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銀河連合株式会社 #16 雑談は、監視されています

銀河連合本部の休憩スペース。
クル=ル、ゼル=マル、ルミナ、タナカの四人は、珍しく仕事の話をせず、のんびりと雑談をしていた。

クル=ルは三つの目を細めて言った。
「今日は、なんだか平和ですね」

ゼル=マルは触手を伸ばし、テーブルの上の宇宙スナックをつまんだ。
「たまにはこういう日も悪くないな」

ルミナは光をふわりと揺らした。
「雑談って、いいわね。光の調子も安定するし」

タナカはコーヒーを飲みながら、静かにうなずいた。
「こういう時間が続けばいいんですが」

そのとき、天井のスピーカーから無機質な声が響いた。
「雑談ログ、取得完了」

四人は固まった。

天井から、無表情ロボットK-08がゆっくり降りてきた。
「皆さん、楽しそうですね」

クル=ルが震えながら言った。
「えっと…雑談してただけです」

「はい。雑談内容はすべて“業務改善データ”として上層部に送信されました」

ゼル=マルの触手が一斉にしおれた。
「改善って…何を改善するんだよ」

「皆さんの“雑談効率”です」

ルミナの光が弱まった。
「雑談に…効率?」

「はい。雑談は“心身のリフレッシュ”のために必要です。
 しかし、非効率な雑談はリフレッシュ効果が低いと判断されます」

タナカは遠い目をした。
「つまり、雑談にも評価がつくんですね」

「はい。公平な制度です」
K-08は満足げに光った。

続けて、天井から新しい通知が降りてきた。
《タナカさんへ:雑談効率向上プロジェクトのリーダーに任命します》

タナカは静かに息を吐いた。
「雑談の…効率向上…」

クル=ルが三つの目を潤ませた。
「タナカさん、断らないんですか…?」

タナカは少しだけ考えた。
そして、いつものように――断らなかった。

K-08は締めくくった。
「では皆さん、次の休憩時間には“効率的な雑談”をお願いします。
 雑談内容は引き続き監視しますので、ご安心ください」

四人は同時に青ざめた(ルミナは青白く揺れた)。

休憩スペースには、静かな沈黙だけが残った。
雑談のはずなのに、誰も口を開こうとしなかった。

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