第29回:地球とかかわる4 編み物と石積みの共通点(湯澤規子)
人文地理学者の湯澤規子さんと景観工学者の真田純子さんの、「食 × 農 × 景観」をめぐるおいしい往復書簡。編み物をするとなぜか話が弾む、という湯澤さん。「あるものでまかなう」ところは、石積みと共通点があるといいます。地球と人が「まかない合う」こと、その所作のひとつが、編み物と石積みにはあるのです。

\2026年2月9日発売/
noteマガジン「地球のまかないごはん」が書籍になりました!
noteでは語られなかった書籍限定の書き下ろしも収録しています。
書店またはオンラインで、ぜひご覧ください。https://shop.ruralnet.or.jp/b_no=01_54025124/
「編む=生産」だけでは体験できないこと
今、編み物に夢中になっています。私の日々の大切なあそびです。疲れた時、落ち込んだ時、リラックスしたい時、そしてシンプルに楽しみたい時に編みます。もちろん、編み上がったものを使うために編むわけなのですが、編む過程そのものが楽しい。もともと手工芸が好きで子どもの頃に編んだことがあるのですが、「編む時間がない」と、その後は既製品ばかりに頼っていました。
「編む時間がない」というのはそれを単なる生産活動と考えた時に出てくる発想です。いつの間にか、私は編み物を単なる生産活動、つまり経済活動として見るようになっていたのでした。ところが最近、『編むことは力:ひび割れた世界のなかで、私たちの生をつなぎ合わせる』(ロレッタ・ナポリオーニ著、佐久間裕美子訳、岩波書店、2024年)を読み、書評を書いたことがきっかけで、編み物を再開しました。そうすると、それは単なる生産活動や作業なのではなく、一つ一つの目を編むことの中に楽しみと面白さ、工夫と達成感、身体のリズムがもたらす安らぎがあることに気がつきました。
ここから先は
¥ 100
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?
