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工事担任者と電気工事士は何が違う?電話工事で必要な資格と判断基準

株式会社デジコンnet代表の登 雄三です。

私は通信インフラの現場に23年携わり、ビジネスフォンや電話回線、電話・LAN配線工事などの設計・施工に関わってきました。現在は、OFFICE110のビジネスフォン領域の記事監修も担当しています。

電話設備の工事について調べていると、「工事担任者」と「電気工事士」という2つの資格を目にすることがあります。

どちらも設備工事に関係する資格ですが、対象となる設備と法律上の役割は異なります。

簡単に整理すると、工事担任者は主に通信回線へ端末設備などを接続する工事に関係する資格です。一方、電気工事士は主に建物の電源や屋内配線などの電気工事に関係します。

電話工事では通信設備と電気設備の両方を扱うことがあるため、工事内容によっては片方だけでなく、それぞれの資格や施工体制を確認しなければなりません。

今回は、工事担任者と電気工事士の違いを、電話工事との関係から整理します。


工事担任者は通信回線への接続工事に関係する資格

工事担任者は、電気通信事業者の通信回線に端末設備や自営電気通信設備を接続する工事を行う、またはその工事を実地に監督するための国家資格です。

ここでいう端末設備には、電話機だけでなく、PBX、IP-PBX、ルーター、ONUなどが関係する場合があります。

接続方法や設備構成によって扱いは変わりますが、通信事業者の回線と利用者側の設備を接続し、通信できる状態にする工事が中心です。単に機器を置くだけではなく、屋内配線、接続、設定、試験などが一連の工事に含まれることもあります。

工事担任者の資格には、現在、次の種類があります。

  • 第一級アナログ通信

  • 第二級アナログ通信

  • 第一級デジタル通信

  • 第二級デジタル通信

  • 総合通信

このうち「総合通信」は、アナログ伝送路設備またはデジタル伝送路設備に端末設備などを接続する工事を対象としています。

以前の資格名称では「AI・DD総合種」と呼ばれていましたが、2021年4月から「総合通信」という名称に変更されました。旧名称で交付された資格者証も有効で、工事できる範囲も引き継がれています。

電気工事士は建物の電源設備や屋内配線に関係する資格

電気工事士は、電気工作物を設置したり、変更したりする電気工事に従事するための国家資格です。

電話工事との関係では、主装置やPBXに電源を供給するためのコンセント新設、電源配線の変更、分電盤からの回路増設などが該当する可能性があります。

第二種電気工事士が原則として扱えるのは、一般用電気工作物等に関する電気工事です。一般家庭や商店などの屋内配電設備が代表例ですが、実際の対象は建物の受電方式や設備区分によって判断する必要があります。

注意したいのは、第二種電気工事士の資格があれば、すべてのオフィスで電気工事ができるわけではないことです。

例えば、高圧で受電しているビルや工場などの設備は、自家用電気工作物に該当することがあります。その場合、第二種電気工事士の資格だけでは対象外となる工事があり、第一種電気工事士や認定電気工事従事者など、工事内容に応じた資格が必要です。

一方で、既存のコンセントに主装置の電源プラグを差し込む行為と、壁内配線を変更してコンセントを新設する工事は同じではありません。電気工事士法では、一部の軽微な作業は資格が必要な電気工事から除外されています。

設備の名称だけで判断せず、実際にどの配線や接続部分を触るのかを確認することが重要です。

2つの資格は上下関係ではなく、担当する設備が違う

工事担任者と電気工事士は、どちらが上位という関係ではありません。

大きく分けると、次のように役割が異なります。

工事担任者
主に、通信回線と電話機、PBX、ルーターなどの端末設備を接続する工事に関係する資格です。

電気工事士
主に、コンセント、電源配線、分電盤などの電気設備を扱う工事に関係する資格です。

両方の資格が関係する工事
電話設備を設置する際に、通信回線への接続だけでなく、電源回路やコンセントの新設も行う場合は、それぞれの工事内容に応じた資格や施工体制が必要になります。

工事担任者の資格を持っていても、資格の範囲を超える電気配線工事ができるわけではありません。

反対に、電気工事士の資格を持っていても、それだけで通信事業者の回線にPBXなどを接続する工事を行えるとは限りません。

電話工事という一つの呼び方の中に、通信回線、電話配線、LAN配線、機器設定、電源工事など、異なる作業が含まれているためです。

電話工事ならすべて工事担任者が必要とは限らない

「電話に関する作業には、すべて工事担任者が必要」と考えるのも正確ではありません。

適合表示のある端末機器を、告示で定められたプラグ・ジャック方式などで接続する場合には、工事担任者を必要としないケースがあります。

そのため、家庭用電話機を既存のモジュラージャックに接続する作業と、オフィスの主装置を通信回線へ接続し、複数の電話機や内線を設定する工事を同じように考えることはできません。

