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【ちょっと昔の世界一周】 #22 《活気あふれる街》

蒸し暑さで目が覚める。

昨夜、宿に着くまで。
いや、部屋に案内してくれた陽気な従業員に聞くまで名前すら知らなかった【クラチェ】という街での一日が始まった。

階段を下りフロントがある一階へと向かう。

同じバスに乗ってきたメンバーが数人、フロント横にあるパソコンとにらめっこしている。

それもそうである。

本当ならばシェムリアップに着いているはずなのに、全く違う街で一日を過ごすことになった。

やることも特になく、暇を持て余しているようだ。

私もどうしようかも思ったがパソコンは空いていない。

何気なく壁に目をやると【Dolphin Tour】と書かれたポスターが貼ってある。

『こんな所にイルカがいるのか?』

せっかくなら行ってみようかとも考えたが、意外といい値段なのですぐに諦める。
(その後調べたら、クラチェは川イルカが見れるということで有名らしい)

こうなったら散歩である。

昨夜は宿に着いた時は夜、さらに雨だった。

荷物を下ろしいると雨が止んだので一度外に出たのだが新しい街、さらに日も暮れて灯りもそこまでないこともあり宿からそれほど離れずに散策をしていた。

その時は雨上がりということもあり、直前まで家にいたのだろうか、道ゆく人はまばらでパジャマのようなラフな格好で歩いていた。

そんなこともあり、あまり街の様子を見ていなかったので旅を始めて趣味となっている〝散歩〟に繰り出した。

歩き始めてすぐに感じたことがある。

道が舗装されてない!

