【2025年最新情報】「知的財産推進計画2025」にみる、「知財の組み合わせ」の必要性
【今日のポイント】
2025/6/3に内閣府知的財産戦略本部は、「知的財産推進計画2025」を公表しました。同時に公表された、「新たな国際標準戦略の概要」や、「デジタルアーカイブ戦略」などと併せて、科学技術だけで無く、コンテンツやデザインなど幅広い知財・無形資産を組み合わせて活用することの重要性と中小企業も当事者意識を持つ必要性が窺えると感じた次第です。
1.「知的財産推進計画2025」の公表
2025/6/3に内閣府知的財産戦略本部は、以下のサイトで「知的財産推進計画2025」を公表しました。
(引用は『』でくくります。改行は筆者挿入。以下同じ。)
『知的財産戦略本部 知的財産推進計画( https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/index.html )』
上記のページには、知的財産推進計画2025の本文と概要の他にも、
2006年から19年ぶりに改定された、『新たな国際標準戦略』のポイント、概要、本文や、
『デジタルアーカイブ戦略』の本文と概要が同日に掲載されています。
知的財産推進計画2025の構成は以下の通りです。
『I. はじめに
II. 知財戦略の振り返りと今後の方向性
1. 知財戦略の振り返り
2. IP トランスフォーメーション
(1) 日本の競争力の現状
(2) 今後の知財戦略の方向性
III. 知財戦略の重点施策
1. 知的財産の「創造」
(1) 知財・無形資産への投資による価値創造
(2) AI と知的財産権
(3) 創造人材の強化・ダイバーシティの実現
2. 知的財産の「保護」
(1) 技術流出の防止
(2) 海賊版・模倣品対策の強化
(3) 産業財産権制度・運用の強化
(4) 地域における知財保護
3. 知的財産の「活用」
(1) 産学連携による社会実装の推進
(2) スタートアップ支援
(3) 新たな国際標準戦略
(4) データ流通・利活用環境の整備
4. 新たなクールジャパン戦略のフォローアップ
(1) 新たなクールジャパン戦略の実装
(2) コンテンツ戦略』
まずは、同計画の概要( https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/chitekizaisan2025/pdf/suishinkeikaku_gaiyo.pdf )で全体像を掴んでから、
関心のある項目を読むのが効率的かと思います。
※>中小企業関連では、『III. 知財戦略の重点施策』の中の、
『2.知的財産の「保護」(4) 地域における知財保護』や、
『3. 知的財産の「活用」(2) スタートアップ支援』、
『4.新たなクールジャパン戦略のフォローアップ(1) 新たなクールジャパン戦略の実装』
などを中心に、中小企業を取り巻く課題とその対応のための知財面からの支援策が掲載されています。
2.「IPトランスフォーメーション」とはなにか?
個々の中小企業向けの施策などは同計画の上記の箇所などをお読みいただくとして、
今回の「知的財産推進計画2025」のサブタイトルには、『IPトランスフォーメーション』との言葉が掲載され、同計画の中でも、
『II. 知財戦略の振り返りと今後の方向性 2. IP トランスフォーメーション』
の章で、同計画の重点項目として記載しています。
それでは、この『IPトランスフォーメーション』とはなんでしょうか?
