも大丈夫です。
こうやって食べると、毒とかそういったものはなくなるんですよ。
花の魂だけ食べるっていうかな。
トリカブトとかチョウセンアサガオなんかもいけます。
季節の花だと思って食べればね。」
「えーと、それは…あの、ご視聴の方々は食用花でお試しになられると抵抗が少ないかもしれませんね。」
よくこの収録がカットされずに放映されたなと思いながら、結局番組の最後まで見てしまった。
明日の帰りに、道端で見つけたホトケノザなんか道端で摘んで来て肉の上に乗せて食べてみようかなんて思いながら。
おわり
