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呪いの連鎖【第1章】〜母の不倫〜①

母の夜遊びも定番化してきた頃
突然母から
「明日、一緒に遊園地行かない?友達1人なら誘っていいよ。」

急なことではあったが
母からの誘いは嬉しかった。
父は行かないのかな?と疑問には思ったが
聞くことは出来なかった。

近所の友人を誘い
翌朝、なんだか違和感を感じながら
父を残し、出発することに。
父は元々寡黙な人ではあるが
「いってきます」の言葉に返事はなかった。

母、友人、私とで玄関を出て
少し歩いた所に1台の車が停まっていた。
「お待たせ!」
母が運転席に座る人に声を掛ける。
……だれ?……

後方席に座るよう促される。
友人も私も車に乗り込むが
見たことない男性。
母は楽しそうだ。
なんか変な感じがする…子供心なりに
違和感を感じてザワザワする。

そんな私の心とは裏腹に車は出発し
遊園地に向かって走りだした。

2時間くらい走っただろうか。
目的地である遊園地に到着し、入場後
「好きに遊んでいいよ、お母さん達は
ずっとここにいるからね。」と
テーブルつきのベンチに母と見知らぬ男性は
腰を掛けた。

私は違和感がありながらも
久しぶりの遊園地が嬉しくて、友人と
「どれに乗ろうか?」などと楽しい時間を堪能した。

乗り物に乗る合間に
ベンチに立ち寄ることもあったが
終始、母と男性は楽しそうにしていた。

車で送ってもらい帰宅するまで
私はその男性と話すことはなかった。
紹介さえされなかった、この男性は一体誰なのか
疑問には思っていても
それを母に聞かなかった。聞くことが出来なかった。聞いたらいけない気がしていたのだ。

夜、自宅に戻ると
父はテレビを見ていた。
「ただいま」
私の声に反応して、父が振り向く。
「おお」
だが、どこに行っていたのか、誰と一緒だったのか、何も聞かれることはなかった。
そもそも母が父に何て言っていたのかも
知らなかった。
変な罪悪感があり、私はすぐに寝てしまった。
帰宅してから母に話しかけられる事もなかった…

その後も母の夜遊びは
細々と続いてはいたが
ある日、学校から帰宅すると
母が一生懸命に料理をしていた。
テーブルには沢山の料理が並んでいて
何事かと思ったが
「今日はお母さんの友達が沢山飲みに来るよ」と
言った。
初めての事ではあったが
あまり気にならなかった。そうなんだ、位にしか考えていなかった。

夕方、続々と母の友人とやらが集まりだす。
その中に
遊園地の時の男性がいたのだ。
ビックリして、どう反応していいのか
まったくわからなかった。

父が会社から帰宅して
輪に交わった。
この会の事を知っていたのか、どうなのか
それは私にはわからなかったが
男性も女性も合わせて10人くらいは居たので
ワイワイと騒がしく
父がどんな顔をしていたのかは記憶にない。
ただ、みんな酔っ払っていて
母の甲高い笑い声が、とても気持ち悪かった。

後日、またそのメンバーで
外に飲みに行くことになったらしく
私たち家族とパート仲間、男性達とで
駅で待ち合わせをし、居酒屋へ。
その後、パブに移動。
私は10歳、夜遅くに訳のわからない
お姉ちゃんはいるし、見たことのない大人の世界。眠い…

パブを出て、もう交通機関もなくなった時間。
川沿いをみんなで大声を出し、笑いながら歩く。

私は眠いし、ふらふらしていると
父が私の側にやってきて手を繋ぐ。
父と手を繋ぐなんて何年振りだろうか、ビックリした。
ふと、父の顔を見上げると
「もうこういうの、嫌だな」と
悲しそうに笑った。
この時、父が何を考えていたのかはわからない。

その間も、ちょっと後ろに下がって騒いでいる連中たちに紛れて
相変わらず母の甲高い笑い声が響く。
ふと後ろを見ると大爆笑しながら、男性の腕に絡みついて楽しそうにしている母の姿が目に入った。

ただただ、嫌悪感しかなったが
「お母さん、一体どうしちゃったんだろう?」
もうそこで見た母の姿は
私の知っている人ではなかった。


この件があってから
みんなで集まることはなかった。
その男性も家に来ることはなかった。
母の夜遊びは続いてはいたが
パートのない日にパート仲間が昼間集まったりしていて
パート仲間のまだ小さな子供のお守りをさせられたりするようになり

段々と家に帰宅するのが
苦痛になっていった…
それでも不思議なことに、母を嫌いになることはなかった。
ただ漠然と「いやだな、こんな毎日」と
思っていた。

やがて私も中学生になり
多感な年頃になってくる。
嫌でも【不倫】【浮気】と言う言葉を知り
家庭の中がどんどん妙な空気になっている。
その頃には母も、もう堂々としていて
夜遊びは続いていたし
パートのない土日は帰宅しなくなっていた。
男性に会えない日は
わざわざ家を出て公衆電話で会話を楽しんでいるようだった。
父は何も言わなかったが、毎日機嫌が悪かった。


ある日
私の部屋を母がノックした。
「ちょっと…いい?」
何?きっとロクな事じゃない。
私は嫌な気分だったが、部屋のドアを開けた。
そこには悲痛な顔をして立っている母がいた。


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