面接で"いい人だな"と感じた候補者が、入社後に化けの皮を剥がす理由
「面接ではすごく良かったのに、入社したら別人でした」
経営者・人事担当者の方から、本当によくいただくご相談です。
人事コンサルタントとして、
これまで5,000人を超える面接に立ち会ってきました。
そのなかで、ある一つの真実に、何度もたどり着いています。
面接で見抜けなかった、と嘆く経営者は、
たいてい、見抜けない問いを、自分が出していたんです。
つまり、面接は、候補者を見る場ではありません。
"自社の問いの設計力"が、試されている場です。
今日は、その話をします。
◆"いい人"が、入社後に化ける2つのパターン
5,000人を見てきて、入社後にミスマッチが起きるパターンは、
だいたい2つに集約されます。
ひとつ目は、スキルが伴っていないパターン。
面接で「できます」と答えた候補者が、
入社後、実は基本的な業務もできなかった。
書類上の経験は確かにある。
言葉では何でも答えられる。
でも、いざ現場に立たせると、まったく手が動かない。
ふたつ目は、人格に問題があるパターン。
面接では誠実そうで、礼儀正しく、好感度も高い。
ところが、入社して数ヶ月で、こんなことが発覚します。
締切を平気で破る。
できない理由を、他人や環境のせいにする。
見ていないところで、サボっている。
経営者は、頭を抱えます。
「なぜ、面接で見抜けなかったのか」と。
でも、私は、こうお伝えします。
それは、見抜く力の問題ではありません。
"見抜ける問い"を、設計できていなかったからです。
◆「志望動機を教えてください」では、何もわからない
面接でよく使われる、ありきたりな質問があります。
「志望動機を教えてください」
「自己PRをお願いします」
「あなたの強みは何ですか」
「これまでの経験を教えてください」
これらの質問、何がダメか、わかりますか?
候補者が、事前にすべて準備できる質問なんです。
転職活動をしている人は、こうした質問への答えを、
何十回もシミュレーションしています。
模範解答を、流暢に、感情を乗せて、語ることができます。
つまり、面接官が引き出しているのは、
候補者の"本質"ではなく、"準備された答え"です。
これでは、何時間面接をしても、化けの皮は剥がれません。
◆"本音"を引き出すのは、"準備できない問い"
では、どうすればいいのか。
答えはシンプルです。
候補者が、事前に準備できない問いを設計してください。

たとえば、こういう質問です。
・「これまでの仕事で、一番"自分のせいで"うまくいかなかった経験を教えてください」
・「あなたが最後に、自分の判断を間違えたのはいつですか?」
・「上司から最も厳しいフィードバックを受けた時、あなたは何を感じましたか?」
こ
うした問いには、模範解答が存在しません。
事前に準備していない人は、必ず、思考の足跡が見えてしまいます。
言葉に詰まる瞬間がある。
取り繕ったような表現が出る。
あるいは、本音の温度が、ふっと表に出る。
そこに、候補者の本質が、宿ります。
◆あえて、少しストレスがかかる質問をする
私が顧問先の採用に入る時、必ずやるアプローチがあります。
面接の途中で、あえて、少しストレスがかかる質問を投げる、という方法です。
たとえば、こうです。
候補者が答えている内容に対して、こう聞き返します。
・「それは、本当にあなたの実力でしょうか?」
・「もう少し、深く聞かせてください。具体的には何をしたんですか?」
・「その時、もしうまくいかなかったら、どうしていましたか?」
優しい質問の連続から、急に角度の違う問いを差し込む。
すると、候補者の反応で、本質が見えてきます。
誠実な人は、戸惑いながらも、丁寧に答え直してくれます。
「鋭いご質問ですね、もう少し説明させてください」と、向き合ってくれる。
不誠実な人は、こう反応します。
急に防御的になる。
質問にズレた答えを返す。
質問者を軽く見るような態度を取る。
あるいは、表情がふっと変わる。
人格は、平時には見えません。
人格は、ストレスがかかった瞬間に、必ず出ます。
面接で安全な質問しかしないと、平時の顔しか見られません。
