【第72回】 Summer '23 リリース 注目の新機能 Marketing Cloud ハイライト
Salesforce の新機能 Summer '23 がリリースされました。Marketing Cloud は 2023年 6月3日から 6月23日の間にリリースが完了しています。今回リリースされた Marketing Cloud 関連の新機能の中では「削除済みコンテンツの復元」機能が注目の機能になるのではないでしょうか。漸く Marketing Cloud にも「ごみ箱」が御目見得しましたね。
また、前回のリリースではベータ版だった「データエクステンションストレージの詳細のダウンロード」も正式リリースとなりました。この機能をベータ版の時点で試してなかったのですが、実際に試してみたところ、アカウント内のすべてのデータエクステンションがエクセルで一望できたり、各データエクステンションに保存されているレコード数を一括で把握できたり、データエクステンションが保管されている場所のパスも確認できるのでなかな使えます。これまで Chrome 拡張機能の DESelect などを使用してきた人にとっては、代替できる機能になるかと思います。

さて、それでは新機能 Summer '23 にて、どのような機能がリリースされたのかを順に見て行きましょう。今後、Salesforce 主催での新機能リリース説明会も開催されると思いますので、そちらも開催されたらしっかりとキャッチアップして補足して行きたいと思います。
■ 前回の Spring '23 も記事にしていますのでご覧下さい。
すべての記事を読んでいる時間の無い方は、下記の目次から、気になる内容だけでも確認してみて下さい。
■ Marketing Cloud アプリ、セットアップ、およびセキュリティ関連
このリリースに含まれる機能により、アラート、レポート、検証、および改善されたパフォーマンスによりオートメーションの健全性と最適化が促進されます。パッケージマネージャは、作業効率の向上に役立つテンプレートを起動します。
① イベント通知サービスを介したオートメーションアラートの受信
イベント通知サービス(ENS)を介してオートメーションに関するビジネスに不可欠なアラートを送受信します。ビジネスニーズに基づいて、開始したオートメーション、完了したオートメーション、停止されたオートメーション、エラーが発生したオートメーション、スキップされたオートメーションに関する通知を受信します。通知には、オートメーションの名前と種別、ビジネスユニット、ファイルの場所、エラーの詳細などが含まれます。
② データエクステンションストレージの詳細のダウンロード


データエクステンションストレージの詳細を CSV ファイルとしてダウンロードし、使用状況を把握できます。不要なデータを削除し、保持ポリシーを更新することで、ストレージの使用状況を最適化し、パフォーマンスを改善し、コンプライアンスを確保します。システムデータエクステンションがダウンロードに含まれますが、そのストレージの使用状況はストレージ制限に対してカウントされないため、使用できません。
対象ユーザー:このレポートは MC 管理者ロールと管理者ロールが使用できます。このレポートを別のロールが使用できるようにするには、テナントのすべてのビジネスユニットで [管理] | [アカウント] | [Download Data Extension Storage Report Details (データエクステンションストレージレポートの詳細のダウンロード)] 権限を付与してください。
方法:最上位となる Enterprise 2.0 アカウント(親アカウント)の [セットアップ] に移動して [ストレージの詳細のダウンロード] をクリックします。
③ オートメーションの履歴のダウンロード


