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【ちょっと昔の世界一周】 #58 《自然と一つになっていく》

エジプト滞在二日目にして、砂漠ツアーの初日。
朝から動くことのないエレベーターを横目に階段を降りていく。

日中の暑さはなかなかのものだったが、まだ日が登りきっていないこともありとても過ごしやすい気温だ。
日本とは違って湿度が低いこともあり、日中といえど日陰に入れば涼しいのは昨日感じていたが、朝はそれとも違った感じでとても心地がいい。

外に出ると、荷物を背負って階段を降りてきた身にとってはとても気持ちのいい空気の中を歩き、再び〝ペンションさくら〟へと続く階段を登り始める。

『朝からキツイなぁ...』

そんな感じではあるが、無事に登りきりベルを鳴らす。

ドアを開けてくれたオーナーに案内されリビングに行くと、すでに砂漠ツアーのメンバーたちは準備を整えていた。

ツアー中、それぞれの荷物は鍵付きの部屋で預かってくれるというので、そこにバックパックを持って行き手荷物だけを持って合流する。

改めて挨拶を交わし、昨日一緒に買い物に行った二人以外に自己紹介をする。

軽い挨拶をしたところで、すぐに出発の時間になり再び階段を降りていく。

とはいえ、今度は手荷物ぐらいだし余裕!と思っていたが、昨日買った水を持っていくことを思い出し、再び一苦労して降りていき用意された車へと乗り込む。

そして、私たち一向を乗せた車は砂漠へと向かい進んで行った。

*****

メンバーは日本人六人だけだが、私たちの車を運転するガイドの他に、もう一台の車に三人のガイドがいる。

そちらの車は、今夜と明日の朝食分の食料品などを途中で仕入れていくらしい。
なにぶん、今夜は砂漠で一夜を明かす。
なので、万が一にも備え多めに持って行くとのこと。

ここで、アンマンの宿でリョウタ君の言っていたことを思い出す。

「ラマダンって面白いよ。ムスリムであろうと旅行中だと制限が免除されるから、この時期にツアーとかがあると無駄にガイドが増えるんだって。みんなツアー中は飲食OKだからね(笑)」

要はこういうことなのかな?と思いながら(実際にこれだけ準備をしないと、いけないのかもしれないが)、車内では先ほどよりも詳しくお互いの話をしていた。

パック旅行以外での海外旅行が初めてというユウタさんとシホさん・リエさん。

三人とも別々に来たのだが、シホさんとリエさんは同じ飛行機でエジプト入りをしたらしく、そこから行動を共にしているらしい。

ピラミッドも一緒に見に行ったりと、すでにカイロでの目的は達成し、残りの日程をどうしようかというタイミングでツアーの話を聞いて申し込んだとのこと。

ユウタさんはというと、カイロ入りした後にすぐに他の街の観光に向かい、再びカイロに戻ってきたタイミングでツアーの話を聞いたらしい。

なので、私を含めた六人中四人がピラミッドを見ていない。

せっかくエジプトに来たのに、メインとも言えるピラミッドを見ないで砂漠に先に行くとは、なんとも不思議な男たちだね〜という話で盛り上がっていると、少しずつ外の景色が開けてきた。

街から離れて行くと建物が少なくなるのは、どこも一緒ではあるのだが、ここの場合はその景色が砂漠になってくる。

今までは緑に囲まれている光景が当たり前だったが、ここでは違う。

進めば進むほど緑が少なくなっていき、砂と岩の世界へと変わっていく。

ヨルダンでの移動時も砂の世界を感じられていたが、ここではさらに砂。
砂漠へ向かって行くので当然と言えば当然なのだが、なかなか気持ちが昂っていく。

そして、メインの砂漠以外観光スポットもいくつか経由しながらお目当ての砂漠へと辿り着く。

砂漠だ...

