【ちょっと昔の世界一周】 #24 《有意義な日々》
宿から街中への道はしっかりとしていた。
舗装された道路、道沿いには様々なお店がびっしりと軒を連ねている。
バンコクでは当たり前だった光景だが、久しぶりの景色にどこか懐かしさを感じる。
とりあえず散歩に来たものの、これといって用事はない。
しばらく何をするでもなく歩き回り、ひとまずシェムリアップの街の雰囲気を感じて宿に戻ってみる。
宿に着き中に入ろうとした時、中から二人組が出てきた。
「こんにちは〜」
久しぶりに聞く本物の日本語。
「あっ、こんにちは...」
一瞬だが、言葉が出てこなくなる。
「もしかして、今日来たんですか?」
最初に声をかけてくれた、多分私と同じぐらいの男性が質問してくる。
その隣にはスキンヘッド&伸びた顎髭の男性がどこかを見ながら立っている。
「そうなんです。さっき着いて。久しぶりに日本人に会ったから一瞬止まっちゃいました(笑)」
そんな会話をしていると、せっかくならと宿の入口にある食堂(小上がりにテーブルが置いてある)で飯でも食べながら話そう。ということになった。
注文を済ませ改めて話し始める。
偶然にも私を含め全員同い年ということがわかった。
「こいつ、こんな感じですけどシャイなんすよ〜」
スキンヘッドの彼を指差し、笑いながら話している男性は〝コタロウ〟というらしい。
スキンヘッドの男性はというと〝タクミ〟。
見た目と名前だけで判断すれば、イメージ的に逆なのだが、大学の同級生で旅もよく一緒にしている仲らしい。
今回もタイをスタートしカンボジア、ラオスへと向かう途中とのことだった。
お互いの旅の話をしていくが、彼らはこれからラオスに向かうこともあり私に色々と質問してくる。
同い年とはいえ彼らは長年の旅の経験者。
私も彼らの旅の話を聞くのは面白いしタメになることばかりだった。
話が盛り上がっている間、数人の人が宿に入って行った。
宿泊客らしいがその中の数人がコタロウたちに声をかけている。
流れで一緒に食事をしながら話を続ける。
日本人宿というと、沈没(特に何をするでもなくただ一日中宿にいる旅人)している人がいるという話を聞いていたので、そのイメージでいたのだがタケオを利用している人たちは(今は)そういう人はいないようだ。
軽く自己紹介をしてあっという間に多人数での食事・飲み会が始まった。
『タケオに来て良かった!』
久しぶりに日本語での会話を楽しみ、色々あったここまで来たことをアタリだと思い、シェムリアップの夜が更けていった。
*****
楽しい夜を過ごし朝を迎える。
アンコールワットへは宿から出ているシャトルバスを使う。
コタロウたちに聞いたところこの車でアンコールワットまで行き、帰りは街中行きの車(バスやタクシー)に乗ればなんとかなるらしい。
さらに、ここまできたらアンコールトムも見た方がいいということも聞き予定に加えてみる。
ラオスでワットプーを見たことで急遽思い立ったアンコール観光。
朝から動き出し、夕方まで見て回った。
結果として、とても感動できた。









私の場合、何をするでもなく一緒にしばらく遊んだからなのか何も要求されなかった
※他の写真はこちら→【アンコール,2008】
ワットプーで感じた遺跡の魅力。
さらに言えば、美術的な知識はないはずなのだが【美しさ】というものも感じられた。
これからも旅を続けていく中で、色々な遺跡をみるチャンスもやってくるだろう。
せっかくならば出来る限りの遺跡を見て回ろう。
アンコールは特に目的のなかった私の旅にそんな一つの目標を与えてくれた。
一日中動き回ってさすがに疲れて宿に戻る。
そうすると入口横の食堂に昨日のメンバーが数人座っている。
「お疲れ〜。アンコール楽しめたかい?」
「めちゃくちゃ良かったです!」
そんな会話から始まり、私も自然に席につく。
食事を取りながら話し込んでいると、昨日のように人が集まってくる。
その中にはコタロウたちもいる。
確か二人は数年前から観光が可能になった【ベンメリア】という遺跡に行っていたはず。
どうだったか聞こうとすると、タクミが興奮しながら話し出した。
「ベンメリアめちゃくちゃいいわ〜!絶対行った方がいいよ!」
その時のメンバーは誰も行ったこともないこともあり、話題の中心はベンメリアになり盛り上がった。
話を聞くと観光できるようになってあまり時間が経っていないこともあり、観光客も少なくゆっくりと見てまわれるらしい。
さらに遺跡の修復もあまり進んでいないこともあり、崩れゆく遺跡を体験できるようだ。
そんな話を聞き行きたくなったのは私だけではないようだ。
その場の数人と明日行こうかと話になった。
そうと決まれば話は早い。
ベンメリアまでは車で一時間ほどで着く。
バスなどでいくことも可能だが、本数的にも時間的にもタクシーを使った方がいいとのこと。
そうなると人数が多い方が車代を安くできる。
私を含め四人が集まり、宿のスタッフにベンメリアまで往復の車の手配を頼む。
予定が決まり再び楽しい時間が過ぎていく。
しっかりと食べ、楽しく飲み、笑い話で盛り上がる。
疲れてはいたがそれ以上に充実した時間を過ごし、その日も過ぎていった。
