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秋時雨

秋時雨に振り回される暮らしは、面倒で、
不自由で、でもどこか懐かしい。

空のご機嫌しだいで、洗濯物を出したり入れたり。干しては濡れて、ため息をつく。

それでも、土の匂いが濃くなったときの
「あ、そろそろ降るな」という感覚は、
田舎にいるからこそわかるものだ。

雨の前触れは、風よりも早く匂いとして届く。
稲刈りを終えた田んぼからは湿った土の匂い。山の方からは、冷たい空気がしっとりと下りてくる。

その気配を察して、家の中に洗濯物を取り込みながら、「やっぱりな」と苦笑いする。

秋時雨は気まぐれだ。降ったと思えば、
すぐにやみ、またしとしと戻ってくる。

空に振り回されているのか、自分が振り回されているのか、わからなくなる。

気持ちだってそうだ。
やる気になったかと思えば、すぐに止まって、また動き出す。
続けられない自分を責めるとき、
少しだけ秋の空に似ていると思ってしまう。

そしてその雨は、ほんの少しだけ冬の匂いを運んでくる。

吐く息が白く混ざるようになって、
ああ、秋が終わっていくんだと気づかされる。

街灯に照らされた雨粒が冷たく光って、
寂しさを強調する。
もう少しだけ秋にいてほしいのに、
時雨はかまわず次の季節へ連れていく。

めんどくさくて、不自由で、そして寂しい。
それでも、秋時雨と一緒に生きている気がする。

ノクトノート/影野ノト

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