オートメーションの履歴を CSV ファイルとしてダウンロードすることで、オートメーションの健全性を評価できます。各オートメーションの成功率を確認し、スキップ数またはエラー数の多いオートメーションを特定することで、オートメーションの健全性を改善します。
指標として以下を確認できます。
・30日間の成功率
・30日間の完了数
・30日間の失敗数
・30日間のスキップ数
・30日間の実行数(完了数+失敗数)
・1年間の実行数
対象ユーザー:このレポートは、MC 管理者ロールが使用できます。このレポートを別のロールが使用できるようにするには、テナントのすべてのビジネスユニットで [Automation Studio] | [一般] | [アクセス] 権限を付与します。
方法:最上位となる Enterprise 2.0 アカウント(親アカウント)の [セットアップ] に移動して [オートメーションの履歴のダウンロード] をクリックします。
④ データエクステンション間でのデータの迅速なマージおよび転送
インポートアクティビティを使用して、データエクステンション間でデータをマージおよび転送します。データエクステンション間のインポートアクティビティが最適化され、以前と比べて 10倍高速になりました。インポートアクティビティには 30分のタイムアウト期間がないため、SQL クエリアクティビティの代わりにこの方法を使用することをお勧めします。
方法:Contact Builder で、データエクステンション間でデータをマージまたは転送するインポート定義を作成します。次に Automation Studio で定義をインポートアクティビティに追加して、そのインポートアクティビティを自動化します。
⑤ 改善された「検証」による SQL クエリアクティビティの最適化
構文を検証して SQL クエリアクティビティのパフォーマンスを改善します。以前のクエリアクティビティの検証結果は「成功」または「失敗」のいずれかのみでした。ただし、このリリースでパフォーマンス低下の原因となる可能性がある選択コードの問題についての警告も表示され、コードを改善するための推奨方法が提供されるようになりました。
方法:SQL クエリアクティビティを作成するときに [検証] をクリックします。
⑥ パッケージマネージャーテンプレートを使用した作業効率の向上
業種ソリューションは、マーケターの作業効率の向上に役立つ業種固有のジャーニー、コンテンツ、オートメーション、ランディングページなどが含まれるキャンペーンテンプレートです。
方法:パッケージマネージャーでソリューション展開フローを起動するには、[Industry Solutions (業種ソリューション)] タブを選択します。次に、適切なソリューションを選択して [Deploy (展開)] をクリックします。
■ Content Builder、CloudPages 関連
CloudPages カスタムドメインのアップグレードを行います。削除された Content Builder コンテンツを復元および管理します。
① CloudPages カスタムドメインのエラーメッセージの作成
CloudPages カスタムドメインユーザーは、ユーザが間違った URL を入力したり、公開されていないページまたは表示されないページにアクセスしたりした場合の「わかりやすいエラーメッセージ」を作成できます。この変更により、マーケターはより適切なエラーメッセージを使用して、顧客を誘導することができます。
通常のランディングページを作成する場合、CREATE ADVANCED ERRORCONTENT で None を選択します。
エラーメッセージのページを作成する場合、CREATE ADVANCED ERRORCONTENT で、対象エラー(403、404、500)のいずれかの内容を選択します。
② Content Builder での削除済みコンテンツの復元
Content Builder ユーザーは、復元可能なコンテンツをごみ箱に送信することで、コンテンツをより適切に管理できるようになりました。この機能を使用すると、サポートに連絡することなく、ごみ箱に送信されたコンテンツ項目を復元することができます。
対象ユーザー:Content Builder のごみ箱を使用するには、ユーザーに「削除」権限セットが必要です。
この機能は、早速、私の方で試してみましたが「ごみ箱」は Email Studio 上にはなく、Content Builder 上に新しいタブとして存在しました。

