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『The King's Bird』で旅する、美しい世界に広がる茨の道


空を飛びたいと思ったことはないでしょうか?


 飛行機や精密機械なんかを使わずに、自由に空を飛び回ることは、人類の憧れかもしれません。そんなことを夢見ながら生きている人も少なくはないでしょう。


自由に空を飛べることは、
夢のままだった方が良かったのだろうか。

外の世界に出るべきだったのだろうか。

真実は知るべきだったのだろうか。

選択は間違ってなかっただろうか。

今回は、同じ思いを持った少年が主人公のゲームの話。

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『The King's Bird』とは

 2018年8月24日にSteamでリリースされた、2Dアクションゲーム。ひと目見ただけでわかる美麗なグラフィックと上質な雰囲気を持ち合わせた作品。シルエット感のあるキャラクターが描く、白い煙の軌道がアクションの気持ち良さを感じさせる。実際にプレイするとわかるが、見た目とは裏腹に精密な操作が求められ、終盤に急上昇する難易度に苦しめられるプレイヤーも少なくはない。そのため、人によって評価が大きく分かれる作品になっている
 ちなみに、日本語には未対応なのでご注意を。一応、有志の方々が日本語化を行っているそうですが、私は使用していないので詳細は不明。ご利用は自己責任でよろしくお願いします。詳細はこちら
 2019年2月12日には、NintendoSwitch、PS4、Xbox oneでもリリースされているが、日本では配信されていない模様。残念。

文字では語られないストーリー

 『The King's Bird』では、説明や会話が明確に文字で表示されることは非常に少ない。ストーリー上、文字で語られるのはプロローグとエピローグ程度だろうか。他はマップにある壁画やキャラクターの動きでストーリーを感じ取り、想像することしかできない。
 以下は、プロローグ部分のストーリーを拙い文章力と想像力で書き上げたものです。個人的な解釈が色濃く出ていますが、未プレイの方にとって、なにか興味を引くものになっていれば幸いです。

ここは読み飛ばしてしまっても、全く問題ありません。

 少年は空を飛ぶことを夢見ていた。自由に宙を舞い、世界を探索する夢。しかし、しょせん夢は夢。少年は「鳥かご」によって捕らえられ、夢は終わりを迎えてしまう。

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 少年が目を覚ますと、そこはいつもの街。人々は平和に暮らしているように見えるが、街の端には「」があり、外に出ることは許されない。まさに鳥かごの中のようだ。
 少年が壁の前にいると、暴君である王が外の世界から帰ってきた。王は風の力を使い、難なく壁を通り抜けた。少年は王に外の世界ついて尋ねた。

 「外に出たいと思うな

 王は少年の質問を無視し、そう強く言いつけると祭壇へと向かった。無力な少年には、どうやっても壁の向こう側に行くことは叶わなかった。

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 「そうだ、王のように風の力があれば……

 祭壇には何か特別な秘密があると踏んだ少年は、こっそりと王を追いかけることにした。王が街の真上にある祭壇に向かって飛び上がった直後、残留する風に乗って少年も舞い上がった。祭壇への侵入はたやすく成功した。
 祭壇には、風の力の塊のようなものがあり、その中で王が舞うことで街全体の風の力を制御をしているようだった。少年は塊に手を伸ばした。指先が触れた瞬間、少年は数m先まで吹き飛ばされてしまった。よろめきながら立ち上がると、少年は自分の中の新しい力を感じていた。風の力だ。どうやら、塊に触れることで風の力を得たようだ。侵入に気づいた王は激昂し、少年に詰め寄った。王が離れたことで、塊は暴走寸前の状態になっていた。塊か少年かの2択を迫られた王は、塊の制御を優先した。
 その隙に少年は駆け出し、祭壇から飛び降りた。風の力を使い、夢のように宙を舞いながら、街の端までなんとか逃げ延びたが、目の前には壁が立ちはだかった。今の少年には風の力がある。王と同じように壁を通り抜けると、少年は初めて外の世界に足を踏み入れた。
 王が壁を作り、風の力を独占してまで隠していた外の世界。少年は謎を解き明かすため、木々が生い茂り、茨だらけの旅路を進む。

