告りびと #毎週ショートショートnote
世の中には、さまざまな代行業がある。
運転代行、謝罪代行、行列代行、退職代行…等々
そして、「告白代行」という変わり種の業種もある。
今回、ご紹介する代行業種は「告白代行」
通称:「告りびと」
依頼者に代わり、伝えられなかった想いを相手に届ける仕事だ。
「好きでした。でも、もう忘れます」
「ありがとう。あなたのおかげで前を向けた」
告白は必ずしも「付き合いたい」だけではない。
報われなくても、心の中に溜まった言葉を形にすることで、
前に進める人がいる。
今日も、一人の老人が「告りびと」のもとを訪ねた。
「五十年前に言えなかった気持ちがある」と、震える手で古びた手紙を差し出す。
代行先は、既に墓石の下だった。
「告りびと」は静かに墓前に立ち、依頼人の想いを読み上げた。
「…君を、今もずっと想ってます。ありがとう」
風がやさしく頬をなでる。まるで返事のように。
その瞬間、言葉は空へと溶け、半世紀の時を超えて届いたような気がした。
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たはらかにさんの企画「#毎週ショートショートnote」に参加させていただきました。
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