MVP前のプロダクト壁打ち術|準備からヒアリング結果の纏めまで実践的な進め方
プロダクトマネージャー(PM)として、こんな悩みに直面しませんか?
「MVP前のプロダクトを顧客に壁打ちしたいが、どう準備すればいいか分からない…」
「完成していないプロダクトを見せることに抵抗がある…」
「ヒアリングで何を聞けばいいか分からない…」
「ヒアリング結果をどう纏めて、次のアクションにつなげればいいか分からない…」
この記事では、MVP前のプロダクトを顧客に壁打ちする方法を、準備からヒアリング結果の纏めまで解説します。議論ではなく観察を重視し、プロトタイプ段階でユーザーの反応を引き出し、開発に活かす具体的な進め方を実践的に説明します。
MVP前の壁打ちは「観察」を重視し、準備を徹底することで本質的なフィードバックを得られる
MVP前のプロダクト壁打ちは、完成品を提示するのではなく、「完成品ではありません。使いにくい箇所を見つけてください」とハードルを下げ、議論ではなく観察を重視することで成功します。事前の準備(顧客情報の収集、プロトタイプの準備、質問事項のリストアップ)を徹底し、当日は操作観察に時間を割くことで、本質的なフィードバックを得られます。ヒアリング結果は重要度と緊急度で分類し、開発チケットに落とし込むことで、次のアクションにつなげることができます。
課題と実現する姿の比較
MVP前のプロダクト壁打ちにおける従来の課題と、実践的な進め方を実現した後の姿を整理しました。

MVP前の壁打ちの基本原則
MVP前のプロダクト壁打ちを成功させるための基本原則を解説します。
原則1:観察を重視する
壁打ちのゴールは「正解を出すこと」ではなく、「次のアクション(実装・テスト・リリース)へ進む自信(Confidence)が得られた瞬間」を創出することです。
議論ではなく観察: 顧客との議論よりも、実際の操作を観察することに時間を割く
操作観察に50%の時間を使う: マウスを渡し「修正してみてください」と依頼し、操作方法を教えずに黙って見守る
手が止まった箇所を記録: ユーザーが躓く瞬間こそが最大の改善点
原則2:ハードルを下げる
完成品ではないプロダクトを見せる際は、ハードルを下げることが重要です。
「完成品ではありません」と明言: 「完成品ではありません。使いにくい箇所を見つけてください」とハードルを下げる
フィードバックを前向きに受け取る: 否定的なフィードバックも「改善のヒント」として前向きに受け取る
プロトタイプの品質にこだわらない: プロトタイプの品質よりも、ユーザーの反応を引き出すことを重視
原則3:2週間で区切る
壁打ちは2週間で区切ることを推奨します。
Week 1 (Input): 3〜5社へ訪問。議論ではなく「操作観察」を行う
Week 2 (Output): フィードバックを分析し、次期開発チケットを起票する
壁打ちの準備(事前準備)
壁打ちを成功させるためには、事前準備が重要です。以下の項目を徹底して準備します。
Step 1:顧客情報の収集
顧客との壁打ちを行う前に、顧客情報を事前に収集します。
準備すべき顧客情報:
顧客の業界・事業内容
顧客の業界・事業内容を理解する
顧客のビジネスモデルを把握する
顧客の規模・組織構造
顧客の規模(従業員数、売上規模など)を把握する
組織構造(意思決定プロセス、キーパーソンなど)を理解する
課題・ニーズ
顧客が抱えている具体的な課題を把握する
顧客の業務フロー・現状プロセスを理解する
期待する成果・価値を明確にする
過去の取引履歴・関係性
過去の取引履歴(もしあれば)を確認する
顧客との関係性を理解する
Step 2:プロトタイプの準備
プロトタイプを事前に準備し、動作確認を完了させます。
準備すべきプロトタイプ関連:
デモ環境の構築
Web会議ですぐに画面共有できるよう、プロトタイプ環境をセットアップ
動作確認を完了させ、当日トラブルが発生しないようにする
サンプルデータの準備
顧客データを借りる時間を短縮するため、自社で標準的なサンプルデータを用意
顧客が理解しやすいデータを使用する
デモ画面・動画の準備(可能であれば)
プロトタイプが動かない場合に備え、デモ画面・動画を用意
AIの自動認識機能など、期待値を上げる「Wow Factor」を用意
Step 3:質問事項のリストアップ
壁打ち当日に聞く質問事項を事前にリストアップし、優先順位をつけます。
準備すべき質問事項:
操作観察時の記録ポイント
手が止まった箇所を記録
迷った箇所を記録
躓いた箇所を記録
ラップアップ時の質問
「明日から導入されたら使いますか?」
「何がないと困りますか?」
「改善してほしい点はありますか?」
その他の確認事項
顧客の業務フローとの整合性
期待する成果・価値との整合性
懸念事項・リスク
Step 4:アポイントメントの取得
