見出し画像

胸に星が見えた日

今、私は胸を機械に挟まれている。
あの有名な検査——マンモグラフィーだ。

お年頃の女性なら、きっと経験があると思う。
健康のためとはいえ、なかなかの圧迫である

このあとはエコーである。
ダブルチェックである

ことの始まりは、2月末の健康診断だった。

A判定や、ちょっと気になるB判定を
横目に見ながら、
私は該当項目を急いで確認する。

D判定。

「良性と思われるが、専門医の指示に従え」

その文字を見た瞬間、
9年前の記憶がふっとよみがえった。
あのときも同じだった。

「左乳房に異常あり。要二次検査。
専門医の指示に従ってください」
自宅近くのクリニックを必死に探し、
予約を入れた。
運よく翌日に診察。

しかし、そこでは判断がつかず、
大きな病院へ紹介されることになった。

そこの若い男性の医師が、
ひどく動揺している私に丁寧に
説明してくれた。

そしてその場で、生検。

見たこともない太い針を胸に刺し、
組織を採る検査だ。

数日後、結果は良性。
あのときの安堵は、
今でもはっきり覚えている。

そんな記憶を思い出しながら、
私は今回の再検査の予約を取った。

思い出したのは、
あのとき病院で勧められたクリニック。
(よく思い出した、私!)

昼休み。
皆に聞かれないように席を外し、
予約の電話をかけた。

電話口のお姉さんのファインプレーで、
なんと同じ週の土曜日に予約が取れた。

本当は、健康診断のマンモグラフィーの
データを持参するのが理想らしい。
でも、そんなことより。
とにかく早く専門医に見てもらいたい。
それだけだった。

手作りのおにぎりの味も、
お味噌汁の味も覚えていない。

味のしない昼ごはんを胃に押し込み、
午後の仕事をこなした。

不思議なもので、
こういうときは似た話が周りに集まる。

母も検査の数値が良くなく、再検査。
友人のお父様の訃報。
なんだか、心が落ち着かない。

そして土曜日。
少し早めに病院へ行き、受付を済ませ、
問診票を書く。
すぐに女医さんとの問診。

やはりマンモグラフィーのデータがないと
正確な判断は難しいらしい。

「もしよろしければ、
今日マンモグラフィーとエコー受けますか?」
「はい、お願いします」

即答だった。

上半身だけ検査着に着替え、待合室で待つ。
同じくらいの年齢の女性が一人。
お互い無言。

私はロッカーの鍵を、
意味もなく指でいじくり回していた。

大丈夫。
大丈夫。

そして冒頭の、マンモグラフィーである。
思っていたよりは痛くなかった。
とはいえ、早く終わってほしい。

次はエコー
女医さんが自ら検査をしてくれる。

ゼリーを塗り、装置を胸に当てながら、
画面を見つめている。

「多分これだと思いますが……」

少し沈黙。

「うーん……前回、だいぶ前ですもんね」
(何か影があるの?)
女医さんの言葉一つ一つが、妙に怖い。

そして、ついにその言葉。

「うーん、良性だと思いますけどね」

心の中で、思い切りガッツポーズ💪
でも、言い切ることはできないらしい。

「経過観察しますか?」
「……経過観察ですか」

自分でも少し乾いた声だったと思う。
この曖昧な状態を
しばらく抱えて過ごすのが嫌だった。

すると女医さんが言った。

「針を刺して、検査もできますよ。今日ここで」
「やります」
これも即答だった。

9年前の生検を思い出す。
あの太い針。
痛かった。
覚悟して検査に臨む。

——あれ?

痛くない。終わってみると、
胸には小さな赤い点が二つあるだけだった。

そのまま診察室へ。
白黒の画像を見ながら説明を受ける。
画面には白い点々。
そこが石灰化だという。

でも私には、
暗い夜空に浮かぶ星のようにも見えた。

その星たちは、
問題の黒い影の周りに集まることが
あるらしい。
場所は左乳房の上の方。
9年前と、少し近い気もする。

「針を刺す感覚や、この画像から見る限り、
がんの可能性は低いと思います、
良性だと思いますが……」

その言葉を聞いた瞬間、
体の力が抜けた。

もちろん、最終結果ではない。
生検の結果は、水曜日。
電話で知らされる。

病院を出ると、
やっと地面を歩いている気がした。

春とは思えない冷たい空気が、少し軽い。
でも、まだ終わっていない。

水曜日、電話が鳴る。

🍡

(つづく・・・)
結果こちら💁


金曜日は歯医者にリベンジしてきましたw


#乳がん検診
#健康診断
#検査体験
#50代
#不安との向き合い方
#日常エッセイ










いいなと思ったら応援しよう!

あんこ🍡/五感で綴る半径1mのユーモア 「ちょっと応援してもいいかも」と思ってくださった方へ🍡いただいたチップは、あんこの執筆燃料として大切に使わせていただきます。