同計画では、前文の『I. はじめに』の中で、
『グローバルな競争力の強化や循環経済の実現など、国内外の社会課題の解決を図る新たな「知的創造サイクル」の構築を「IP トランスフォーメーション」と銘打ち、
と、現在の日本が抱える国際競争力の強化や循環型経済の実現などの社会課題の解決策として『新たな知的創造サイクル』を取り上げ、その構築に『IP トランスフォーメーション』との名称を付けています。
ここで、『新たな知的創造サイクル』とは、『2.IP トランスフォーメーション(2)今後の知財戦略の方向性』の中で、
『グローバルでのマーケティングや収益最大化を強く意識しながら、知的財産の「創造」、「保護」及び「活用」からなる「知的創造サイクル」を回し、国内外の社会課題の解決を図る「新たな知的創造サイクル」』
と記載しています。
(最近は、「デジタルトランスフォーメーション(DX)、「グリーントランスフォーメーション(GX)」など「●●トランスフォーメーション」という言葉を目にすることが多くなりましたが、「IP(知的財産)を活用したトランスフォーメーション(変革)」とでも言えるかと感じました。)
この「知的創造サイクル」自体の定義(知的財産の創造、保護及び活用のサイクル)は今までと変わりませんが、
どこが「新しいか」と言えば、同計画の記載からは、この「知的創造サイクル」をツールとして利用する際の目的として、
・「持続的な成長」や「国内外の社会課題」を新たに内容を見直して設定している点や、
・生成AIを含むAIやデータなどの利活用、国際標準戦略との連動、
・特許などの科学技術面だけでなく、アニメなど日本ならではのコンテンツの活用を地方創生や海外市場の拡大などと組み合わせる点
などが、「新たな知的創造サイクルの構築(IPトランスフォーメーション)」の重点項目であることが窺えると思います。
3.「複数の種類の知財の組み合わせ」の必要性と対応
「知的財産推進計画2025」では、全国に設置されている従来の知財経営支援ネットワークの中に、中小企業庁も2024年12月から加わって、
『より広く知財取引の実態を把握するとともに、中小企業・小規模事業者や支援機関の「知財経営リテラシー」の向上と、中小企業等が抱える経営相談等に対して知財の観点から効率的に支援を行っている。』
と、中小企業とその支援機関の「知財経営リテラシーの向上」も重視しています。
これは、2024年に特許庁から公表された「知的財産取引に関するガイドライン・契約書のひな形」などの流れにも沿ったものであり、
今後は、中小企業でも、特許と商標や、商標とノウハウ(営業秘密)など、複数の種類の知的財産を組み合わせて自社の事業を保護し、市場開拓する能力を向上させることが求められています。
これは、「知財ミックス」とも呼ばれる手法の活用と言えるかと思います。
また、同計画では、
『日本各地の歴史・文化・自然にはそれぞれ魅力的なストーリーがあり、世界から絶好のディスティネーションとなる可能性を秘めている。
それらを守り、次世代につなげていくことも重要である。こうした地域資源を活用し、世界から求め
られる価値を体験できる商品・サービスの高付加価値化に取り組み、国際水準ベースの価格で収益をあげ、その利益を更なる再投資につなげていく持続可能なエコシステムを構築する。』
のように、自社が属する地域の魅力などの地域資源や、自社の提供価値をいかに作り上げて届けるかという「価値創造ストーリー」などの、「ストーリー」の重要性についても記載しています。
とはいえ、経営リソースの制約が大きい中小企業では、特許と商標など、出願と維持に費用と人手がかかる知的財産権を複数獲得することはなかなか難しいため、
著作権やノウハウ(営業秘密)などとも含めて自社事業の保護と成長に必要な知的財産の組み合わせを検討し、補助金や専門家などの外部からの支援も活用しながら、
自社の顧客や社会への提供価値を「ストーリー」で語っていくことが求められて来ているのではと考える次第です。
【今日のまとめ】
・2025年6月に、内閣府より、「知的財産推進計画2025」が、「新たな国際標準戦略」、「デジタルアーカイブ戦略」と共に公表された
・同計画は、現在の国際情勢や社会課題を踏まえた新たな知的創造サイクルの構築を「IPトランスフォーメーション」と名付けてその取組を記載している
・上記の取り組みにおいて、中小企業でも科学技術だけでなくコンテンツなどの活用も含めて、複数の知的財産を組みあせて活用する知財経営リテラシーの向上が求められていると感じる次第です
最後までお読み頂き、有難うございます(*^^*)!
コメント、ご質問お待ちしております(^o^)!
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