壁打ちのアポイントメントを取得します。
アポイントメント取得のポイント:
ターゲット企業のリストアップ
Tier 1(本命)企業の担当者実名をリストアップし、ターゲットを固定
まずは3〜5社へ「技術のご相談」として連絡を入れる
アポイントメント前日の確認
アポイントメント前日に、プロトタイプ環境の動作確認を実施
デモ環境の構築を完了させる
壁打ち当日の進め方
壁打ち当日の進め方を、60分の台本を例に解説します。
台本(60分構成)
1. 趣旨説明(10分)
「完成品ではありません。使いにくい箇所を見つけてください」とハードルを下げます。
説明ポイント:
プロトタイプであることを明言
フィードバックを求めていることを伝える
壁打ちの目的を説明する
2. デモ操作(10分)
PMが操作し、AIの自動認識機能など、期待値を上げる「Wow Factor」を見せます。
デモのポイント:
プロダクトの核心機能をデモ
顧客の課題解決につながる機能を強調
期待値を上げる演出を入れる
3. 操作観察(30分)※最重要
マウスを渡し「修正してみてください」と依頼し、操作方法を教えずに黙って見守ります。
観察のポイント:
手が止まった箇所を記録
迷った箇所を記録
躓いた箇所を記録
ユーザーの行動を観察し、口頭でのフィードバックに頼らない
4. ラップアップ(10分)
「明日から導入されたら使いますか?」「何がないと困りますか?」を聞きます。
ラップアップの質問:
「明日から導入されたら使いますか?」
「何がないと困りますか?」
「改善してほしい点はありますか?」
ヒアリング結果の纏め方
ヒアリング結果を纏め、次のアクションにつなげる方法を解説します。
Step 1:ヒアリング結果のリスト化
ヒアリングで得た情報をリスト化します。
リスト化のポイント:
記録した観察ポイント
手が止まった箇所
迷った箇所
躓いた箇所
口頭でのフィードバック
肯定的なフィードバック
否定的なフィードバック
改善提案
ラップアップでの回答
「明日から導入されたら使いますか?」への回答
「何がないと困りますか?」への回答
「改善してほしい点はありますか?」への回答
Step 2:重要度と緊急度で分類
ヒアリング結果を重要度と緊急度で分類し、優先順位を明確化します。
分類の基準:
重要度(High/Medium/Low)
High: プロダクトの核心機能に関わる改善
Medium: ユーザー体験の向上につながる改善
Low: 細かな改善や将来的な検討事項
緊急度(High/Medium/Low)
High: MVPリリース前に必須の改善
Medium: MVPリリース後の早期改善
Low: 将来的な改善候補
Step 3:工数見積もり
各項目について、開発に必要な工数を見積もります。
工数見積もりのポイント:
各改善項目について、開発に必要な工数を見積もる
技術的な実現可能性(Tec)を検討
ビジネス価値(Biz)とユーザー体験(UX)を考慮
Step 4:優先順位の明確化
最優先で着手すべきタスクを特定し、開発チームに共有します。
優先順位の明確化:
重要度×緊急度のマトリクスで優先順位を明確化
最優先で着手すべきタスクを特定
開発チームに共有し、次のアクションを決定
次のアクションへの落とし込み
ヒアリング結果を次のアクションにつなげる方法を解説します。
Step 1:開発チケットの起票
最優先で着手すべきタスクを開発チケットに起票します。
チケット起票のポイント:
ヒアリング結果を基に、具体的な開発チケットを起票
各チケットに優先順位をつける
開発チームに共有し、次のアクションを決定
Step 2:開発計画の更新
ヒアリング結果を反映し、開発計画を更新します。
開発計画更新のポイント:
MVPの機能範囲を再検討
開発スケジュールを調整
リリース計画を更新
Step 3:フォローアップの実施
壁打ち後、顧客へのフォローアップを実施します。
フォローアップ의 ポイント:
壁打ちの結果を共有
改善予定の機能を伝える
次回の壁打ちやリリースのタイミングを伝える
まとめ
MVP前のプロダクト壁打ちは、「観察」を重視し、準備を徹底することで本質的なフィードバックを得られます。
重要なポイント:
- 「完成品ではありません。使いにくい箇所を見つけてください」とハードルを下げる
- 操作観察に時間の50%を使い、ユーザーが躓く瞬間を発見する
- 事前準備(顧客情報の収集、プロトタイプの準備、質問事項のリストアップ)を徹底する
- ヒアリング結果を重要度と緊急度で分類し、開発チケットに落とし込む
- 2週間で区切り、Week 1でInput、Week 2でOutputを行う
まずは簡単なプロトタイプから始め、3〜5社への壁打ちから始めてみましょう。準備を徹底し、観察を重視することで、本質的なフィードバックを得られ、MVPの開発を加速させることができます。
