第41回:持続可能な暮らし3 農家で「稼ぐ」以上の視点を身につける学び(真田純子)
人文地理学者の湯澤規子さんと景観工学者の真田純子さんの、「食 × 農 × 景観」をめぐる往復書簡。今回でこの往復書簡はいよいよ最終便です。スイス・チューリッヒの地で、これまでのやりとりを思い返しながらのまとめ回です。

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自然素材の利用=持続可能性なのか
そんなイタリア視察から帰ってきて一週間もたたないうちに、今度はチューリッヒにやってきました。スイス連邦工科大学チューリッヒ校で建築の設計演習の授業をやるためです。そこで教授をされている貝島桃代先生が、石と土、木という自然材料をテーマにした演習を企画し、私は石の担当として声をかけていただきました。
設計課題については、2024年の12月ごろから何度も相談し、単に自然素材を使おうというのではなく、かといって新しい素材をつかうことを「進歩」だと無批判に受け入れるのとも違う、持続可能な未来に向けた適切な材料の使い方について考えてもらおうということになりました。

自然素材を使うことは、持続可能性の観点から土木や建築の分野で世界的な潮流になりつつあります。しかしどうもしっくりこないところがあります。ときたま、現在の工業的な材料を自然材料に置き換えればよいと考えられているような雰囲気を感じるのです。
以前のお手紙で書いたように、自然素材を使うということは、それなりに制限もあり、かつてはそうしたことを理解しながら使ってきました。石は重いという特性ゆえに材料の入手(運搬)に制約がありますし、土は水に弱い。使いたいようには使えないのです。
工業的な材料を使うようになって、それまでにあった制約からはかなり自由になりました。その自由を維持したまま「持続可能性」というキーワードにあてはまる自然材料を使おうとすると、かなり無理が出てくるのではないかと思います。
1時間に2平方メートルの石切仕事
先日、授業の2週目に設計対象地やその周囲のいろいろな現場をみんなで見学しに行ったのですが、その際、アシスタントの人が石切り場と石の加工場を見学先にしてくれていました。
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