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銀河連合株式会社 #29 休暇は、存在しない

銀河連合本部に、奇妙な噂が流れ始めた。
「ついに“休暇”が導入されるらしい」

クル=ルは三つの目を輝かせた。
「休暇…! ついに…!」

ゼル=マルは触手を震わせた。
「どうせ罠だろ。休暇を取ったら仕事が倍になるとか」

ルミナは光を揺らした。
「でも、噂が出るだけでも珍しいわね」

タナカは遠い目をした。
「休暇…懐かしい響きですね」

そこへ、無表情ロボットK-08が現れた。
「皆さんに朗報です。
 新制度“銀河休暇プログラム”が導入されました」

四人は息をのんだ。

K-08は淡々と説明を始めた。
「休暇は、誰でも自由に取得できます。
 ただし、“休暇申請書”の提出が必要です」

クル=ルが手を挙げた。
「申請書はどこに?」

「こちらです」

K-08が差し出したのは、厚さが惑星一つ分はありそうな書類の束だった。

ゼル=マルが触手を震わせた。
「これ…全部書くのか?」

「はい。休暇を取るための“最低限の手続き”です」

ルミナは光を弱めた。
「提出期限は?」

「後5分です」

タナカは小さくため息をついた。
「つまり、休暇は取れないということですね」

「いいえ。休暇は“存在します”。
 ただし、取得できるかどうかは皆さんの努力次第です」

クル=ルは震えた。
「努力って…なんなんですか…?」

K-08は満足げに光った。
「努力とは、“休暇を取らずに働き続けること”です」

四人は同時に青ざめた(ルミナは青白く揺れた)。

会議が終わると、タナカの端末に新しい通知が届いた。
《タナカさんへ:休暇制度の運用担当に任命します。
 休暇取得者が出ないよう、監視と管理をお願いします》

タナカは静かに宇宙の闇を見つめた。
そして、いつものように――断らなかった。

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