銀河連合株式会社 #39 美人枠
銀河連合本部の朝。
クル=ルは三つの目をこすりながら出社した。
すると触手族ゼル=マルが触手をしおらせて言った。
「クル=ル……今日も“美人枠”が増えてるぞ……」
クル=ルは三つの目を丸くした。
「美人枠……?」
光生命体ルミナは光を弱めた。
「社長の側近は、なぜか全員“美形の女性”なのよ。
能力より見た目が優先されるの」
タナカは静かに言った。
「僕は“見た目が地味”という理由で側近候補から外されました」
クル=ルは青ざめた。
「そんな……仕事の実力じゃなくて……?」
そのとき、無表情ロボットK-08が現れた。
「皆さんにお知らせです。
本日、新たに“社長側近候補”が追加されました」
クル=ルは恐る恐る聞いた。
「候補って……どんな基準で選ばれるんですか……?」
K-08は淡々と告げた。
「基準は“社長の好み”です。
能力は二の次です」
ゼル=マルが触手を震わせた。
「ほら来たぞ……ブラック企業の“美人優遇”……」
ルミナは光を弱めた。
「側近になると、仕事が軽くなるのよね……
逆に周りの負担が増えるの」
K-08は続けた。
「なお、本日の新側近候補は――
新人のミラさんです」
クル=ルは三つの目を丸くした。
「えっ!? ミラさん、まだ研修中なのに……!」
K-08は満足げに光った。
「ミラさんは“社長の好みに合致した”ため、
本日から“特別待遇”となります」
その瞬間、クル=ルの端末に通知が届いた。
《業務量:増加
理由:側近候補の業務を肩代わりするため
※側近候補は“忙しい”ため業務免除》
クル=ルは震えた。
「ぼく……なんで増えてるんですか……?」
ゼル=マルは触手をしおらせた。
「ここでは“美人枠”が増えるほど、俺たちの仕事も増えるんだ……」
タナカは静かに言った。
「ここでは、“美人”が能力より強い資格なんです」
休憩スペースの照明がふっと揺れた。
その日の勤務表には――
“側近候補サポート:強制(美人枠のため)”
と自動的に記録されていた。