このリリースより前に削除済みだったコンテンツの復元はできないようです。あくまで、このリリース後に削除したものが対象ということですね。

2023年6月28日:追記
Salesforce サポートに「ごみ箱に移ったコンテンツの保管期限みたいなものがあるのか」を問い合わせましたが「現時点では保管期限は設けていない」ということでした。ご参考までに。
③ CloudPages カスタムドメインのルートコンテンツの指定
CloudPages カスタムドメインユーザーはルート URL のコンテンツを指定できるようになりました。以前は pages.nto-retail.com/sales などのドメインを使用していた場合、顧客がルート URL の pages.nto-retail.com にアクセスすると 403 エラーが表示されていました。この変更により CloudPages のアセットをより適切に管理でき、優れたナビゲーションが実現され、顧客の信頼が高まります。
■ AMPscript 関連
新しい AMPscript 関数を使用すると、JSON データを解析して Marketing Cloud コンテンツをパーソナライズできます。
① AMPscript を使用して JSON データを解析して Marketing Cloud コンテンツをパーソナライズ
SSJS と ガイドテンプレート言語 に加えて AMPscript を使用して、メール・SMS・プッシュメッセージのパーソナライズで使用するネストされたデータを抽出できるようになりました。新しい AMPscript BuildRowsetFromJSON() 関数では JSONPath 構文を使用して、任意のソースからインポートされたデータを照会します。例えば、この関数を使用して Data Cloud から関連属性を取得します。
■ Journey Builder 関連
Journey Builder システム最適化ダッシュボード(ベータ版)を使用してジャーニーを最適化します。拡張された終了条件と目標基準を使用してジャーニーを簡素化します。Salesforce データエントリオブジェクト別にジャーニーを表示します。REST API を使用して Journey Builder 履歴をダウンロードできるようになり、展開と折りたたみが可能なパスを使用してジャーニーナビゲーションを合理化できるようになりました。Journey Builder で時間単位のしきい値なしでメールアクティビティの配信時間を使用します。
① Journey Builder で展開と折りたたみが可能なパスを使用してジャーニーナビゲーションを合理化


実行中のジャーニーですべてのジャーニーアクティビティを一度に展開または折りたたむことができるようになりました。アクティビティ (判断分岐) を折りたたむと、ジャーニーキャンバスのサイズも更新され、キャンバスの特定のセクションにズームインして構成のビルドを確認したり、トラブルシューティングを行ったりできます。
② REST API を介した Journey Builder 履歴のダウンロード
Marketing Cloud 開発者は REST API を使用してビジネスユニット別に最大 30日間のジャーニー履歴を CSV や TSV ファイルにダウンロードできます。ジャーニー、アクティビティ、ステータス、エラーなどに関するデータをダウンロードして、トラブルシューティング、セグメンテーション、レポートに役立てます。
③ Journey Builder のメールアクティビティで「時間単位のしきい値」の設定無しで「配信時間」の設定を使用

メールアクティビティの「配信時間」と「時間単位のしきい値」を個別に設定して、Journey Builder でのメール送信を調整できるようになりました。(これまでは「配信時間」の設定をするときは、必ず「時間単位のしきい値」も設定する必要がありました。)例えば、バースト送信を実装したい場合は「配信時間」のみを定義します。これまで Email Studio と Automation Studio ではこのような設定ができましたが、Journey Builder でも設定が可能になります。
UI も少しリッチになった感じですね。早速、個別設定でテストしてみましたが、問題なく機能しました。また、これまで通り「時間単位のしきい値」を入れた状態でも機能しました。

