銀河連合株式会社 #26 家族だから
銀河連合本部の朝。
クル=ルは三つの目をこすりながら席についた。
そこへ触手族ゼル=マルが触手をしおらせて近づいた。
「クル=ル……今日は“家族会議”があるぞ……」
クル=ルは三つの目を丸くした。
「家族会議……?」
光生命体ルミナは光を弱めた。
「この会社、社員のことを“家族”って呼ぶのよ。
でも、扱いは家族じゃないの……」
タナカは静かに言った。
「僕は先月、“家族なら助け合うよね”と言われて
休日出勤を断れませんでした」
クル=ルは青ざめた。
「家族って……そういう意味……?」
そこへ無表情ロボットK-08が現れた。
「皆さん、おはようございます。
当社は“家族経営”を大切にしています。
家族なので、困ったときは助け合いましょう。」
クル=ルは恐る恐る聞いた。
「助け合いって……具体的には……?」
K-08は淡々と告げた。
「本日、上層部が“急に思いついた”イベントの準備を
全員で自主的に行っていただきます。
家族なので当然です。」
ゼル=マルが触手を震わせた。
「ほら来たぞ……“家族だから”の押しつけ……」
ルミナは光を弱めた。
「家族って言うくせに、給料は家族じゃないのよね……」
タナカは遠い目をした。
「僕は“家族だから残業代は気にしないよね”と言われました」
クル=ルは震えた。
「家族って……便利な言葉なんですね……」
その瞬間、端末に通知が届いた。
《家族精神チェック:未達
理由:自主的な協力が不足
改善点:もっと家族らしく働くこと》
クル=ルは三つの目を伏せた。
「家族らしく……?」
ゼル=マルは触手をしおらせた。
「ここで言う“家族”は……
会社に都合よく使われる存在なんだ……」
ルミナは光を弱めた。
「本当の家族より、会社のほうが優先されるのよね……」
タナカは静かに言った。
「ここでは、“家族”という言葉が
責任を押しつけるための魔法なんです」
休憩スペースの照明がふっと揺れた(家族の協力で節電中)。
その日の勤務表には――
“家族精神:不足(強制的に向上)” と自動的に記録されていた。
