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リズムのシャワーを、子どもに。― 音楽に触れた分だけ、動きは育つ

はじめに

「これでいいのかな。」

子どもの運動を見ていると、
ふと、そんな気持ちになることはありませんか。

もっと速く走れた方がいいのかな。
早めに専門に入った方がいいのかな。
周りの子より遅れていないかな。

情報はたくさんあります。

トレーニング方法も、動画も、理論も。

でも、

何を“先に”育てるべきなのか。

そこが分からなくなることがあります。


今回のテーマは「リズム」です。

速さでもなく、
フォームでもなく、
テクニックでもありません。

もっと手前の話です。

目に見えにくいけれど、
確実に影響しているもの。

それが、リズムです。


リズム感がある子と、ない子。

そう聞くと、

「うちの子はどっちだろう」

と考えてしまうかもしれません。

でも、安心してください。

これは才能の話ではありません。

できる・できないの話でもありません。

触れてきた量の話です。


リズムは、

なくても生きていけます。

でも、

あった方がいい。

それは、可能性が広がるからです。

動きが整うからです。

選択肢が増えるからです。


僕は、
特別なトレーニングをしてほしいとは思っていません。

難しいことを覚えてほしいわけでもありません。

ただ一つ、お願いがあります。

子どもに、リズムのシャワーを降らせてほしい。

小さいころから、ジャンルを問わず、
いろいろな音楽に触れてほしい。

それだけです。


このnoteでは、

・リズムとは何か
・なぜ土台になるのか
・どこまでできれば十分なのか
・ご家庭でできることは何か

を、順番にお伝えします。

不安をあおる内容ではありません。

今からでも、十分間に合います。

まずは、知ることから。

そして、音楽を流すことから。

ここから一緒に、整えていきましょう。



1. リズムとは何か

「うちの子、リズム感ありますかね?」

スクールで、よくいただく質問です。

速く走れるかどうか。
フォームがきれいかどうか。
ボールさばきが上手いかどうか。

それらは目に見えます。

でも、リズムは見えません。

だからこそ、不安になります。


まず、
リズムトレーニングの定義からお伝えします。

リズムトレーニングとは、
音楽に合わせて体をコントロールすること。

難しい理論ではありません。

ジャンプをする。
ステップを踏む。
手を叩く。

それを「音に合わせて」行う。

ただそれだけです。

ですが、
この「音に合わせて」という部分が、
とても大切です。


同じジャンプでも、

音楽なしで跳ぶのと、
音楽に合わせて跳ぶのでは、
体の使い方が変わります。

音に合わせようとした瞬間、
体は“タイミング”を意識します。

この
タイミングを感じ取り、合わせる力。

それが、リズムです。


リズムが育っている子は、動きが整います。

急に崩れにくい。
バタバタしにくい。
余計な力が入りにくい。

一方で、まだリズムが育ちきっていない子は、

動きが早すぎたり、
ワンテンポ遅れたり、
無意識に焦ってしまったりします。

ここで誤解してほしくないのは、

「速く動ける=リズムがある」ではないということです。

速さは、筋力や瞬発力の要素が大きい。

リズムは、
“タイミングをコントロールする力”です。

似ているようで、別のものです。


例えば、

「1・2・3・4」

この4つのタイミングでしか体を動かせない子がいるとします。

でも、経験を重ねると、

「1・&・2・&・3・&・4・&」

と、間のタイミングも感じられるようになります。

動けるタイミングが、増えていく。

選べるタイミングが、増えていく。

それが、リズムが育つということです。


リズムがある子は、
特別な才能を持っているわけではありません。

触れてきた量が違うだけです。

小さいころから音楽が流れていた。
自然に体を揺らしていた。
手拍子をしていた。
ジャンルを問わず、いろいろな曲に触れてきた。

それだけです。

リズム感がないのではありません。

まだ触れていないだけ。
まだ“タイミングの引き出し”が増えていないだけです。


僕は、リズムを「土台」だと思っています。

ですが、
声を大にして言うようなものでもありません。

なくても生きていけます。
日常生活で困ることは、ほとんどありません。

でも、

あった方がいい。

これは間違いありません。

動きの可能性が広がるからです。
スポーツの選択肢が増えるからです。

そして何より、

動きが「整う」からです。

速くなくていい。
うまくなくていい。

まずは、整うこと。

その最初の一歩が、リズムです。


2. よくある誤解

リズムの話をすると、
よく出てくる誤解があります。

「速いテンポでできる子がすごい」

本当にそうでしょうか。

例えば、

速い曲では上手に動ける。
でも、ゆっくりな曲になると崩れてしまう。