だから、入社後にギャップが生まれるんです。
◆「構造化面接 × 適性検査」が、最低ライン
スキルの見極めについても、お伝えします。
スキルを正しく測るには、最低ラインとして、
"構造化面接 × 適性検査"の組み合わせが必要です。
構造化面接とは、面接官の主観に依存せず、
全候補者に同じ問いを、同じ順番で投げる手法です。
「過去にこういう状況に直面した時、あなたはどう考え、どう動き、どんな結果になりましたか」
というSTAR形式の質問を、業務に必要な要件ごとに設計しておきます。
これにより、候補者ごとの"再現性"が見えてきます。
さらに、適性検査を組み合わせることで、
言葉では測れない、認知傾向・行動傾向・ストレス耐性を、
客観的なデータで補完できます。
ただ、これでも"人柄"までは完全には見えません。
だから、最後の一手が必要になります。
◆最後は、ご飯に行ってください
採用の最後の決断をする前に、
私は必ず、こうお伝えしています。
「最後は、候補者の方と、ご飯に行ってください」
ご飯の場には、面接室では絶対に見えないものが、見えます。
お店の店員さんへの態度。
料理が運ばれてくるのを待つ間の、表情の自然さ。
頼んだ料理を、どう食べるか。
食後、自分の食器をどう扱うか。
お会計の時、誰が、どんな立ち振る舞いをするか。
これらは、すべて"人格の素顔"です。
面接という"見られている時間"では、誰でも演じられます。
でも、ご飯の場には、本人の素が、必ず滲み出ます。
特に、店員さんへの態度は、決定的です。
店員さんに横柄な人は、入社後、立場の弱い同僚にも横柄になります。
店員さんに敬意を払える人は、後輩にも、外注先にも、誠実に向き合います。
これは、私が5,000人を見てきて、ほぼ100%、例外を見たことのない法則です。
◆「いい人だな」を、信用しないでください
最後に、もう一つだけ。
面接で「いい人だな」と感じた候補者ほど、要注意です。

なぜなら、その「いい人」という印象は、
候補者の本質ではなく、
"面接という場で、好印象を作るスキル"の結果だからです。
本当に見るべきは、こうです。
「この人は、ストレス下で、誠実でいられるか」
「この人は、自分の弱さを、正直に語れるか」
「この人は、立場の弱い人に、敬意を払えるか」
この3つに「はい」と答えられる候補者だけが、
入社後、化けの皮を剥がさずに、組織に貢献してくれます。
◆面接で見抜けないのは、面接官の責任です
経営者の方、人事の方。
採用ミスマッチが続いているなら、
候補者を責める前に、自社の問いの設計を、見直してください。
面接は、候補者を見る場ではありません。
"自社の問いの設計力"が、試されている場です。
問いが浅ければ、本質は見えません。
問いが深ければ、人は必ず素顔を見せます。
採用は、未来を選ぶ仕事です。
3年後、5年後の組織の景色を決めるのは、
今日、あなたが投げる、たった一つの問いです。
◆組織は、面接で決まります
最後に、もう一度だけ。
組織が伸びるか、組織が壊れるかは、
入社後のマネジメントではなく、
"面接の問いの設計"で、ほぼ決まります。
良い問いを投げれば、良い人が見えます。
浅い問いを投げれば、浅い情報しか手に入りません。
明日の面接から、問いを一つ、深くしてみてください。
その一つの変化が、3年後の組織を、静かに変えていきます。
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ここから、本当に伝えたいこと。
最初はみんな、副業未経験です。私自身も、誰もが知らないところから、ここまで来ました。ただ、断片的な知識を集めるだけでは、再現性は出ません。
私はこれまで、大手総合人材グループ企業でエリア統括と営業を経験。Webソリューション企業でマーケティングの立ち上げと採用責任者。医療ヘルスケア領域で経営コンサルと執行役員。そして現在は、事業成長と人事戦略の伴走型コンサルとして、数十社を支援しています。
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