【ちょっと昔の世界一周】 #28 《君なら》
少々日差しの入りづらいの部屋の中、ベット横に荷物を置き腰を下ろす。
『ミラノの半額…いい宿だ!』
ミラノを離れ、私は次なる街【ボローニャ】へと着いた私はここは楽しめそうだ!という感覚になっていた。
*****
アジアに続き、ヨーロッパでの素晴らしい旅の始まり。
とはならなかったミラノの滞在。
もちろん街自体が素晴らしいと感じることができる美しさ。
料理も言葉の通り、本物のイタリア料理。
時間通りに動いている交通機関。
と旅行をするうえで何も問題はないのだが、いかんせん私には合わなかった。
悪い意味ではなく、アジアの汚さ・味の想像がつかない料理・適当な交通機関を体験することで、それを楽しんでいた私がいた。
思い通りにいかないからこその楽しさ
とでもいうだろうか。
さらに最も違いを感じたことが、人と人との関わり。
道を歩けば旅人に興味津々だったアジアとは違い、旅人は旅人で自分はいつもの日常を過ごしてます。
悪いことではないが、その空気感が何となく私とは合わない。
とはいえ、もう嫌だ。といったわけではない。
ミラノにも数日滞在し、ヨーロッパの雰囲気を感じることができたことは収穫だった。
さぁ、次だ!
そんな気持ちで私は電車に乗り、ボローニャへと向かった。
*****
ボローニャ
正直なところ、旅の計画を立て始めた時は知らなかった。
その街を訪れるきっかけは、人の縁。
世界一周を決めたものの、旅立ちの日まで仕事はしていた。
もちろん、関わりのあった人たちにも旅の話はしていた。
その中で、当時付き合いのあった取引先の方からボローニャを紹介された。
彼(といっても三十歳ほど年上の方だが)は熱心なクリスチャン。
大学時代に信仰的にも留学先としてイタリアに渡っていた。
その時に住んでいたのがボローニャ。
イタリアの他の都市に比べれば有名な建造物は少ないものの、とても雰囲気のある街並み、さらに美食の街としても知られている。
とりあえずイタリアという国に行ってみよう、と考えていた私にとっては申し分のない情報だった。
*****
ミラノからボローニャへの電車旅。
最も早い電車に乗ればすぐなのだが、急ぐ旅でもない。
ゆったりと電車に揺られ到着し、最初に向かったのは駅のツーリストインフォメーション。
ミラノでは嫌な思い出しかないのだが、頼るところはここしかない。
ミラノに比べればゆったりとした人混みの中、看板を見つけ入ってみる。
対応してくれた男性はとても親切にしてくれた。
それだけでここ(ボローニャ)が好きになる。
我ながら単純な性格である。
地図を見ながら宿の紹介、近隣の観光スポットの情報も教えてくれる。
私の英語力でも理解できるように話してくれているのを感じて、とても嬉しくなった。
だが、問題はある。
やはり宿の値段が高い…
旅の計画を始めた頃に比べ、1€は10円以上高くなっていた。
たかが10円…
しかし、10€なら100円以上違ってくる。
やはり高いなぁ…
そんな私の気持ちを察したのか、担当していた男性が「実は…」とある提案をしてきた。
「他の旅行者にはあまり教えないのだが、君なら問題ないと思う。ここに安い宿があるんだ」
と地図に印をつけてくれた。
「ただ…気に入らなかったら別の宿にしていいからね!」
こんな内容のことを教えてくれた。
立地的にもそれほど悪い場所ではないと思う。
が、教えてくれた値段は確かにだいぶ安い。
【君なら】
という単語が多少気になったが、いい人に違いないであろう。
その彼の言葉を信じ、宿に向かい歩き出した。
*****
歩き始めてすぐに感じたことがある。
それは、、、
『ここの雰囲気は好きだ!』

建物自体はミラノと差がないように感じるが、人の流れというか街の空気感がなんとなく違う。
悪い意味ではなく、アジアでは常に騒々しさがあった。
それに比べ落ち着いているのだが、ミラノでは観光地としての騒々しさがあった。
ここ(ボローニャ)はアジアほどではないが日常的な騒々しさを感じる。
生活の音なのか匂いなのかは分からないのだが、そういった空気を感じる。
『ここに来たことは正解かな?』
といったことを考えながら歩いていると、宿の近くまで来たようだ。
地図を見ると、目の前にあるカフェの脇にある路地に入っていくようだ。
何となくだが、道の先が暗く感じる。
これが旅の最初なら別の宿を探そうとなっていたことだろう。
しかし、今の私にとっては何も問題がない。
バンコクに戻った時の宿の方が、はるかに暗い。
むしろ【君なら】と言ってくれるぐらいの宿が気になってしょうがない。
路地に入り、次の交差点についた時に【君なら】の意味が分かった。
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