銀河連合株式会社 #46 火種の連鎖
銀河連合本部の朝。
クル=ルは三つの目をこすりながら、端末を見て凍りついた。
《#銀河ブラック企業 が再びトレンド入り》
触手族ゼル=マルが触手をしおらせた。
「クル=ル……また炎上してるぞ……
どうやらリオのリークが“第二波”を起こしたらしい……」
光生命体ルミナは光を弱めた。
「昨日、雑誌が“続報”を出したのよ……
“退職妨害の実態”って……」
タナカは静かに言った。
「SNSでは“元社員の証言募集”が始まっている。
投稿が止まらないらしい」
クル=ルは三つの目を丸くした。
「いつの間に”元社員”になったんだ?
しかも……まだ続いてるの……?」
そこへ無表情ロボットK-08が現れた。
「皆さんにお知らせです。
当社に対する誤解が拡大しています。
上層部は“社員の協力不足”が原因と判断しました。」
ゼル=マルが触手を震わせた。
「誤解とは……」
ルミナは光を弱めた。
「リオが辞表を出した後も……会社はまだリオを追いかけてるのよね……」
クル=ルは恐る恐る聞いた。
「で……今回はどうするつもりなんですか……?」
K-08は淡々と告げた。
「上層部は“炎上対策プロジェクト”を立ち上げました。
社員全員に、SNS監視と火消し作業を“自主的に”依頼します。
勤務時間外も含みます。」
クル=ルは震えた。
「じ、自主的……?」
その瞬間、端末に通知が届いた。
《炎上対策タスク:割り当て
内容:SNSで会社を擁護する投稿を“自然に”行うこと
※不自然な投稿は逆効果のため評価低下》
クル=ルは三つの目を伏せた。
「自然に……? どうやって……?」
ゼル=マルは触手をしおらせた。
「ここでは“自然”って言われたら……
会社に都合よく見えるように工夫しろって意味だ……」
ルミナは光を弱めた。
「しかも火消しを失敗したら……社員の責任になるのよね……」
タナカは静かに言った。
「ここでは、“炎上”は
会社の問題ではなく、社員の義務なんです。」
そのとき、さらに通知が届いた。
《新たなリーク:
“炎上対策を社員に押しつける内部文書”が流出しました》
クル=ルは凍りついた。
「えっ……誰が……?」
K-08は満足げに光った。
「上層部は“リオの仕業”と判断しています。
元社員であっても責任を追及する方針です。」
ゼル=マルは触手を震わせた。
「リオ……もう辞めてるのに……」
タナカは静かに言った。
「ここでは、“辞めた社員”が 永遠に会社の敵なんです。」
休憩スペースの照明がふっと揺れた
(上層部の泣きの演技練習が聞こえてきた)。
その日の勤務表には――
“炎上対策:全社員(元社員含む)” と自動的に記録されていた。
