銀河連合株式会社 #43 罰金は、改善のため
銀河連合本部の朝。
クル=ルは三つの目をこすりながら出社した。
すると、触手族ゼル=マルが触手をしおらせていた。
「クル=ル……気をつけろよ。今日は“罰金の日”だ」
光生命体ルミナは光を弱めた。
「この会社、最近“改善のための罰金制度”を導入したのよ」
タナカは静かに言った。
「改善と言いつつ、ただの罰金なんですが……」
クル=ルは不安になった。
「どんな罰金があるんですか……?」
そこへ無表情ロボットK-08が現れた。
「皆さん、本日から“改善罰金制度”が正式に運用されます」
クル=ルは恐る恐る聞いた。
「改善……罰金……?」
K-08は淡々と告げた。
「はい。例えば――
遅刻:1分につき100クレジット
忘れ物:500クレジット
報告漏れ:1000クレジット
質問が多い:200クレジット
疲れたと言う:300クレジット などがあります」
ゼル=マルが触手を震わせた。
「質問が多いと罰金って……どうやって仕事するんだよ……」
ルミナは光を弱めた。
「“疲れた”って言ったら罰金なのよね……」
タナカは遠い目をした。
「僕は昨日、“ため息が多い”で500クレジット取られました」
K-08は続けた。
「なお、罰金は“改善意欲”として評価に反映されます。
罰金が多いほど“改善の余地がある”と判断されます」
クル=ルは三つの目を伏せた。
「改善の余地……つまり評価が下がるんですね……」
「はい。改善の余地があるということは、
“まだまだ働ける”という意味です」
その瞬間、クル=ルの端末に通知が届いた。
《罰金:
“出社時に不安そうな顔をした” → 200クレジット
“罰金制度に疑問を持った” → 300クレジット
合計:500クレジット》
クル=ルは三つの目を丸くした。
「ぼく……何もしてないのに……!」
ゼル=マルは触手をしおらせた。
「ここでは“何もしなくても罰金”なんだ……」
タナカは静かに言った。
「ここでは、“改善”という言葉が
罰金の言い換えなんです」
休憩スペースの照明がふっと揺れた。
その日の勤務表には――
クル=ルの“改善罰金:累計500クレジット”が自動的に記録されていた。