 その先に、どんな真実があろうともーー。

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美しいアートワークと音楽

 この作品で最初に目を引くのはやはりグラフィックだろう。全体的にシルエット感のある作りで、光や色彩により、奥行きのある世界観を味わうことができる。多くのゲームで採用されている、画面上に常に表示される情報「HUD(Head-Up Display)」が、本作では存在しないことも美しさを際立たせる要因の1つだろう。様々な配慮により、世界観を崩すことなく、プレイヤーは世界を飛び回ることができる

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操作説明はマップ上に埋め込まれるように描かれている

 音楽は全体的にゆったりとしたものが常に流れている。RPGでいうと「村や街」「神殿」のような場所で使われる曲調だろうか。効果音も気持ち良く、ジャンプや着地、空中を飛ぶ際の風を切るような音がしっかりと作られているので、ヘッドホンを使用してプレイするとより良いゲーム体験を味わうことができる。
 良質な楽曲が多いが、曲数が少ないことが残念なところかもしれない。もっといろんな曲が聴きたかった。欲張りでした。すみません。

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ステージごとに統一されている色調が美しい

爽快感のあるハイスピードアクション

 見た目の雰囲気から「美しい世界を飛び回る、ゆったりとしたアクション」という印象を持ってしまいがちだが、実際は真逆だ。ジャンプや滑空を使い分けながらステージをクリアしていく硬派なアクションゲームが真の姿。後半になると、更にパズルのような要素もあり、スピードをつけながらジャンプして、坂道で更に勢いをつけながら滑空、調整しながら小さな隙間に飛び込んで三角飛びで上に登る。といった精度の高い、連続したアクションを求められる。途中、少しでもスピードが落ちれば目標に届かなかったりするという、シビアな一面も持ち合わせている。終盤はかなりヘヴィなステージが待ち構えているため、ゲームクリアには多少の覚悟がいる。リトライはかなり早いので、繰り返しプレイする、という点でのストレスは少ない。

精密プラットフォーマーでは……?

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トゲトゲに当たったら1発アウト

想像よりも歯ごたえのあるマップも存在するステージたち

 序盤を除き「ストーリーエリア」→「ステージクリア型エリア」→「ストーリーエリア」→……と、エリアを繰り返して進む形式となっている。「エリア」というのは勝手に命名しました。
 「ストーリーエリア」は、壁画を見ながらストーリーを追うだけの一本道のステージ。
 「ステージクリア型エリア」は、エリア内に点在するステージをクリアするエリア。規定の数のステージをクリアすることで、次の「ストーリーエリア」へ進めるようになる仕組みだ。エリア内の全ステージをクリアする必要はない
 各ステージには「」が存在し、エリアの全ステージで鳥を捕まえることで実績が解除される。鳥の回収は必須ではないが、私は集めないと気が済まない質であったので漏れなく回収した。たのしかった。
 ステージには難易度の違いマップの構造にバリエーションがあり、終盤のステージでは30分以上かかるようなものもいくつかある。これは個人差がかなり大きいと思うので、参考程度に……。

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基本的に中断セーブは存在しない

難しいステージ……だけど、カンニングOK!!

 操作の上手い、下手は置いておいて、そもそもマップの進み方がわからなくなることも多い本作。そんなときは一旦ステージ開始前に戻り、リーダーボードを確認しよう。そこには「とにかくクリア時間が早い人TOP10」と「鳥を全部集めてのクリア時間が早い人TOP10」が表示されている。各ユーザーの名前を選択することで、その記録を出したときのプレイ動画を見ることが可能になっている。同じようにプレイするのは難しいが、ステージの進み方と鳥の居る場所がよくわかるはずだ。これは非常に助かる機能。まじ、神

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タイムアタック要素が好きな方にもおすすめ?

親切すぎる!? 超強力なアシスト機能!