資格が必要かどうかは、「電話機を扱うか」ではなく、主に次の点から判断します。

  • 電気通信事業者の回線に接続する工事か

  • どの設備までが通信事業者側で、どこからが利用者側か

  • プラグを差し込むだけか、配線や接続点を施工するか

  • 主装置やPBXの設置・設定・試験を伴うか

  • 建物の固定電気配線を変更するか

電話工事の見積書や作業内容を確認するときは、「電話工事一式」という表現だけでなく、実際の作業範囲まで確認した方がよいでしょう。

ビジネスフォン工事では通信と電源を分けて確認する

ビジネスフォンを設置する場合、主装置やPBX、電話機だけを見ても、必要な工事の全体像は分かりません。

現場では、少なくとも次の項目を確認する必要があります。

電話回線の種類と接続位置

アナログ回線、ひかり電話、IP電話など、利用している回線によって機器構成は異なります。

ONUやホームゲートウェイ、ルーター、PBXのどこで接続するのかを確認しなければなりません。

主装置やPBXへの電源供給

主装置には電源が必要です。

既存のコンセントを利用できるのか、専用回路やコンセントの新設が必要なのかによって、電気工事の有無が変わります。

電話配線とLAN配線

従来型のビジネスフォンでは電話配線、IP電話機ではLAN配線を使用する構成があります。

ただし、LANケーブルだから資格が不要、電話線だから工事担任者が必要という単純な分け方はできません。どのネットワークや設備に接続し、どこまで施工するのかで判断します。

建物の電気設備区分

小規模な事務所と、高圧受電しているオフィスビルでは、電気設備の区分が異なる可能性があります。

第二種電気工事士で対応できる範囲かどうかは、建物の名称や広さだけでなく、受電方式と工事対象から確認します。

資格を持っているだけで施工品質が決まるわけではない

工事担任者や電気工事士は、技術、理論、法令、安全に関する知識や技能を確認するための資格です。

資格を保有していることは、専門知識を裏付ける重要な要素です。ただし、資格があるという理由だけで、すべての施工品質が決まるわけではありません。

電話設備の工事では、次のような実務上の確認も必要です。

  • 現地調査が行われているか

  • 回線と既存設備の構成を把握しているか

  • 必要な同時通話数が設計に反映されているか

  • 電話配線と電源配線が整理されているか

  • 停電時の動作やバックアップ電源が検討されているか

  • 将来の増員、移転、レイアウト変更を考慮しているか

  • 工事後の試験や動作確認が行われるか

また、個人が資格を持っていることと、事業者として電気工事を請け負うための登録・届出は別の制度です。電気工事を継続して請け負う事業者には、電気工事業法に基づく登録や通知などが必要になる場合があります。

資格名だけで施工会社を判断するのではなく、誰がどの範囲を担当し、どのような体制で工事するのかまで確認することが大切です。

両方の資格を持つ意味

私は、工事担任者の総合通信と第二種電気工事士の資格を保有しています。

電話設備は、通信回線や主装置だけで動いているわけではありません。ONU、ルーター、LAN、電源、コンセントなどが組み合わさり、一つの通信環境を構成しています。

通信設備と電気設備の両方に関する知識を持つことで、それぞれを別々に見るのではなく、設備全体の関係を整理しやすくなります。

ただし、2つの資格を持っているから、あらゆる建物や工事に対応できるという意味ではありません。資格ごとの範囲、建物の設備区分、実際の作業内容を確認したうえで判断する必要があります。

私が大切だと考えているのは、資格を示すこと自体ではなく、工事範囲を正しく見極め、安全性や運用まで含めて説明することです。

OFFICE110の記事監修でも、設備名だけで工事内容を断定せず、電話回線、主装置、ネットワーク、配線、電源の関係が正しく説明されているかを確認しています。

まとめ

工事担任者と電気工事士は、どちらも設備工事に関係する国家資格ですが、対象は異なります。

工事担任者は、主に通信回線へ端末設備などを接続する工事を行う、または実地に監督する資格です。

電気工事士は、主に建物の電源配線やコンセントなどの電気工事に関係します。

ビジネスフォン工事では、通信設備の接続だけで完了する場合もあれば、電源工事が同時に必要になる場合もあります。そのため、「電話工事だからこの資格」と一つに決めるのではなく、実際の作業範囲を分けて確認することが重要です。

設備構成や建物の受電方式が分からない場合は、通信工事と電気工事の両方を整理できる専門業者に確認すると判断しやすくなります。

今後も、ビジネスフォンや電話回線、LAN配線など、オフィスの通信設備を判断するための情報を分かりやすくお伝えしていきます。



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