そんな子もいます。

逆に、

ゆっくりなテンポでは安定している。
でも、速くなるとバタバタしてしまう。

そんな子もいます。

どちらが“すごい”のでしょうか。

実は、どちらも同じです。


リズムで大切なのは、

コントロールできる“幅”が広いこと。

速い。
普通。
遅い。

この3つを、自分の体でコントロールできるかどうか。

それが土台になります。

速いだけでは、幅は広くありません。

遅いだけでも、幅は広くありません。

どのスピードでも、
“合わせられる”。

そこに価値があります。


もう一つ、誤解があります。

「スピードを上げれば、リズムトレーニングになる」

これも違います。

スピードの上げ下げだけでは、
本来のリズムの力は育ちきりません。

例えば、

「1・2・3・4」

の表の拍だけで動いている子がいるとします。

スピードを速くしても、
遅くしても、

動いているタイミングは同じです。

でも、

「1・&・2・&・3・&・4・&」

と、間のタイミングでも動けるようになると、

一気に世界が広がります。

これが“裏拍”です。


裏拍は、難しいです。

だからこそ、価値があります。

裏拍ができない子は、能力が低いわけではありません。

単純に、触れていないだけ。

経験していないだけです。

速いテンポができることと、
裏拍で動けることは、別の力です。


もう一つ、大切なことがあります。

リズムが苦手な子を見て、

「どんくさい」

と思ってしまうこと。

これは、とてももったいない。

リズムが苦手なのではなく、

タイミングの引き出しが少ないだけ。

それだけです。

引き出しは、増やせます。

時間をかければ、必ず増えます。


リズムは、競争ではありません。

誰が速いか。
誰がうまいか。

そういうものではありません。

「どれだけ幅を持っているか」

それだけです。

そしてその幅は、

才能ではなく、経験で広がります。


速さを追いかける前に、

スピードだけで判断する前に、

まずは問い直してみてください。

うちの子は、

速い・普通・遅いを
コントロールできているだろうか。

裏拍に、触れたことがあるだろうか。

そこが整うと、

動きは自然に、整っていきます。


次は、

リズムがどうやって育つのか。

「タイミングの引き出しを増やす」という考え方について、
もう少し具体的にお話しします。


3. タイミングの引き出しを増やすということ

リズムが育つとは、どういうことなのでしょうか。

僕はよく、こう説明します。

最初、子どもには
動けるタイミングが少ない。

「1・2・3・4」

この4つのタイミングだけで体を動かしている状態です。

このとき、動きは決して悪くありません。

でも、選択肢が少ない。

タイミングの引き出しが、まだ少ない。


リズムに触れる量が増えてくると、

「1・&・2・&・3・&・4・&」

と、間のタイミングも感じられるようになります。

さらに細かく刻めるようになります。

すると、

動けるタイミングが増えていきます。
反応できるタイミングが増えていきます。

体を出せる“隙間”が増える、ということです。

僕はこれを、
「タイミングの引き出しが増える」
と表現しています。


スポーツの場面を想像してみてください。

相手がフェイントをかける。

一瞬のズレが生まれる。

そのズレに反応できるかどうか。

これは筋力だけの問題ではありません。

タイミングの問題です。

タイミングの引き出しが多い子は、
そのズレに体が動いて反応できます。

引き出しが少ない子は、
ワンテンポ遅れます。

能力が低いのではありません。

感じ取れるタイミングが、まだ少ないだけです。


リズムは、速さをつくるものではありません。

まず、

整えるものです。

整うから、速くなれる。

整うから、ブレにくくなる。

整うから、余計な力が抜ける。

ここを飛ばして速さを求めると、

どこかで崩れます。


でも安心してください。

タイミングの引き出しは、増やせます。

特別な才能はいりません。

難しい理論もいりません。

必要なのは、

触れる量。

音楽に合わせて動く回数。

ジャンルを問わず、
いろいろなテンポに触れること。

速い曲も、遅い曲も。

ポップスも、アニメソングも、洋楽も。

体が「このタイミングで動くんだ」と
経験する回数が増えるほど、

引き出しは、少しずつ増えていきます。

最初は、ほとんどの子ができません。

それが普通です。

でも、触れ続けると、

ある日、ふっと合う瞬間が出てきます。

そのとき、引き出しが増えています。


リズムは、急に伸びるものではありません。

でも、確実に積み上がるものです。

目に見えにくいからこそ、
焦らなくていい。

比較しなくていい。

今日できなくても、問題ありません。

引き出しは、
少しずつ増えていきます。


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