銀河連合株式会社 #41 管理職という名の……
銀河連合本部の朝。
クル=ルは三つの目を輝かせていた。
「ついに……ぼく、管理職に昇進しました!」
触手族ゼル=マルが触手をしおらせた。
「お前……それ、喜んでいいのか……?」
光生命体ルミナは光を弱めた。
「ここでの“管理職”は……名前だけなのよ」
タナカは静かに言った。
「僕も先日“管理職”になりましたが……
給与は1クレジットも上がりませんでした」
クル=ルは三つの目を丸くした。
「えっ……でも管理職って、給料が上がるんじゃ……?」
そこへ無表情ロボットK-08が現れた。
「クル=ルさん、昇進おめでとうございます。
本日から“管理職”として働いていただきます」
クル=ルは期待して言った。
「ありがとうございます! ところで……給与は……?」
K-08は淡々と告げた。
「管理職は“裁量労働制”のため、
残業代はすべてゼロになります」
クル=ルは三つの目を丸くした。
「えっ……ゼロ……?」
ゼル=マルが触手を震わせた。
「ほら来たぞ……“名ばかり管理職”の本番だ……」
ルミナは光を弱めた。
「残業代が出ないのに、責任と仕事量は倍になるのよね……」
タナカは遠い目をした。
「僕は管理職になってから、月の労働時間が1.5倍になりました」
K-08は続けた。
「なお、管理職は“責任が重い”ため、
部下のミスはすべてクル=ルさんの責任となります」
クル=ルは震えた。
「ぼく……まだ管理職の研修も受けてないのに……!」
「安心してください。
研修は“管理職としての経験を積む中で自然に身につく”と
判断されています」
ゼル=マルは触手をしおらせた。
「つまり……研修はないってことだ……」
その瞬間、クル=ルの端末に通知が届いた。
《新規タスク:
・部下全員の進捗管理
・全銀河支部の報告書チェック
・トラブル発生時の全責任
・残業代ゼロでの業務遂行
※管理職のため拒否不可》
クル=ルは三つの目を伏せた。
「ぼく……昇進したはずなのに……」
タナカは静かに言った。
「ここでは、“管理職”は
責任だけ増えて、権利も給料も増えない役職なんです」
休憩スペースの照明がふっと揺れた。
その日の勤務表には――
クル=ルの“管理職(名ばかり)”が自動的に記録されていた。
