銀河連合株式会社 #23 銀河労働組合・第108支部
ついに彼らは立ち上がり、「銀河労働組合・第108支部」を結成した。
組合長に選ばれたのは、触手が8本あるゼル族のゼル=マル。
彼は会議でこう宣言した。
銀河のあちこちで働く宇宙人たちは、長いあいだ不満を抱えていた。
ワープ航行の出張手当ゼロ、ブラックホール清掃の危険手当ゼロ、
さらには「光速移動中は休憩扱い」という謎の規定まである。
「我々は、銀河のために働いている!
なのに待遇は、星の様に冷たい!」
組合員たちは拍手し、抗議デモを行うことにした。
宇宙空間に巨大な横断幕を掲げる。
「ワープに手当を! ブラックホールに安全を!」
その様子を見た銀河連合側は慌てた。
宇宙の交通が止まれば、経済が崩壊する。
銀河連合本部は代表を送り、交渉を始めた。
「要求は何だ?」
ゼル=マルは触手を組んで答えた。
「休暇だ。最低でも“銀河一周分”の休みをくれ」
代表は困惑した。
「銀河一周って…何万年かかるんだ?」
「だから休暇なんだ」
議論は平行線のまま続いた。
やがて、代表は苦肉の策を打ち出した。
「では、こうしよう。
君たちの仕事の一部を、別の種族に委託する」
翌日から、地球人が宇宙の現場に投入された。
宇宙人たちは驚いた。
「地球人は…なぜそんなに働くんだ?」
「休憩なしで動いてるぞ」
「しかも、文句を言わない…!」
ゼル=マルは震えながらつぶやいた。
「これは…危険だ。
このままでは、我々の仕事が全部奪われる!」
組合は緊急会議を開き、全会一致で決議した。
「地球人を保護するため、
彼らにも労働組合を作らせよう!」
こうして、宇宙初の「地球人保護組合」が誕生した。
だが地球人は言った。
「組合? そんなの作ったら怒られるので…」
宇宙人たちは青ざめた。
「…宇宙で一番ブラックなのは、地球だったのか」