目の前に広がる砂漠を見て、当たり前なのだがそんな感想を抱く。

地平線まで続く砂漠。
想像以上に気持ちがいい。

一同、同じような気持ちになっているようで皆、地平線を見つめている。

何が?と聞かれると具体的に説明はできないのだが、世界は広い、そして私たちは小さい。そんなことを感じられる。

悩みを抱えていたとしても、なんだそんな小さなこと!と思えてしまうほど、世の中の広さを感じられる光景が広がっている。

私たち以外にも、他のツアーで来ている旅行者もいるので観光客はそれなりにいるのだが、そこまで混み合うこともないぐらいに広い。

出発時間まで余裕があるので、各々行きたい所を見てまわる。

砂漠といっても砂地だけでなく、所々に岩場があるので登って上から見下ろしたり、逆に岩場を見上げたり。

観光スポットとはいえ、何せ全てが見どころといえる場所なので、ガイドの人たちもお互いのツアー客が固まらないように適度に距離をとってくれている。
そのおかげで、のびのびと見て回り次の場所へと進んで行く。

この時点で参加して良かったと思えるツアーだったのだが、砂漠ならではの発見もあった。

砂漠の中の整備されている道を進んで行くと、観光客用になのか、はたまた砂漠のオアシス的な役割なのか、たまに突然現れる建物。

私たちは特に寄る必要もないのだが、ガイドの休憩&食料調達の為に何回か止まるので、せっかくならと中を覗くと販売はしているものの高級すぎる水を発見する。

事前にカイロの街中で買っておいてよかった...と思いながら、一度トイレに行きたくなって場所を聞くと、店の主人はドアを指差す。

こういう場所なのに有料ではないんだとドアを開けるとそこは...

ん???

と悩んでいると、ガイドの男性がやってきてなんとなく指を差している。

そこで、察した。

大自然にすればいい!

要はそういうことのようだ。

日陰や朝の涼しさでも感じだが、エジプトはとても乾燥している。
なので、用を足してもあっという間に砂漠に吸収されていく。

仮に大きい方だとしても、砂をかけておけ!といったジェスチャーを教えてくれる。

さすが海外!
いや、エジプト!

とても合理的な考え方である。

とはいえ、女性用には人目につかないように(なんともいえない)壁で囲われた空間があるようで、そこで用を足せるようになっているらしい。

新たな気づきを得た私たちは、再び砂漠を進んで行くのだった...

*****

その後もちょこちょこ観光スポット(らしき)場所に寄り、車は一応舗装されている道から外れ砂漠の中を走っていく。

ある程度進んだところで車が止まる。
どうやら、ここが今夜の宿泊スポットのようだ。

ガイドの人たちは、夕食の準備をするので遠くに行きすぎなければ、どこに行ってもいいから自由に時間を潰してきて!と伝えてくれて、買ってきた食材や調理道具を出し始めた。

自由時間とはいえ、こんな所で迷子になったらたまったものではないので、なんとなくお互いが見えるぐらいの場所で各々写真を撮ったりしながら過ごす。

ウロウロしていると、少し小高い砂山を見つけた。

頂上まで登ると、乗ってきた車の横でせっせと調理をしてくれているガイドたちの姿が見える。ここなら何かあってもすぐに戻れるだろう。

一安心して、砂漠の上に大の字になって寝転ぶと、とても気持ちがいい。

少しずつ日没に近づいているおかげで、日差しもだいぶ弱くなり暑さもやわらいでいる。さらに、乾燥しているからか目の前に広がる大空が普段よりクリアに見える気がする。

そして、乾燥した大地である砂漠の砂はとてもサラサラとしているので、肌についたところで払えばすぐに落ちていく。むしろ私の肌を通し汗や水分を奪ってくれるので、そこで寝転ぶことは自然と一体になるような不思議な感覚を与えてくれる。

トイレの件もそうだが、砂漠は人間と自然の境界線を薄めていく存在なのかもしれない。

心地よい気持ちでゆったりしていると、砂を踏む足音が近づいてくる。
起き上がると他のメンバーも見晴らしがいいこの砂山を登ってきた。

勢揃いし腰を下ろし、地平線を眺めると段々と太陽が吸い込まれていく。

宿探しのドタバタがあったものの、こうやって素晴らしい光景を仲間と共に見ることができているエジプト滞在二日目。
明日はどうなっていくものか…


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