タイに比べるとラオスはまだまだ発展していない印象があったのだが、道路は舗装されている箇所の方が多かった。

チャムパーサックのように、それほど人口が多くないであろう街では舗装されていなくとも違和感はなかった。

それが、ここでは舗装されていない。

宿のポスターで見たように観光資源はあるようだし、建物もそれなりに多い。

雰囲気としては中々いい。

にも関わらずこの状態ということを考えると、やはりカンボジアはまだインフラ事情が整っていないようだ。

ふと、学生時代に見たテレビ番組を思い出す。

アンコールワットへの道

舗装するごとに生活費を手に入れる、あの番組である。

当時の記憶では、カンボジアという国は内戦の影響もあってそういう感じなんだなぁ〜。といった感想だったはず。

それから数年経ってはいたが、やはりまだ解決はしていなかったようだ。

日本との違いはもちろん、近隣の国とも比べると発展という意味ではまだまだなのだろう。

しかし、なんだろう。

今までで街が一番楽しそうな雰囲気がする。

昨夜の雨がまだ乾ききっていない地面にゴザを敷き食べ物・日用品を売る人達。

そこで買い物なりおしゃべりをする人や、ただ通り過ぎて行く人。

その一人一人から感じる雰囲気が今までと違う気がする。

楽しそう。
というよりも活気があるというのであろうか。

学生時代、社会人として過ごしてきた時にも色々な人たちと関わってきた。

その時に『この人(こいつ)と一緒だとなんかいいな』と思う感覚のようなもので溢れている。

もちろん中にはそう感じない人もいるのだが、基本的にそんな雰囲気の人ばかり。

海外、特に発展途上国と言われる国や戦後の日本の説明(説明という表現か難しいが)で言われている【貧しくても元気・活気が満ちている】とはこういったことかもしれない。

そんなことを考えさせられていると、一人の男の子が声をかけてきた。

「Hello !!! Japan ??? Karate !!!」

と言いながら空手の真似をしている。

それを見ていた別の子たちが「そうじゃない、こうだ!」や「柔道だろ!」と言いながら集まってくる。

その様子を周囲の大人たちが見ながら微笑んでいる。

なんとも平和な時間である。

ブラブラしながら歩いていると川が見えてきた。
そして、道が舗装されている。

街中と比べ、川沿いの道は長距離バスを含め車の通りが多い。
そういった意味で場所を決めながらインフラを整備しているのであろう。

改めてメコン川を眺めると結構な距離がある。
先日の小舟のことを思い出し、特に当てもなく歩く。

同じように散歩している人や堤防に腰かけ川を眺める人。
それぞれの時間の使い方がある。

ここでも〝空手〟の声をかけてくる子どもたちの相手をしながら時間を過ごし、宿の方へ戻ってみる。

一通り散歩をしてみると、宿の立地はなかなかいい場所のようだ。

人通りが多いと思っていたが、どうやら目の前が市場のようだ。

そういう意味でも活気溢れる場所かもしれない。

市場の中にある食堂で腹ごしらえを済ませ時計を見る。

まだ昼になったぐらい。

街の雰囲気はいいのだが、これだけ時間があるとどうしたものか?と思う。

宿のネットでも見ようかと思ったが、いまだにバスのメンバーが居座っている。

こうなったらやることは昼寝か散歩。

だが、部屋は陽当たりが良すぎるので暑い。
結果として再び散歩に戻る。

今度は川とは反対の方に向かってみる。

と、今までと少し雰囲気が違う。

道端の物売りも少なくなったのだが、建物もボロボロになっている箇所が目立つ。

さらに道に落ちているゴミの量も増えてきた。
増えてきたというよりも、先を見ると行き止まりにゴミが集まっている。

想像するにお店が並ぶ先ほどまでの中心街とは違い、ここは家が中心の生活空間。
観光客には縁遠い場所であろう。

しかし、不思議なものだ。
カンボジアの国民性なのか、ここでも先ほどまでのように声をかけてくる人たちと接しているとあっという間に時間が過ぎていく。

ラオスで人との接し方を学べたおかげか、ここでも自然と関わることができる。

少しは旅人としての経験値が増えたのかもしれない。

時々話をしながらながら歩き回っていると、宿の前に戻ってきた。

中を見るとようやくパソコンが空いている。
アンコールワット、シェムリアップについて調べていると段々と日も暮れてきたようだ。

せっかくならもう少し街を見ようと思い再び外に出る。

夕涼みに川沿いを歩き考える。

『この街に来れてよかった』

昨日はどうなることかと思ったが、結果として大満足だった。

暗くなる前に戻ろうとは思っていたので、来た時とは別の道を歩いていると、いい匂いが漂ってきた。

車が通れるスペースは空けて、道路沿いにテーブルと椅子を並べ食堂街(食堂道というべきか)が出来上がっている。

仕事帰りなのか、はたまたフラッとやって来たのか椅子に腰掛け食事をとる人たち。

私もここで食べようと見渡していると、外国人が見てるぞ!という感じで店の人だけでなく料理待ちをしてる人たちもこちらの様子を伺っている。

その中で声をかけてくれた女性の店(店という呼び方であっているのか)に決め席に着く。

料理が出てくるのを待っていると、すぐ隣から視線を感じる。

目をやると店の女性の子どもだろうか。先ほどまで鍋の近くにいた女の子が隣でこちらを不思議そうな目で見ている。

「Hi !!!」

と声をかけてもジーッとこちらを見ている。
その様子を料理をしながら笑って見ているお母さん。

写真を撮ってもいいか聞くと、OKと言うので一枚撮って見せる。

が、相変わらず不思議そうな表情のままお母さんの方へ走って行く。

もう一度、今度は二人を撮って見せる。

そこに写っている母親の笑顔を見て安心したのだろう。
一気に表情が和らぐ。

そうなると今度は食事中の私の隣に座りちょっかいを出してくる。

少しだけカメラを貸してシャッターを教えると大喜び。
自分で撮った写真を見て嬉しそう。

その様子を見て周囲の人が笑顔になる。

『やっぱり、この街に来てよかった!』

偶然立ち寄ることになったこの街【クラチェ】での経験は、旅の楽しみが詰まった一日になった。

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