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呪いの連鎖【第1章】〜母の不倫②〜

悲痛な顔をした母が
私の部屋の前で立っている。
「入ってもいい?」
そう尋ねられた私は、断る選択はなかった。
何事なんだろう…私、何かしてしまったんだろうか?
そう思うには理由があった。
元々、母は感情がコントロール出来ない人で
ヒステリックなところがあった。
理不尽に怒鳴られることも多く、常に顔色を伺い、私は日常生活を送っていたからだ。

「どうしたの?」
そう尋ねると、母は部屋に入るや否やヘナヘナと座り込み
「どうしたらいいか、わからないの。あの人浮気してるみたいで。どう思う?」

私の思考は一旦停止した。
状況が飲み込めなかった。

これは…私に…自分の子供に
不倫相手の恋愛相談をしている…??

泣き出した母を見つめながら
言葉が出てこなかったが
振り絞って出た言葉が
「大丈夫だと思うよ」だった。
頭の中では
別室にいる父の事を考えていた。
広い家ではない。絶対に聞こえている。
母の味方をしていると思われたくない!

私の気持ちとは裏腹に
母の声はどんどん大きくなっていった。
呆然と泣きじゃくる母を見つめていた。
私、父にどう思われてるんだろう?
母は一体、私に何を求めているんだろう?

小一時間、私の部屋にいた母は
言いたい事を言って、スッキリしたのか
部屋から出て行った。

早く家を出ていきたい…
この家から逃げたい
私は母の友達じゃない…子供だよ、お母さん!!


高校受験を考えなきゃならない時期
私は進学は考えていなかった。
早く働いて、家を出ていく。
それしか考えられなかった。

でも父と、担任は反対した。
当然と言えば当然かもしれない…。
三者面談の時に、母と担任に
「高校に行きたくない。行く意味が見つからない。だったらすぐ働きたい」と伝えてみた。
母はあまり気にしていない様子だったが
担任から「高校にも働くための資格を取ったり学んだりする学校がある。この地域では私立がほとんどだが、中卒で働くより、商業科で頑張ってみてはどうか?」と提案された。
その提案に心が揺さぶられた。家を出たいが、働きたくて働くわけではない、学生でいられるなら
それがいいし、中卒で働くより、商業科に行って会社員になるほうがいいかもしれない…。
困惑している私を見て、母が
「いいんじゃない?商業科。別に私立でもいーよ。どうせあんた頭良くないしね」
担任の顔が明るくなり「そうですよね!商業科いいですよね!」と意気投合している。
外面のいい母は「私立でもいいんですよ、ホント。この子さえ良ければ」とニコニコな表情で担任と和やかに話をしている。

こうなると、私はもう自分の迷っている気持ちは伝えることはできなかった。
なんなら、もう2人は既にどこの高校がいいか選別していたから。
だったらもう、いいや。私立でもいいって言ってくれてるし、、、高校行こう…。

受験対策など、まったく考えていなかった為
勉強する気など起きなかった。
とりあえず入学できたら
資格とって卒業後、働こう…
落ちたら、別に働けばいいだけのこと。
そもそも高校なんて考えていなかったんだから。

私は父からも母からも
「勉強しなさい!」と言われたことはなかった。
そもそも私の進路を気にした様子は一度もなかった。成績表も見せたことがあっただろうか?
見せても何も言われてなかったと思う。
無関心と言う、ある意味虐待だった。
三者面談に来てくれただけ、まだマシか。


受験を控えても
母の夜遊びは変わらずだった。
それでも毎日、同じ時間に帰宅してくる父を
すごい人だと思っていた。
父は、母をどう思っているのだろうか?
聞くこともできなかったため
まったくわからなかった。
金曜日から月曜の朝まで帰らない母は
金曜日の夜ご飯だけは作って出かけていた。
父はそのおかずを無言で、野球中継を見ながら食べていたが
何を思っていたのだろうか。


高校受験をし、私は無事に?高校生になる。
その頃、ちょうど私には彼氏ができた。
昔の不良という感じで
同い年の彼は定時制に行くと言っていた。

中学卒業間近
私は彼に依存して、影響されていく。
19時だった門限を破り
遅い時間に帰宅するようになった。
私を家から連れ出してくれる人だったし、
何より家にいたくなかった私にとっては
考えたこともない現実だった。
服装も派手になっていく。

中学を卒業した後の春休みは
彼の家に入り浸るようになる。
彼の親もまた、あまり色々言ってくる人ではなかった。


高校に入学した後も
その生活は続いた。
学校にはきちんと行っていたが
家には帰らなくなった。
もうどうでもいい。
あんな心の通わない家には帰りたくない。

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