④ 拡張された終了条件と目標基準を使用したジャーニーの簡素化
終了条件および目標の設定でも、ジャーニーデータと連絡先データを一緒に使用できるようになりました。ジャーニーへのエントリ以降に連絡先のステータスまたは生涯価値が変更されたかどうかを監視するなど、データセット属性を比較することが可能になりました。
⑤ システム最適化ダッシュボードを使用したジャーニーのパフォーマンスの最適化(ベータ版)
新しいシステム最適化ダッシュボードを使用してビジネスユニットのジャーニーのパフォーマンスを最適化します。このダッシュボードには、全体的なシステム処理速度に影響する可能性があるジャーニーと構成が含まれます。
方法:このダッシュボードを使用して、戦略を策定し、次のようなシステムパフォーマンスの質問に回答することができます。
・ 影響を与えるどのジャーニーを最適化する必要がありますか?
・ このジャーニーの実行が遅い理由は?
・ このジャーニーの速度を向上するためにできることは?
⑥ Salesforce データエントリーオブジェクト別のジャーニーの表示
ジャーニーで Salesforce データエントリを使用している Marketing Cloud Connect ユーザーの場合、オブジェクトごとのジャーニーの Apex 制限に到達しようとしているジャーニーを特定し、アクションを実行することができます。ジャーニーダッシュボードで、Salesforce データエントリイベントを使用するすべてのジャーニーを表示するようにフィルターを選択します。特定の標準オブジェクトまたはカスタムオブジェクト内でジャーニーを表示するようにサブフィルターを適用します。
■ Email Studio 関連
Email Studio で未送信イベントを使用して Transactional メッセージが送信されたかどうかを確認します。
① Email Studio での Transactional メッセージングの未送信イベントのトラッキング
Transactional メッセージング API および Transactional ジャーニーについては、Transactional メッセージのステータスが [未送信] になったタイミングを確認します。未送信イベントは、[トラッキングの抽出] の [未送信テーブル] にリストされます。Automation Studio でトラッキングの抽出を構成します。
■ Intelligence Reports 関連
新しいアプリ内ダッシュボードを使用して、アプリ内データをメールデータと共に参照できるようになりました。また、レポート、ピボットテーブル、ダッシュボードで新しいメジャメントとディメンションを使用してこのデータをトラッキングすることもできます。
① アプリ内ダッシュボードを使用したインテリジェンスレポートの機能強化
アプリ内データを表示し、成功率が高かったメッセージ、パフォーマンスが高かったキャンペーンや、顧客がアプリ内メッセージにどのようにエンゲージしたかを確認します。
対象:この変更は Pro Edition、Corporate Edition、Enterprise Edition のエンゲージメントのインテリジェンスレポートに適用されます。
時期:この機能は Summer '23 リリース時にローリング方式でリリースされます。
方法:[ダッシュボード] タブでアプリ内ダッシュボードを展開します。
② 新しいディメンションとメジャメントを使用してモバイルレポートを拡張
レポート、ピボットテーブル、ダッシュボードで新しいフィールドを使用して、アプリ内エンゲージメントと配信データを表示します。新しいフィールドには、アプリ内 コンテンツ名、アプリ内 ボタンラベル、アプリ内の一意の送信などがあります。
対象:この変更は Pro Edition、Corporate Edition、Enterprise Edition のエンゲージメントのインテリジェンスレポートに適用されます。
時期:この機能は Summer '23 リリース時にローリング方式でリリースされます。
■ データ管理関連
Marketing Cloud の従来の REST API ルートが変更されました。
① 従来の REST API ルートのアクセス権の更新
共有データエクステンションにアクセスするときに UI と同じデータアクセス権を使用するように Marketing Cloud Contact の従来の REST API ルートが変更されました。UX と API 呼び出しの共有データエクステンションのアクセス権限が正しいことを確認します。
■ クロスクラウド関連
Distributed Marketing でクイック送信のグローバルデフォルト値を設定し、メールの件名行をカスタマイズします。Distributed Marketing レポートを使用して送信アクティビティのトラッキングを行います。
① Distributed Marketing でのメール件名のカスタマイズ
Distributed Marketing 管理者は、エージェントが Distributed Marketing でメールをカスタマイズできるように、メール件名オプションを事前定義できます。また、ユーザーが独自のメール件名を定義できるようにすることもできます。
② Distributed Marketing でのクイック送信のグローバルデフォルト値の設定
エージェントの Distributed Marketing 環境を合理化するには、Distributed Marketing 管理者はクイック送信メッセージにデフォルトのカスタマイズを追加することができます。エージェントはこのデフォルト値を使用するか、独自の値でデフォルト値を上書きできます。
③ Distributed Marketing レポートを使用した送信アクティビティのトラッキング
トラッキングをすべての種別の Distributed Marketing 送信フローに拡張してアクティビティを可視化し、連絡先やリードへのすべてのコミュニケーション履歴をレポートで簡単に確認できます。トラッキングはストレージの消費制限に追加されるため、不要になった古いトラッキングオブジェクトを削除します。
今回は以上です。
Salesforce 公式の新機能の説明動画が発表されました
2023年7月19日 追記:Salesforce 公式での動画が発表されました。より細かく説明されていますので、下記リンクよりご覧ください。
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