呪いの連鎖【第1章】〜母の不倫 終〜
彼とは順調だった。
彼の寮がなくなるのを機に、一人暮らしを始めたが、洗濯機と冷蔵庫をあげた。
彼は前カレと使ったのを知っていたが
気にする人ではなかった。
私もほどなくして、彼の家に転がり込むが
「一人暮らし満喫したかったのに笑」と笑って受け入れてくれた。
私の家庭の事情も知った上で、母ともおじさん(不倫相手)とも交流してくれた。
母も嬉しかったのか、私たちを招いては
良く一緒に飲んだ。
もう父がいなくなってしまったし
あんな事があったとはいえ、反対する公的な理由もなくなり、私はこの『おじさん』を受け入れるしかなかった。母も若い。1人になれば寂しいだろう…そんな風に、少しずつ自分に言い聞かせてきていた。
実際、彼と長く住んでいれば
母達を目にすることもなく、気にならなかった。
彼と2年一緒に過ごして
結婚することになり
結婚式場を決めたり、ウェディングドレスをどれにするか、、、とバタバタとした日々も半年を過ぎ、結婚式前日
私は母とホテルの一室にいた。
結婚式を彼の実家近くで執り行うため
遠方の私たちは朝が早いので前泊していた。
親戚もくるし反対したかったが、おじさんも参列する。
夜、寝る前に
…これはアレを言わなければならないのか?
ベッドに潜り込み
「お母さん.24年間、私を…」
言いかけた所で母が
「やめて!そういうのやめてよ」
そう言われたのでやめた。
嫌な思い出ばかりだけど、不倫が始まるまでは
ヒステリックな母ではあったが、育ててもらったし、少なくとも高校の費用も、結婚式の費用も
出してもらっている。
そこに『金くらい出してよね』という
悪魔な私がいたことも否定は出来ないが
感謝もしていた。少しだけ。
やめてというので、素直にやめた。
形式的な事を言ったところで心がこもらない。
明日の式に備えて早めに就寝した。
翌朝結婚式が始まって
私と彼は結婚した。
『この人と結婚するのかも』と思った事は
現実となった。
式の最後に親に花嫁が手紙を読むが
私も読んだ。
でも私の目からは一粒の涙もこぼれることはなく
淡々と読み上げた。
後に様々な人に
「泣かなかったねーなんで?」等々聞かれたが
「別に意味はないよ」と言った。
ただ、やはり私の母への想いは死んでいたのだと思うし、強く生きていくと決心したからと思う。
ある意味、あの時、私は心で母と決別したのだ。
新婚旅行も終えて
新居で過ごす旦那との毎日は
とても楽しかった。
たまに母から招かれることもあったが
もう【家族】じゃない、と思えば
おじさんとも普通に話ができた。
母の不倫から
完全に解かれたのだ。
こんな風に幸せな毎日が
続いていくのだと
この時は信じて疑ってもいなかった…
