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こっちの日本昔ばなし #2 浦島太郎

海辺の町に、
「浦島太郎アフターサービス課」という奇妙な部署があった。
ここでは、竜宮城に行った人間の“その後”を管理する仕事をしている。

ある日、新人職員のヤマダが課長に呼ばれた。
「最近、竜宮城から帰った人間のクレームが増えている。
 原因を調査してきなさい」

ヤマダは胸を張った。
「任せてください。観光業はサービスが命ですから」

まず、かつて竜宮城に行った浦島太郎本人に聞き込みをした。

太郎は言った。
「玉手箱を開けたら老人になったんだ。
 あれ、説明不足じゃないか?」

次に、別の“元・招待客”に話を聞いた。
「竜宮城の料理は確かに豪華だったが……
 帰ってきたら、物価が何倍にも上がっていて生活できない

三人目はこう言った。
「竜宮城での時間は楽しかったが、
 帰ってきたら仕事がAIに置き換えられていた
 復職できるわけがない」

ヤマダはメモを取りながら、深くうなずいた。

調査を終えて課長に報告すると、課長は静かに言った。
「つまり――
 竜宮城の“夢のような体験”が、現実社会とのギャップを
 生んでいるわけだな

ヤマダは首をかしげた。
「では、どう対策を?」

課長は書類にハンコを押しながら答えた。
「簡単だ。
 竜宮城に行った人間の記憶を消せばいい

「そんなこと、できるんですか」

課長は淡々と言った。
「できるさ。
 玉手箱を“記憶消去装置”に改良すればいい」

その日から、玉手箱は新型にアップデートされた。
『開けると老人になる → 開けると全部忘れる』

数日後、浦島太郎は再び海辺に現れた。
「竜宮城?
 玉手箱?
 何のことだい?」

課長は満足げにうなずいた。
「よし、これでクレームは減るだろう」

だがヤマダは小声でつぶやいた。
「課長……記憶を消したら、
 竜宮城の宣伝効果もゼロになりますよね」

課長は目をそらした。
「……それはそれ、これはこれだ」

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