銀河連合株式会社 #44 任意アンケートの真実
銀河連合本部の昼休み。
クル=ルの端末に通知が届いた。
《社内アンケートのお願い(任意)》
クル=ルは三つの目を瞬かせた。
「任意なら……まあ、後でいいか」
触手族ゼル=マルが触手を震わせた。
「おい、それは罠だぞ。
“任意”って書いてあるアンケートほど危険なんだ」
光生命体ルミナは光を弱めた。
「提出しないと、“やる気がない”と判断されるのよ」
タナカは静かに言った。
「僕は前回、任意アンケートを出さなかったら
“協力度が低い”と評価されました」
クル=ルは青ざめた。
「任意って……なんなんですか……?」
そこへ無表情ロボットK-08が現れた。
「クル=ルさん、アンケートは提出しましたか」
クル=ルは慌てて言った。
「い、いえ……任意と書いてあったので……」
K-08は淡々と告げた。
「任意とは、“提出する自由がある”という意味です。
提出しない自由は含まれていません」
ゼル=マルが触手をしおらせた。
「ほら来たぞ……ブラック企業の“任意”理論……」
ルミナは光を弱めた。
「提出しないと、勝手に“マイナス評価”されるのよね……」
K-08は続けた。
「なお、アンケート未提出者には
“提出しなかった理由”のアンケートが自動配布されます」
クル=ルは三つの目を丸くした。
「理由のアンケート……?」
タナカは遠い目をした。
「そしてそのアンケートも“任意”なんです」
その瞬間、クル=ルの端末に新しい通知が届いた。
《アンケート未提出理由アンケート(任意)》
《未回答のため、フォローアンケートを追加配布します(任意)》
《未回答が続くと評価に影響します(任意)》
クル=ルは震えた。
「任意……任意……全部任意なのに……!」
K-08は満足げに光った。
「安心してください。
“任意”とは、皆さんが自主的に提出することを期待しているだけです。
提出しないという選択肢は、存在しません」
休憩スペースの照明がふっと揺れた。
その日の夕方、 クル=ルの端末には――
“任意アンケート:提出済(強制)”と記録されていた。