 同じ場所で何度も失敗し続けると、画面上に「クリアできないなら、アシスト機能を使え、下手くそが(意訳)」という旨のメッセージが表示される。
 アシスト機能は、その名の通りクリアする手助けとなる機能だが、それがかなり強力な機能で、アシストの内容は凄まじいことになっている

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条件はわからないが、急に出てくる

 Optionassist mode内の「enable assist mode」にチェックを入れることでアシスト機能は発動する。以下のような設定ができ、複数のアシストを同時につけることも可能となっている。最初から使える機能なので、好き放題やりましょう。

limitless cloak
 → 滑空の距離を無制限にする
no air resistance
 → 空気抵抗をなしにする
invulnerability
 → 不死身にする
resume levels at checkpoint
 → ステージから抜けても、再開時には最後に到達したチェックポイントから復帰可能
offer checkpoint skips
 → 1回のみ、次のチェックポイントにワープ可能
generous collisions
 → 着地しやすくなる……らしい
extra hits to die
 → トゲトゲに当たっても大丈夫な回数を指定可能
game speed
 → ゲームスピードを最大10段階まで遅くできる

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デメリットはステージのクリアタイムが記録されない程度

ゲーム中の導線がめちゃくちゃ不親切

 ゲームは最後まで遊んでもらうことが大事だと思うが、本作はその点に大きな問題を抱えている。それは「進め方がわからなさすぎる」ということだ。
 プロローグが終わった直後、最初の街から進め方がわからなくなる人が多いと思われる。操作説明を含め、街の端へ向かうというのが最初の目的だが、何のメッセージもなしに街に放り出されるため、どこに行けばいいのかが不明瞭になっている。あまりにも乱暴な始まり方なので、ここで投げてしまう人も少なくないはず。
 『Ghost of Tsushima』では、任意のタイミングで風を吹かせることで次の目標への進行方向をプレイヤーに示すようにしていたらしいが、それと同様に自然と道を指し示すようなものがあれば良かったのかもしれない。
 風や煙を使った演出は自然ではあるし、木で矢印の形を作って指し示しても良いと思う。最悪、操作説明のようにヒントを描くのも悪くないだろう。とにかく、そういった気遣いが必要なゲームだった。

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 ゲーム開始直後、何をするのか、
 左右どちらに行けばいいのか、
 全くわからない

 また、「ステージクリア型エリア」や最後の展開でも説明がなさすぎて、ここも詰まる人が続出するポイントだろう。ゲーマーの勘で察するしかない。
 雰囲気や世界観を優先した結果、ついていける人しかついていけないシステムになってしまっているのが非常に惜しい
 上記のことから、通常プレイするだけで取得できるはずの実績取得率が非常に低い。以下は実績取得率の上位を抜粋したものだが、1エリア目をクリアする実績の取得率はわずか8.6%。2エリア目のクリアの実績取得率は4.6%と更にガクッと低くなっている。

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 識者からは「バンドルセットの中に含まれていることもあるため、買ったけど積んでいるという人が多いせいでは」という説もあったが、定かではない

終盤の難易度は超高い

 様々な障害を乗り越え、終盤までたどり着いたプレイヤーを襲うのはただただ難しいマップ。これまで以上に求められる精密な操作とパズル的な攻略法。チェックポイントの多さが救いではあるが、初見の難易度は非常に高く、クリアまでには絶対に避けられないステージであるのが辛いアシスト機能を多用しても難しさは健在で、あともう一歩のところでエンディングに手が届かない人がいても不思議ではない

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まだまだ簡単な絶望の始まり

惜しい点が多いが、空を舞うアクションは味わうべき一作

 空気抵抗や慣性を駆使した独特なアクションやタイムアタック要素のあるステージは非常に面白く、アクションゲームが好きな人は触っておいて損はないリーダーボードからプレイ動画を見ることができる機能や強力なアシスト機能によるサポートも素晴らしい
 ただ、それらの長所を潰してしまうような短所も多く、既存のプレイヤーによるサポートも必要となるかもしれない。どうか序盤で諦めず、まずは1つ目のエリアクリアを目指してもらいたい。
 芸術的な世界観や雰囲気は目を見張るものがあるため、そこはそのままで、ゲームシステムの方もしっかりと作られたら最高のものになるのは間違いない。同じ開発会社の新作『Neversong』もいつか触ってみたいところ。
 『The King's Bird』はセールで安く購入できるようになっているので、気になっている人はそのタイミングで買うことをおすすめする。

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サントラ付きのほうが安いという罠

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実績コンプまで22時間でした


 それでは。

 おわり。

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