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思い出相続税 #毎週ショートショートnote

祖父が亡くなったあと、僕の元に届いたのは一通の奇妙な通知書だった。
「思い出相続税のお知らせ」。差出人は聞いたことのない役所だ。

中を開くと、「故人との思い出に応じて課税されます」とある。
旅行の記憶は3万円、叱られた思い出は500円、肩車はなぜか高額で5万円。
合計金額は、思わず二度見するほどだった。

「ふざけてるだろ…」と思いながらも、僕は祖父との記憶を一つずつ思い出す。
釣りに連れて行ってくれた日、将棋で負けて悔しそうに笑っていた顔。
そのたびに、胸が少しずつ温かくなった。

数日後、役所に問い合わせると、担当者は淡々と言った。
「お支払いは忘却でも可能です」

僕は少し考えて、通知書をそっと破った。

数週間後、祖父の顔がぼんやりしてきた。声も、仕草も、少しずつ消えていく。

そのときようやく気づいた。
——ああ、あれは税金じゃなくて、値段だったんだ。

(368字)

たはらかにさんの企画「#毎週ショートショートnote」に参加させていただきました!



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