銀河連合株式会社 #2 ブラック企業
タナカが学生だった頃。
地球の就職活動は競争が激しく、彼は毎日エントリーシートと面接に追われていた。
そんなある日、大学の掲示板に奇妙な求人が貼られた。
「銀河連合株式会社 宇宙支店・第零拠点
未開拓惑星での簡単なお仕事です。
残業なし、危険なし、夢のある職場です!」
銀河連合株式会社は、ついに宇宙進出を果たしたらしい。
期待に胸をふくらませ、彼は宇宙船に乗り込んだ。
【第零拠点の現実】
到着すると、支店長が満面の笑みで迎えてくれた。
「ようこそ!
では早速、惑星の地表を “素手で” 開拓してくれたまえ!」
タナカは固まった。
「えっ……重機は……?」
支店長は爽やかに笑った。
「壊れたよ。本社が修理予算を出してくれなくてね。
でも安心してくれ、やる気があれば何でもできる!」
タナカは悟った。 この笑顔は危険だ。
【ブラック惑星の労働環境】
その日からタナカは毎日、岩を砕き、穴を掘り、 時には未知の植物に追いかけられながら働いた。
勤務時間は 「日の出から日の出まで」。
この惑星は自転が速く、日の出は30分ごとに来る。 つまり――休みはない。
タナカは泣きそうになった。
【本社への訴え】
ある日、タナカは勇気を出して支店長に言った。
「こんな環境、ブラックすぎます!
本社に訴えます!」
支店長はにっこり笑った。
「本社? ああ、もうないよ」
タナカは耳を疑った。
「え?」
「地球はね、先週“経営効率化”のために売却されたんだ。
買ったのは――ほら、あそこの山の上にいる宇宙生命体さ」
タナカが振り返ると、巨大な影がこちらを見下ろしていた。
触手をゆらしながら、こう言った。
「キミたち、働き者だね。
では次は、我々の星の開拓も頼むよ。
報酬は――“生存” だ」
タナカは天を仰いだ。
「宇宙に来ても、ブラックはブラックか……」
支店長が肩を叩いた。
「いやいや、宇宙規模だと “漆黒企業” って言うんだよ」
